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63話 甘える性格

「私と付き合ってくれ」

 甘い声で言う凜先輩。

 俺はなんて言えばいいんだ。どう言えば正解なんだ、どうすれば傷つかない。なんて言えば。

「拓哉、私の目を見てくれ」

 今にも泣きそうな顔をしている。

「大丈夫待つから、ちゃんと待つから」

「だから、今は、今だけはここに居てくれ」

 そう言い、眠りにつく。寝顔は可愛い。って思ってもいいのかな。俺はどうしたいいんだよ。自分が嫌いになる。

 凜先輩が言っていることは全部本当だ、多分琴音も早百合も志保もきっと俺のことが好きだと思う。

 けど、俺は何を思ってるんだ。分からない、分からないよ。誰が好きなんだ。

 バレないように静かに泣く。

 恋の問題は正解がない。どの道も正しくてどの道も不正解だから。元から正解なんて無いんだ。

 俺は、雪を忘れることができるのか。多分無理だ。雪、俺は幸せになってもいい人間なのか。こんなクズな人間が幸せになってもいいのか?

 多分、いや絶対に駄目だ。俺は幸せになっちゃいけない。

 きっと、俺と付き合う人は不幸になる。

 手で目を抑える。

 俺は、どうすればいんだ。

 俺の隣にいる人は幸せになって欲しい。けど、俺が幸せになるのは許されない。

 だから、俺と一緒に居たい人がいたらどうすべきだ。

 やめよう、今は考えるはやめよう。

 いつか必ずその日が来るから。

 凜先輩は俺の膝でぐっすりと眠っている。

 上から見ても本当に美人で高嶺の花だ。

 起きたらなんて言うのかな。もしかしたらさっきの出来事は忘れていつものような性格に戻るかな。

 そんなわけないよな、ちゃんと起きてたし。

「ちゃんと決めるよ」

 独り言が漏れる。

 改めて周りを見渡す。

 奥には家族の写真。楽しそうな写真だな。

 けど、もうこの世にいないのか。

 ずっと一人で頑張っていたんだな。いつ家族を失ったかは分からない、けど、家族を失うことは本当に辛い。

 俺は、凜先輩が起きないように頭を持ち。枕に乗せる。

 バレないように部屋を出る。

 リビングに行き、冷蔵庫を開ける。

 結構入ってるな。野菜や総菜が入ってある。これと、これなら、あれが作れそうだな。

 俺はカレーライスを作り始める。

 てか、熱あるのにカレーライスって。馬鹿じゃん俺。

 作ること40分、匂いで起きてきたのか。

 凜先輩は階段を下りて俺の方に向かってくる。

「カレー?」

「そうですよ。何も食べてないですよね?」

「うん」

 いつもと変わらないと言ったら嘘だな。どこか甘い性格をしている。

 俺の方に近づき、スプーンで鍋に入ってあるカレーを取る。

「はい、あ~ん」

 新婚夫婦かよ。

 俺はカレーを口に入れる。

 あっつ。

「あ、ふーふ忘れてた」

「わざとですか?」

「そうかも?」

「最低ですね」

「罪な男がよく言うよ」

 いじるように言う。肩をツンツンと指で突く。

「私はもう、甘えると決めたよ」

 俺の肩に頭を乗せる。

「きっと、私のやっていることは罪だな」

「大犯罪ですよ」

「そうかもね、でも捕まることはないな」

「まあ、確かに」

「じゃあ、好きなだけやっても大丈夫だな」

「そうですね。捕まることは絶対にないですから」

「じゃあ、これは捕まるかな?」

 頬にキスをする。

 何回されてもビックリする。俺の頬ってそんなに魅力的なのか。

 キスをして凜先輩はテーブルの近くに行き椅子に座る。

「さあ、拓哉私にカレーライスをくれ」

 綺麗な足で、足を組み。俺の方に向かって腕を伸ばす。綺麗な髪。綺麗な容姿。

 そんな彼女が何故か俺の隣にいる。


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