60話 噂がギャルで真面目がほんと
噂が流れる前日。
俺たちは、パフェを食べ終えて学校に向かっていた。
「ねえ、夏と冬ってどっちが好き?」
「俺は、冬だな」
「なんで?」
「暑いのが好きじゃないから」
「うわ、私と同じだ」
「うわってなんだよ? 俺も最悪ですよ、俺の人生を潰そうとした人と同じだなんて。可哀想~だな俺って」
「はいはい、すみません」
笑みを浮かべる楓。やっぱ人って笑ってる時が一番可愛いよな。
今日は暑さなんて感じなくて、いつも重い足が今日はどこか軽く感じた。
大量の紙を持ちながら俺は部室に向かっていた。
学校に着くと、先生が待っていて酷く叱られた。そして、大量の紙に反省文を書くように命令された。
説教は放課後まで続いた。
なんで俺は部室に向かっているかって? みんなに事情を話して協力をしてもらためだ。
部室のドアを開ける。
「おお~話してたらちょうど来たぜ」
成瀬が言う。
部室内は、想像を絶するほど人がいる。
早百合、琴音、成瀬、志保、花梨、優香、環奈、幸、直美、凜先輩。
なんでこんなに人がいるんだ?
「あのーどうしてこんなに人が」
「拓哉があんなことをするなんて」
絶対にからかっている志保が演技をしながら言う。志保、お前は女優になった方が絶対にいいぞ。
「大丈夫だよ、拓哉、また私の家に泊ってもいいわよ」
絶対に今言うべきではことを早百合が言う。
「また、ピアノを聴きに来ていいからね拓哉」
天然なのか、それとも小悪魔なのかわからない琴音が言う。
「拓哉って最低だね」
環奈が俺を汚いものを見るような目で俺を見る。
「ちょっと一回待って」
「その、勘違いしていなか?」
「え」
全員が口を揃えて言う。
「だって、拓哉って変態なんでしょ?」
なにも合ってませんけど。
俺はことの経緯を話した。
「なるほど、あの金髪ギャルが拓哉に助けを求めたと」
環奈が言う。よかった話がちゃんとできる人がいて。
「それで、お前は助けたいのか?」
「はい」
「それは、何故だ?」
「助けたいと思ったから」
環奈は真剣な表情をする。
「ふざけてるのか?」
「いえ」
「その子はお前の人生を潰そうとしたんだぞ? それなに助ける?」
「はい、助けます。絶対に」
「いいか、私はこれ以上お前が傷つくのは見たくないんだ」
「どんだけ傷ついても、俺は助けを求める人は必ず助けたい」
「もう、やめようそんなこと」
「辞めれないよ、分かるだろ、環奈」
「は~もう分かったよ。私が近くにいてやるよ、いつ壊れても大丈夫なように」
「頼りにしてるよ」
「それで、どうやって助けるんだ?」
「簡単です。噂を流します」
「どんな噂を?」
「俺が楓を脅していると」
周りは驚く。それもそのはず俺は今馬鹿なことを言っている。
「それは、ロマンね」
ただ一人花梨を除いて。
「拓哉それはやめようよ」
幸が不安そうな声で言う。もう決めたことなんだ。一度流れた噂は簡単に消すことはできない。なら、その噂を上回る噂を流せばいい。簡単なことだ。
「もう、決めたんだ」
「だから、みんな頼む俺に協力してくれ」
「確実に地位と名誉が失うぞ? 回復してきたのに」
凜先輩が怒りと不安を交えて言う。
「地位も名誉も要りません。だってもうみんながいるから」
そしてみんなが口を揃える。
「拓哉って本当に馬鹿ね」




