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7話 もう、下がることはないから

俺は先輩が学校にいるとは限らないのに学校に向かっていた。いてもいなくても関係なかった。ただ、今は学校に向かう。

 こんなに怒っているのは人生で2回目だ。怒りの感情で冷静な判断はできなくなっていた。停学じゃ収まらないかもしれない。

 それでも、いい、彼女の苦しみと、壊れそうなほど痛い胸の痛みが消えるなら。

 学校に着き、2年の教室に向かう。神様は俺に味方してるようだ。

 話し声が聞こえる。

「ねえ、相馬、あの子は大丈夫なの?」

 ちゃんといた、俺が憧れていた、相馬先輩が。俺は冷静になり盗み聞く。

「志保は馬鹿だから、利用してるよ。今日浮気バレたけど、噂を流すぞって脅したらおとなしくなったよ」

 頭の片隅で、先輩はこんな人じゃないはずだって否定していたけどもう、消えていた。怒りの感情しかなく何も考えることができない。

 今起きてる事は本当で俺の憧れだった。先輩はクズ。それだけが真実だった。

 教室に居る二人は話に夢中になっていた。少し開いてるドアを全開に開ける。

「あれ、拓哉じゃん」

 少し慌てていた。

「久しぶりだな。まさか同じ高校なんてな勉強頑張ったんだな」

 先輩の声は耳を通さない。声を聞くだけで虫唾が走る。

「大丈夫か?拓哉?」

 俺は机の上に乗り、ゆっくりと先輩の方に歩いた。

「おい、どうしたんだよ?」

「なにか変だよ彼」

 隣にいる女性が言った。黙れよ、変なのはお前ら二人なんだよ。人を利用する?馬鹿が、キモすぎだろ。何様なんだよお前ら

 人の気持ちを弄んで楽しいか?人の弱みに付け込んで楽しいか?

 俺は次の瞬間先輩に飛びついた。

 でかい音が響く。

 転がった先輩の上に馬乗りになる。

「少し話をしましょう」

 俺は冷静に言う。

「先輩は、志保を利用していたんですか?嘘を付いたら殴ります。」

 「大丈夫。相馬、」

「うるさい。静かにして下さい。」

 隣にいる女性は静かになった。

「お前ってバカだな?利用するしか使い道ないだろ」

「そっか」

「なあ、今なら許してやるから純恋よこせよ」

 こいつは、こんなにクズだったのか。ダメだ殴ってしまう。落ち着け落ち着くんだ。

「志保はお前のことが好きだった。その気持ちを知ってたのに、なんでそんな酷いことができる」

「お前って本当にバカなんだな、あんな奴と付き合う奴なんていないだろ。普通に考えて。まさか、お前がこんなに馬鹿なんてな」

 ドンと鈍い音が鳴る。

 「痛って、お前殴りやがったな」

 「これは俺の怒りの分だ」

「やめてよ、動画撮ったから」

 脅しか?なんでこんなクズな仲間してるんだよ。

「よくやった。お前も終わりだな、可哀そうに早百合がこんなクズ男をみたら、どう思うかな」

 こいつ、早百合のことなんで知ってるんだ。

「1つ忠告すると、動画なんか撮っても意味ないぞ、俺も最初から撮ってるから、どっちが信憑性あるか一目瞭然だな」

「最後に聞く、志保を好きじゃなかったんだな」

「だから、あんな奴好きになるやついないだろ。」

 今まで聞いたことのない、鈍い音が鳴る

「調子に乗りやがって」

「黙れよ、クズ。いいか次志保に近づいてみろ、次は二発じゃすまないからな」

 階段を上ってくる音がする。どうやらここまでみたいだ。

 純恋先輩、早百合に先生達もいた。

 早百合は引いていた。俺の姿をみて。本当の君はこんな人なのみたいな目で見ていた。

「なにしてるんだ」

 教室は酷く荒れていた。相馬の隣にいる女性も泣いていた。

 この状況を見るに俺一人だけが悪いだろう。

「助けてくれ、急に殴られたんだ。こいつが」

 演技をする相馬。こうやって、たくさんの人を騙して来たんだな。冷静になった頭で理解する。

 先生がこっちに来る。

 俺は先生にバレないように相馬に忠告する。

「あの、動画を流したら、俺も流す。そして、二度と志保に近寄るな」

 先生たちが俺の肩を引っ張る。

「おい、拓哉行くぞ」

 体育の先生が俺に言う。多分失望している。

 早百合と、純恋先輩とすれ違う。

「なんで、どうして」

 二人は混乱していた。俺とはもう仲良くしてくれないだろう。

「ごめんな」

 そう、一言だけ言い先生について行った。

 大丈夫だ、俺は元からスクールカーストは最低辺だ。

 これ以上下がることはない悲しい気持ちを押し殺し前を向く。

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