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とある神々の平凡な日常  作者: 紅月 桃花
20/20

ニューゲーム

「終わった終わった!よっしゃキター!」

「ご苦労サマ」


論文を書きあげ騒ぎ立てるリコードに心を込めていない労いをかける。


「サキアちゃんが笑わせてくるからどうしようかと思ったw」

「結果的に終わったしOKOK」

「それサキアちゃんの一存で決まることではなくない?w」


その言葉に肯定せずに笑って席を立つ。


すると、どこかへ行っていたきっくんとチェイスが真面目な顔で話し合いながら教室に入ってきた。


あのふたりが真面目とか、絶対よからぬ事である。


「やぁきっくん、どうかした?」


声をかけると、きっくんとチェイスは私たちの元に歩み寄ってきた。


「…俺たち、生け贄にされるかもしれない」


告げられた言葉は中々に衝撃的だった。


しかし同時に、妙に納得してしまう自分もいた。


「うん、まぁ、一見すると頭のおかしい集団だからね」

「いや、納得したらダメでしょw」


リコードにそう言われ、そうか?と真面目なトーンで返す。


「まぁ、コイツが隠密して得た情報だから、あまり信憑性はないけどな」

「自分の彼女に対して少しは可哀想と思わないのか」


チェイスは、きっくんの言葉に納得いかない、という風に口先を尖らせた。


いや、当然だよなぁ…


「んで、その理由は?」

「…現地球統治が安定しているのと、俺らがあまり成績の良くない"型落ち"だから」


型落ちとは。

人格や成績のよくない神に対して使われる差別用語。


ふむ、あまり成績が良くないとは思わないけど…


「はぁ…全く…先生とか、所謂大人たちは表面しか見てないんだもんな…」


そう呟くと、リコードが神妙な面持ちで頷いた。


そんなに頷くか?っていう程頷いている。


余程恨みでもあるのだろう…


「まぁカナ先生は、異議申し立てをしてくれてたけどね」

「有難いね」


そうは言うが、それが受け入れられないのがこの世の常。


結局は権力社会なのだ。


「…代替わりの時に私たちは現地球統治者と対面する。そのタイミングだろうね」


自分で確かめるように呟く。


「つまりは、あと6日」


言葉を繋いでくれたチェイスに感謝しつつ、考えを巡らせる。


周りは察したように口を噤んでくれた。


「…あと6日で、プランを立ててやればいい」


そうと決まれば、早速クラスで話し合いだ。


皆とこの話を共有して、共に対抗策を考えたい。


「じゃあ僕、皆を呼んでくる!」


リコードは私の意図をいち早く汲み取ってくれた。


彼はコミュ力おばけだから、任せておいて大丈夫だろう。


「うちはもっと情報収集してみる。プランが決まったら教えて」


チェイスにしては珍しく機転の利かせた行動だ。


「…俺らの真の姿、見せてやるか」


退屈しのぎには、十分すぎるほどの大物だ。


きっくんの言葉に、口角をあげた。


さぁ、久々に楽しめそうなゲームだ。


自分の生死に関わるのにゲーム感覚なのは、一般人から見れば信じられないだろう。


「…悪いけど私たち、普通じゃないから」


高揚する気持ちから、誰に言うでもない言葉を口にした。

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