65話 早百合かみんなか
深夜並みに暗くなっている空を眺めながら歩く。
星って綺麗だよな。でも、星は死ぬ。
昔自由研究で星について調べた。
初めて星が死ぬって知った時驚いた。
星は、毎日違う形になっていく、そして最終的に星は無くなる。
まあ、美しいとでも思うだろう、けど俺は違った。
必ず、どんなに綺麗でも、宇宙でも、終わりは平等なんだなって思った。
けど、俺たちは平等じゃない。
平等だけど平等じゃないんだ。
何考えてるんだよ。高校生の考えることじゃないよな。
もうすぐ家に着くな。
あれ、俺の家の前に誰かいないか。長い髪に、容姿端麗で、って早百合じゃないかよ。
俺は急ぎ足で早百合の方に向かう。
体育座りをしている。
「どうしたんだよ、こんな時間に」
服装は乱れていて、急いで来たのが分かる。
「助けて」
「もちろん助けるけど、その何があったか教えてくれないか」
「うん」
「まってよ、まず家に入ろう」
俺は早百合を家の中に入れる。微かに震えていた。
「おかえり..」
由衣が俺たちを見て驚く。
「由衣ちょっと手伝ってくれ」
「う、うん」
由衣と協力して早百合を持ち上げる。早百合は力を失っている。どうしたんだ。
完全に元気がなかった。どこ死んだ目をしていた。少し嫌な予感がする。
「さあ、ここに座って」
「ありがとう」
死んだ目で早百合は語り始める。
「私明日から海外に行くことになったの」
「うん」
「それでね、2か月海外に行くの」
二か月だと....。
今は九月だつまり十一月に帰ってくる。
いくらなんでも長くないか。
しかも十月は学園祭やイベントが沢山ある。それらが参加できない。
「どうしたらいいかな」
多分どうもできないんだ。行くことは必ず決まっている。それなのにどうしても逃げ道を探している。
「私、やっとみんなと仲良くなったのに、親友もできて、好きな人もできたのに、それなのに、それなのにさ、また一からだよ」
「一からじゃないよ、俺たちはずっと親友だ」
「違うよ、一からだよ。だって二か月だよ?」
「二か月でそんなに変わらない」
「変わるよ、拓哉も私を忘れるよ」
「忘れないよ、ずっと親友だよ」
下を向く早百合。過去に何かあったんだ。
「その、二か月は早まることはないのか」
「うん、親が私に行かせるみたい」
親か。親はどうしようもないよな。
「そっか」
沈黙が流れる。どうしようもできないよな、ただ安心してもらうしかない。
「昔ね同じような体験をしたの、二か月だけ海外に行ったのそしたら、学校に私の居場所なんてなかった。だから今回も怖いの、帰ってきたら私の居場所は無くなっているんじゃないかって思ってしまうんだよ」
「大丈夫そんなことは決してない」
「違うあったのそんなことが」
何も言えない。だって体験しているんだ。
そして、死んでいる目に微かな光を宿し早百合は言う。
「一緒に海外に行かない? 拓哉がいたら私は大丈夫だから」




