表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/91

真治拓哉の演説

体育館には多くの生徒が集まっていた。

 そして舞台前には四名の生徒が立っていた。

 俺は冷やかしなのか分からないが俺の取り組みは好評だった。

 そして俺は今トップ4だ。

 今から演説をしてもっとも投票数が多かった生徒が次期生徒会長になる。

 この一カ月間を思い出す。

 一カ月間俺は早百合と有紗以外の人と話していない。誰も俺と関わらないようにしていた。

 深い深呼吸をする。

 俺は次期生徒会長になる。

「では、次は〇〇」

 俺の演説は最後だ。

 どうせ恥をかくと思って最後にしたんだろう。

 数十分の演説を終える生徒に盛大な拍車が鳴る。

「では、最後に拓哉さんお願いします」

 俺は舞台に上がる。

 舞台の真ん中に立ち。

 一生懸命書いた紙を破り捨てる。

 俺のこと見ている生徒たちは驚く。

 そして、生徒たちは騒ぎ始める。

 「さっさと消えろよ」

 「キモいんだよ、騙してるくせに」

 罵詈雑言が飛んでくる。

 俺は無視して喋り始める。

 マイクを持ち、ゆっくりと。

「俺は過去に人を失いました。その子はいつも明るくて優しくてずっと笑っている子でした。

 そんな子が、俺に言ったんです。愛してると、どこか悲しそうな顔で。俺はどうするべきか分かりませんでした。けど、どうしても救いたいと思いました。

 そして、その子はある日俺の部屋で自殺しようとしていました。俺は必死に止めました。その時言われたんです。もうすぐ死ぬのって、あまりの衝撃に俺は驚きました。

 そして決めたんです。この子を救える方法は、付き合うしかないと」

 生徒たちは静まる。

 早百合、成瀬、環奈、志保、凜、琴音、どこか不安な顔で俺を眺めていた。

 「俺はその子と付き合いました。その子はいつも明るくて優しくてずっと笑顔な子でした。そして俺は罪悪感を芽生え始めました。まだ好きでもなかったのに付き合っていることに。

 最低なことをしていて人の気持ちを踏みにじっていることに。

 その子は去年の冬に亡くなりました。

 俺は人助けをしようと考えました。 償いになると思ったから、罪を消せると思ったから」

「高校に入ってからいろんな人と出逢いました。俺のことが好きな人や、俺のためにピアノを弾いてくれる人、みんなのために自分を犠牲にする人、心に傷を背負ってる人、ギャルなのに真面目な人、勉強が好きな人、読書が好きな人、友達想いな人、愛が重い人、急に手を握ってくる人、結婚を命令してきた人。

 沢山の出逢いがありました。最初は罪を消すために助けていました。だけどいろんな人と出逢って思ったんです。みんなには幸せにあって欲しいと。罪を消すために助けていたのがいつしか、心の底から助けたいと変化していました。そして、昔から何も感じなかった心が感じたんです。みんなには笑っていて欲しいと。そして思ったんです。

 誰も悲しまない学校を作りたいと。決して泣くこともない楽しい学校を。

 笑顔が溢れる学校を。毎日行きたくなる学校を。

 もし、俺が生徒会長になったら誰も悲しまない学校を作り、みんなが笑顔な学校を作ります」

 深くお辞儀をする。

 そして、今まで聞いたことのない爆音の拍手が体育館全体に響く。

 そんな中、多くの人が走ってくる。

 今までの悩みを捨て、今日だけは神様も許してくれると思いながら走ってくる。

 雪、地獄で楽しみしといてくれな楽しくて面白い話をたくさん持ってくるからさ。

 何十年何百年ずっと話そう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ