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魔物に挨拶する時には何を持って行くべきですか?

ホグ村はのどかな所だった。


3方を山に囲まれ、少し閉鎖的だか落ち着けるような感覚がする。


俺達が新しく暮らす場所はホグの1番奥、村長さんの家の隣だ。


うわぁお、豪邸だ・・・・。


もちろんクロードさんの城よりは何倍も規模が小さいけど、普通の1軒屋が立ち並ぶこの村で結構大きめなこの屋敷は目を引く。


「悠仁様、お待ちしておりました。


私、悠仁様のお世話をさせていただく執事のセバスチャンと申します。


御用がございましたら何なりとお申し付けください。」


玄関にいた耳の尖った初老の男性が恭しく頭を下げた。


ししししししし、執事!!


名前がセバスチャン!!


「ぶ、ブルジョアの仲間入りだ・・・」


「ぶるじょあって何ですか?」


ゾルの声に我に帰り、セバスチャンに頭を上げるようお願いする。


「俺人間界ではド平民だったんで、気は使わないでください。


寧ろ同じ同居人くらいの感覚でいてもらえると俺自身も過ごしやすいので・・・。」


セバスチャンだけじゃなく他の使用人と呼ばれる人達にもそう言うと、セバスチャンが困ったように笑いながら言った。


「私共も1度主人と思ってしまった方を同居人と思うことは難しいですが、悠仁様が気苦労をなさらないように形式ばった主従関係は取り除かせていただきます。」


セバスチャンの言葉に使用人達の空気が緩んだような気がした。


「悠仁様、どちらに行かれるのですか?」


使用人の何人かと一緒に荷物を私室になる部屋に運んだ後、オッズで買ったものを持って外出しようとしたところをソユに見つかった。


「ちょっとご挨拶回りに行ってくるよ。」


「挨拶回り?


悠仁様は今日からこの屋敷の当主なので、そのようなことは必要ありません。


むしろそのようなことをなさると迷惑ですので止めて頂きたい。」


きちんと伝えるとバッサリ切られた。


なんか、ソユも志摩もド直球だよなぁ。


もうちょっとオブラートに包もうよ・・・。


「みんなに迷惑がかかるんなら止めるけど、俺は只の平民なんだから変に偉そうにすんの嫌なんだよ。


この村の人達には俺自身もお世話になるんだから挨拶するのが当然だろ?」


苦笑いしながらそう言う。


でもまぁ、迷惑はかけたくないし。


これセバスチャンに後で村の人達に渡してもらうように頼むか・・・・。


「とにかく1人ではいけません。


どうしても行かれるのであれば、私も同伴させて頂きます。」


その言葉を聞いて頬が自然と緩んだのは許してほしい。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


ソユと2人で出たはいいものの、やっぱり会話はない。


けれど俺の気持ちが上向きなせいか、馬車の時よりは気まずいと感じない。


いくら仕事とは言え、ついて来てくれるってことはさほど俺を嫌ってはいないはず!!


そう自己完結しながら歩き、最初に着いたのは村長の家。


玄関を叩き、出てきたのは小太りのオバちゃんだった。


「初めまして、今日からこの村に住む甲斐 悠仁と言います。


これ、つまらない物ですが良かったらお家の皆さんで召し上がってください。」


「まあまあ、ご丁寧にありがとうございます。


ごめんなさいね、主人はまだ帰ってないのよ。


それにしても、あのお屋敷にこんな礼儀正しい人が住んでくれるなんて嬉しいわぁ。」


嬉しそうに笑うオバちゃんを見て、心の中でホッとする。


第一関門、ご近所付き合い、1軒目はクリアだな。


オバちゃんの名前はドゥースと言った。


村長さんの奥さんで、夫婦共にゴブリンらしい。


確かに、笑った時下の歯にめっちゃ尖った歯があったな。


1軒目を終わらせると後はスムーズにいき、空が真っ暗になる頃には全ての家を回ることができた。


「ただいまー。」


「悠仁様!


こんな時間まで何処に行かれていたのです?


私心配しましたぞ!」


家に帰るとセバスチャンが待ち構えていた。


事情を説明すると外出する時は1言伝えろという軽いお説教を受け、それからセバスチャンの言葉に俺は泣きそうになった。


「とにかく、ご無事で何よりでした。


おかえりなさいませ。」

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