表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/91

50話 in地獄

「あのーそろそろ手を放してもらってもいいですか? 花梨さん」

「嫌ね」

 5歳児が拗ねていると言っても信じるであろう。

「この、キスマークは消えるんですか?」

「あら、気になるの?」

「気になるより、その俺これから人と会うんですけど」

「奇遇ね私もよ」

「もしかして?」

「そう、もしかして」

 終わった。いや、何も終わっていない。てか、俺無罪なのになんで有罪みたいな雰囲気あるねん。

「てか、何かありました?」

「別れた」

「うーん。え?」

「あら、いい表情ね」

 同い年なのに、どこか大人の雰囲気を感じる。この色っぽさとか。

「それで、別れたら人の手や首にキスをしても良いですか?」

「だって、生徒会長の凜先輩はキスしてたよ?」

 なんで知ってるんだよ。いや、あの場所人が多かったな。

「それは、その」

「私じゃもの足りなかったかしら?」

「いえ、違います」

「あら、可愛い」

 頬にキスをしようとする。

 俺は手で止めようとする。しかし、この人力が強い。止めようとする手を止めようとする手。

 その時バスが止まり目的地に着く。

「時間切れか」

 悲しそうな顔をする花梨。てか、本当になんで悲しそうな顔をするんだよ。後、キスとかやめてよ!!

 風のように速く。電車よりは遅く。つまり、キスをする。

「ここなら、バレないね」

「ふぁ」

 花梨は先に降りて行く。

 俺って高校生で16歳だよ? なんでこんなキスばっかりなんだよ。てか、キスされすぎだろ。

 俺も急いでバスを出る。

 誰にもバレないようにトイレに向かう。

 鏡を見る。しっかりと跡が残っている。

 なにか隠せるのないかな、鞄の中を漁る。これは、これならいける。

 明らかにおかしい位置に絆創膏を張る。よし、これなら大丈夫だな。大丈夫...。

 待ち合わせ場所に急いで向かう。やべ、時間ないぞ。

 待ち合わせ場所には人が集まっていた。ちょうど俺で最後だな。

「すみません遅れ...」

 琴音と、花梨が喧嘩をしていた。

「ねえ、花梨聞きたいことがあるんだけど」

 志保は明らかに怒っている。

「どうしたの?」

 年上のような仕草をする。

「今日、バスで拓哉にキスしたでしょ?」

 キス、という単語に凜先輩がビックとする。

「ええ、濃厚なキスをしたわ」

 してない、してない。本当に。してないよな?

 成瀬が俺の方に向かってくる。

「お前、抜け駆け禁止だぞ」

「いや、本当にやってない」

「知ってる」

 コイツ俺のことを鼻で笑いやがって。

 俺だってキスしたいわ、キス、キスしたことあるわ。

 凜先輩と目が合う。

 凜先輩は目を逸らす。なんか俺ピンチじゃね。

「花梨って拓哉のことが好きなの?」

「まあ、好きって言ったら好きかな」

 好きという単語に、早百合、琴音、凜先輩が、ビックと体を動かす。

 環奈が俺の方に向かってくる。

 俺の肩を叩き、耳元で囁く。

「地獄に行きな」

 勘違いしてるかも。うん、話そうか一回。ごめん、地獄だけは嫌かも。

「地獄の匂いがするよ」

 もちろん距離が近い。優香はそれだけ言い。環奈方に歩いていく。

 純恋先輩が小悪魔みたいに走ってくる。俺の横を通る時、俺にだけ聞こえる声で言う。

「早百合に飽きたんだ。じゃあ、一緒に地獄に落ちようか」

 うん、なにも合ってませんよ? 後地獄嫌です。

 俺で最後かと思ったけど、結婚を命令してきた彼女はいなかった。

 周りを見渡す。

 大きな荷物を持って走ってくる彼女。俺に手を振っている。

 多分、今は無視した方がいいな。うん絶対に。

 俺の方に走って向かってくる。

「う、うわうわうわ」

 効果音を自分でつけ、俺にぶつかる。

 ぶつかった衝撃で俺は仰向けで倒れる。

 彼女は俺の上に倒れる。

 長い髪が俺の顔にちくちくと当たる。

「結婚決めた?」

 数秒ほどの沈黙になる。

「え、えええええええええええええ」

周りの人たちは悲鳴をあげる。

 あのーこれからどうやって生きて行けばいいんですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ