三題噺(コンタクトレンズ 裸エプロン 遅刻)
風が抜けていく。
どこまでもひろがる空。
雲は風に運ばれてどこへゆくのだろう?
そんなことを考えていた。
無駄に広い平原にて私は目の前の現実から逃げるように思考を続ける。
「ねぇ、『お母さん』?」
そんな声が聞こえても私は無視した。
なんで、こんな子に育ったんだろうか?
そんなことも思わなくもない。
私はちらりとさっきから喚く『娘』の姿を再度確認した。
綺麗な自慢のブロンドの髪。
出るとこは出ていて引っ込むべきところは引っ込んでいるパーフェクトといえるボディ。
それを包むはエプロン一つ。
もう一度いう。
エプロン一つ!
なんで、裸エプロンしてるんだろう?
そう思った時から私の思考は考えるのを拒否した。
思わずため息が出る。
声がカラカラになってきた『娘』はさすがにもう声を上げていない。
代わりに少し泣きそうな顔をしている。
全くそうところは変わっていない。
「なによ。その恰好?」
「え?お母さんかわいい女の子のこういう格好好きでしょ?」
きょとんとした顔で『娘』は言う。
あたりまえのように。
私は頭を抱えた。
えへへと笑いながら『娘』は私の顔を見る。
そんなに楽しいのだろうか?
「だって、『お母さん』に会えたのすっごい久しぶりなんだもん。五年ぶりかな?」
ニコニコしている『娘』を見ていると悪い気はしない。
それに私もおよそ10ヶ月ぶりに会うのだ。
まだ、幼さ残る顔から見事なレディになっている『娘』。
確かな違いは感じつつも成長を喜ばない親はいない。
「あ、『お母さん』。家に案内するね!」
そうトコトコと歩き出す。
私は苦笑しながらもそれについて行く。
森の中に入りしばらくすると木の家が見えた。
どうやら、これが娘の家らしい。
家に入ると少し待っててねと娘は家の奥に消えた。
というか、後ろ姿見て思ったんたけど娘の背中はとても綺麗だった。
あれだけ綺麗な背中を見たことがない。
あと、くびれもすごかったな。
と、私は無意識にお腹をつかむ。
すこしむにっとした感覚が手に伝わる。
うぅ……私もダイエットしようかな。
そんなこと考えていると
「お待たせー。」
と、今度はきちんと洋服を着て娘が出てくる。
今度はメガネ着用だ。
「メガネ?」
「あぁ、これ?私お外はコンタクトレンズ。家だとメガネにしてるの」
よく分からないがそう使い分けしてるらしい。
私と一緒にいた時は目が悪くなかったのに……。
そんなことを思った。
それからあってない間どんな事があったか聞いた。
あっという間に時は過ぎる。
気づけばこっちの時間でもう八時間を話していた。
「そろそろ戻らないと遅刻しちゃうよ。」
なごりおしそうにしかし、急かすようにいう『娘』に私は思わず笑ってしまった。
娘はもうと頬を膨らませる。
私はごめんごめんと笑って見せた。
そして、帰りの場所に向かう。
先程の平原。
違いがあるとすればさっきまで無かった。
行きの時通ったあの空間があることだ。
「戻らないといけないの?」
何ていう娘に私は頭に手を置いた。
「大丈夫。また来るから。」
「その頃には私『お母さん』より年上だね。」
「それは……複雑ね。」
私は苦笑した。
私は空間の前に立つ。
振り返ると娘は小さく手を振った。
「またね。」
「うん、またね。」
再度会うという約束。
それが出来たことがとても嬉しかった。
お題を下さった方々
お粗末さまでした