スイカばたけの みはりばん
ちょっと漫画チックな作品です。
ここは オバケ村です。ものすごい いなかです。
たくさんの おばけたちが なかよく くらしていました。
がいこつオバケの スケルトンさんは、こまっていました。
はたけの スイカが ぬすまれてしまったのです。
きのうも 2つ ぬすまれました。
そこで スケルトンさんは、 みはりを つけることにしました。
ある日の朝、スケルトンさんの スイカばたけに だれかが やってきました。
ぼうしを かぶり、 サングラスを しています。
あたりには ほかに だれも いません。
それも そのはず。
オバケたちは 夜 はたらいたり がっこうへいって、 朝になると ねむるのです。
「へへへ。 きょうも もらっちゃおうっと。 さあて、 どれが いいかなあ」
どうやら スイカどろぼうの ようです。
ながい はなに、 6本の みじかい キバが キラリと ひかっています。
その スイカどろぼうを じっと みているものがいます。
スイカオバケの シャーベットです。
スイカの ふりをして、 みはりを しているのです。
「おい……」
シャーベットは、 こえを かけました。
スイカどろぼうが、きょろきょろと あたりを みまわしています。
シャーベットには きづかないようです。
「おいったら、おい」
かんだかい こえを あげて、 シャーベットは とびあがりました。
「うわあ!」
おどろいた スイカどろぼうが、 しりもちを つきました。
「おまえ、 スイカどろぼうだな」
ちゅうに ういたまま、 シャーベットは スイカどろぼうを みおろしました。
「おれは スケルトンさんに たのまれて、 みはりを している スイカオバケの シャーベットだ」
そういったとたん、 シャーベットの まるい からだから、 ほそながい てと 足が にゅりっと はえ、 くちが さけて 大きくなりました。
「どうだ。 こわいだろう。 スイカどろぼうは、 おれさまが ゆるさないぞ」
シャーベットは てを ゆらーり ゆらーりと うごかし、 いまにも おそいかかるぞお、 とポーズを とりました。
ところが、 スイカどろぼうは、 おびえるどころか へいきな かおを して、 おきあがりました。
「なにを いってるんだ。 おまえ オバケだろ? おれも オバケだもん。 オバケは オバケなんて こわくないさ」
スイカどろぼうに そういわれて、 シャーベットは たしかに そうかもな とおもいました。
「で、 でも、 スイカは やらないぞ。 ほしかったら おれを たおしてから もっていくんだな」
シャーベットが そういうと、 スイカどろぼうは、
「ふうん。 おまえを たおせばいいのか」
そういって、 パオーンと なきながら からだを ブルブルと ふるわせました。
すると、 からだじゅうから とげがはえて、 6ぽんの きばが ズバッと のびました。
そして、 とっぷうのような はないきが ふきだしました。
「おれは ゾウオバケの エレファンだ。 さあて、 さっそく たたかいを はじめようか」
なんと おそろしいオバケ でしょう。
あまりの はくりょくに、 シャーベットは おどろきました。
「お、 おまえ、 うそついたな。 オバケは オバケなんて こわくないって いったのに、 おまえ、 めちゃくちゃ こわいじゃないか。 ああ…………」
とうとう シャーベットは にげだしてしまいました。
なんとも なさけない みはりです。
つぎの日の 夜です。
がいこつオバケの スケルトンさんが はたけに やってくると、 スイカが 3つも ぬすまれていました。
「シャーベットのやつ、 さぼりやがったな。 あいつには もう たのまん。 やれやれ」
さて、 どうしたものかと スケルトンさんは かんがえました。
「よし。 あの ほうほうを ためしてみよう」
スケルトンさんは はを カチカチならすと、 いえに もどりました。
そして、 大きな たてふだを もってきて、 はたけの そばに たてました。
たてふだには こうかいてありました。
スイカを さしあげます
ほしいオバケは スケルトンまで れんらくを ください
つぎの日の夜、 スケルトンさんの いえに、 3にんの オバケが つぎつぎと やってきました。
まず やってきたのは、 ウサギオバケの ラビッツです。
みみが 4ほんも あります。
「うわあ、 ありがとう。 スケルトンさんの つくった スイカ、 いちど たべてみたかったんだ」
ラビッツは、 スイカを ひとつ もってかえりました。
つぎに やってきたのは、 キリンオバケの ロングーです。
ながい くびに とげが いっぱい ならんでいます。
「2つ もらって いいかしら。 いもうとが かぜをひいちゃって、 おみまいに もっていこうと おもうの」
ロングーは、
「どんな あじが するのか たのしみだわ」
と、 わらって かえっていきました。
さいごに やってきたのは、 エレファンです。
エレファンは、 スイカを 5つも ほしがりました。
「そんなに もっていって どうするんだい? だれかに あげるのかい?」
スケルトンさんが たずねると、 エレファンは、 はりきって こたえました。
「ちがうよ。 ぼく ひとりで たべるんだよ。 ぼく、 スイカ だいすきなんだ。 それに スケルトンさんの スイカって とっても おいしいんだもん」
スケルトンさんは、 エレファンを じっと みつめました。
「わしは だれにも スイカを たべさせたことはないぞ。 もし、 わしの つくった スイカの あじを しっているやつが いるとすれば、 わしと スイカどろぼうだけだ」
「へっ?」
こうして、 エレファンは オバケけいさつに つかまりましたとさ。
おしまい
読んでくれてありがとう。