変わりゆく気持ち
勢いがあるビンタを食らう、けど痛みは感じなかった。
ビンタを食らい我に返る。
泣きそうな顔で早百合は言う
「私は拓哉が好きそれは変わらないよ、それに、拓哉は優しいよ」
「俺は優しくない、俺はクズなんだよ」
「優しいよ、救いたいから付き合ったんでしょ」
「うん」
「それなら、優しいと思うよ。雪って子はどんな形であれ、拓哉と付き合いたかったんだよ」
「でも俺は最低な付き合い方をした、それは真実だ」
「そうだね、でもね、きっとそれも拓哉なりの優しさだよ」
「拓哉聞いて、拓哉は優しすぎるの、どんなに傷ついても、どんなに悲しくなっても、どんなに残酷なことがあっても、全部解決しようとして自分を傷つけるの、そして時々壊れるの」
「俺は、俺はそんな人じゃないよ」
滲む視界。冷静な考えができない脳。温まることができない体。震えている手。
「多分ね当時の拓哉は、考えて考えた結果がこれだったのよ、それに救われたんじゃないかな」
「分からないよ、俺は絶対に間違ったことをした自覚があるんだ、だから記憶を消したんだ」
「間違ってないと思うよ、だって救うために選んだことなら間違ってないよ」
「俺は」
「大丈夫だよ、私が一番知ってるから、拓哉は世界で一番優しいよ」
「俺は、クズだぞ」
「クズじゃないよ」
「俺は、雪を騙してたんだぞ」
「それは拓哉なりの優しさだよ」
「俺は、自分に雪を好きだと思い込んでいたんで過ごしていたんだぞ」
「それは、拓哉なりの優しさで考えてやったことだよ」
「俺は」
「大丈夫だよ」
「拓哉は優しすぎるんだよ」
「うわあああああああああああああああ」
叫び声が部屋に響く。
早百合は俺を強く抱きしめる。俺も弱く抱きしめる。
そして冷静な判断ができない脳で判断する。
今日だけは早百合と一緒にいたいと。




