うるさい奴の好きな人
「おはよー、サキアちゃん!」
「はよ」
予想通りの人物が、私の目線の先に立っていた。
彼はドM神、もといコノメ。
無自覚ドMだ。
彼は教卓真ん前の席である。
そこで色々と行った後で、私の前の椅子に座った。
「…お前、最近なんかあった?」
「へ!?なんで!?」
私が訊くと思ったより大声で返され、思わず睨みつけてしまった。
けど、当の本人は全く気付いていないようで、むしろ私の質問のことについて色々と考えるのに忙しい様だ。
「…え、まさかだけど好きな人出来たとかそんなんじゃないよね」
そう言った瞬間、コノメの表情が固まった。
「…図星?」
「…あー…えっと」
なんかこれは予想以上に面白い案件だな。
少し掘り下げてみようか。
「誰?このクラス…だよね?」
「でも…言ったら絶対引かれるもん…」
引かれる…ん?
引かれる?
コノメが好きになったら引く相手?
カンの鋭い私は、思ったことをそのまま口にする。
「…えまさか男?」
「っ…」
コノメは顔を真っ赤にして視線を落とし、頷いた。
「…うん、大丈夫、別に引かない。というか男であんたが好きって言ったら一人しか思い浮かばないよ」
「えぇっ!?嘘っ!?」
…いちいちコイツは反応がうるさい。
イラつきをひた隠しにしながら、その名前を告げようとした時。
「おはよー」
タイミング良く、別のメンバーが入って来たのだった。




