1.朝から衝撃的な話
今思えばあれが前兆だったのかもしれない。それに気付き予測できていれば、あの話を聞かされた時に少しくらいは気持ちにゆとりが持てたのかもしれない。
でもまさかそんなことが自分の身近で起きるとは、当時の俺は全く思ってもいなかった……。
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その話を聞いたのは出勤して間もない朝のことだった。
「佐藤君、ちょっといい?」
自分のデスクに座り、「あ~、眠っ。仕事めんどくせー」なんて思いながら仕事の準備を始めていたところへ、上司(女性)が声を掛けてきた。
「おはようございます。どうしましたか?」
「ちょっとこっちに来てくれる?」
「あ、はい」
上司からの突然の呼び出し……俺、昨日の仕事で何かマズイことでもやらかしたか?
普段、仕事以外ではほとんど話さない上司に声を掛けられた俺は、内心ビクビクしながら上司のあとをついて行った。
上司のあとについて行き、俺は給湯室に入った。
「鈴木さん、最近調子が悪いのは知ってるよね?」
「あ、はい」
鈴木さんとは、今年高校を卒業して4月に入社した派手ではないけど今どきな可愛らしい女の子だ。俺にとっての初めての後輩でもある。
確かにここ最近、あまり体調が良くないみたいで休んだり早退したりしている。社会人1年目だし、ストレスとか溜まってきて体調崩してるんじゃないかと思うんだが……。
「その鈴木さんなんだけど実は今、妊娠してるそうなの」
「えっ…… !?」
鈴木さんが……妊…娠……? えぇーーーーーっ !?!?!?