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何故か俺に...

走ってくるみんなは先生に止められる。

 後でゆっくり話そうと思いながら俺は舞台に降りる。

 そして投票時間になる。

 数分が長く感じる。

 大丈夫俺はやれることをやった。だから、何も心配する必要はない。

 九月下旬の体育館は寒く感じた。

「では、投票結果を発表します」

 俺は舞台前に立つ。

 横に環奈が立っている。俺にしか聞こえない声で言う。

「私が勝つに決まっている」

「そうだといいな」

 環奈はどこか俺を許しているように感じた。

「後で渡したいものがあるので」

「私に?」

「はい、雪から環奈宛てに手紙があります」

「そう」

 俺宛の手紙と、雪宛の手紙、がアルバムに入っていた。

 きっと、最後の頼むなんだろう、環奈を頼んだと。神様が味方したんだな俺と同じ高校になるように。

「投票の結果」

「次期生徒会長は真治拓哉と伊藤環奈の二名となりました」

「へ?」

「え?」

 大きな拍手が体育館を包み込む。

 それで、生徒会長が二人ってあり得るのか? いや、絶対にないな。

「どういうこと?」

「俺と、環奈が次期生徒会長ってことだろ? 二人ってあり得るのか?」

「二人って聞いたことないね」

「そうだよな」

 理解できない状況に笑う俺たち。初めてかもしれないな二人で笑うの。

「では、拓哉さん挨拶をお願いします」

 何故か俺が呼ばれる。まあ、今日は俺が代表ってことだろう。環奈とゆっくりと決めて行けばいい。だって俺たちは時間があるから。

「初めまして、次期生徒会長に決まりました真治拓哉です。言いたいことは一言だけあります。もし今悩んでる人がいるのなら俺に相談してください。必ず救います」

 深くお辞儀をして舞台を下りる。

 そして、俺はどうでもいい考えを浮かぶ、代表者旅行ってやる必要無かったんじゃね。それに三年が参加する意味ないだろ。この学校って本当に難関校なのかよ。

 俺が生徒会長になるのはちょうど一年後だ。

 その時にはもう決めないといけないのか。

 不安と期待を胸に秘め、無事生徒会選挙は終わった。



「拓哉」

 部室には、早百合、志保、凜先輩、琴音たちが居た。

「拓哉本当にすまなかった」

 凜先輩は深く頭を下げる。凜先輩は何も悪くないんだ、ただ怖かっただけだ関われば関わるほど関係が崩れていくことに。

「また、ご飯作りに行ってもいいですか?」

「もちろんだよ、ぜひ毎日来てくれ」

 不安が消えて明るい顔をする。

「ごめんなさい」

 琴音は深く頭を下げる。琴音もきっと凜先輩と同じだ、ただ怖かっただけなんだ。

「大丈夫だよ、またピアノを聴いてもいいかな?」

「うん、いつでも弾くよ」

 琴音は明るい声で言う。

 志保は俺の前に立ち、数秒程固まる。

 そして、俺に飛び付く。

 早百合、琴音、凜先輩たちは驚く。

 俺にだけ聞こえる声で言う。

「私は諦めないよ」

 俺のことを強く抱きしめる。

 そして、他の三人も俺に飛び付いて来る。

 これって、俺の隣に何故かとか言える状況じゃねえよ。

 あれだ、なんて言うか、 何故か俺に抱き付く美少女たちの方が正しいだろ。

 どこか馬鹿な考えを浮かぶ。

 そして思う、きっとみんなが幸せで笑っていられる世界がどこかにあるはずだと。



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