表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/91

5話 ファーストキスと言う魔法で美しくてあーだーこーだ

 俺は天国と地獄の狭間にいる。右を見ると地獄で、左を見ると天国。俺は誰を選ぶのが正解なのか。こうなってしまったのは、たしか一時間前。

 「今日から部活か、楽しみだな早百合」

 早百合の方を見るとひどく怯えていた。今は裏の顔なのに何に怯えているんだ、前を見ると、そこには美少女がいた。って普通のことやん。

 俺たちの方を見て走って来た。なんだよ、その天使みたいな走り方、毎日夢で出て来て欲しいレベル。

 で、なんで俺は抱き付かれているんだ。

「ちょっと、どちら様ですか?」

 俺には見覚えのない人だった。誰なんだ。

「私は早百合のお姉ちゃんの純恋すみれです」

 え、えええ、なに、え、光と闇みたいな対決。やだ、光について行こうかしら。

「じゃ、後は頑張れよ!俺は純恋と幸せに暮らす」

「きも」

「調子に乗りました。」

「お姉様ここで何をしていたんですか?」

「暇つぶし」

 なんて可愛んだ。ずっと見ていたい。

「そうなんですか。では、私たちはこれで失礼します」

「えーえー、拓哉を貸してよ」

「いいえ、拓哉は私の物です」

「そんなこと言わずに貸して?」

「あのー俺は物じゃ.....」

「うるさい」

 姉妹だなちゃんと。ちゃんと。

 階段を上がって来た男子が、純恋先輩に挨拶をしようとしていた。

「あ、さよ」

「話しかけないで」

 男子は泣きそうな顔をしながら帰って行った。

 え、怖い。もしかして、早百合は俺に冷たくて、純恋先輩は俺にだけ優しいってこと?天国と地獄だな。

「どっちと仲良くしたいの?拓哉は」

 これは天国か地獄かを選べということだな。じゃあ、俺は、俺は、選べないに決まってるだろ。てか、

「俺は物じゃないって言ってるだろ。」

「おい、」

 「はい」

「大丈夫よ」

「なんて優しい」

「そうですね、俺はパフェを選びますかね」

 天国と地獄から抜け、宇宙に来ていた。ここなら争いごとは起きないだろう。

「私は、チョコパフェ」

「私は、いちごパフェ」

「俺は、フルーツ特盛パフェで」

「すみません、チョコパフェじゃなくて私も彼と同じの1つ」

「すみません、いちごパフェじゃなくて私も彼と同じの1つ」

 あれ、なんか起きてない?てか、なんで同じもの頼むんだよ。

「え?なんか勝負してる?もしかして」

「そんなことないよ、びっくりさせてごめんね」

「いくらでもびっくりできます。」

「ふふ、やっぱり面白いね拓哉って」

 どこか腑に落ちないがまあ、いっか。

「どうなの、最近」

「クラスからは変な期待をされてる感じがする。イメージが膨らみ過ぎてる気がする」

 不安な声を漏らす早百合、期待が大きなストレスになるんだな。そう、思いながら外の景色を眺める。おいおい、外には知ってるカップルがいた。まずいこの店に入ってくる。

「まって、まずいぞこの店に知ってる人が入ってくる。この状況まずくないか?俺トイレ行ってくるから何とかしてくれ」

 俺は急いでトイレに行った。急げ、急げ。トイレのカギの所が赤になっていた。詰んだ。

 やばい、と思っていたけど店に入って来なかった。俺は席に戻り、外を眺めていた。

 さっきまで和気あいあいとしていたカップルの姿はなく、一人ポツンと立っている美少女しか居なかった。

「パフェ溶けるよ?」

「う、うん」

 俺はフルーツパフェなんかより外にいる女性を眺めていた。

 明らかに元気がなく、空っぽな人になってる。

「私が食べるよ?最底辺さん」

「ああ」

 俺は急いで店を出た。赤信号だというのに彼女は歩き始めていた。俺の足速く、走れ、速く。

 顔が見えたけど、どこか暗そうな感じがした。車が来る。まずい。

 「おーい、危ないぞ」

 声が届かない。俺は彼女を助けるために飛び込む。どん、とでっかい音が鳴る。

「おい、大丈夫か?」

 手には擦り傷がたくさんできていた。まあ、いいだろうこれぐらい。

「ケガ、ないか?」

 店の方から、二人が出てきた。こっちに来てくれと声をかける。二人が俺の方に来る。

 次の瞬間俺のファーストキスが奪われた。

「好き」

「え?」

「え?」

「え?」

ブックマークや評価お願いします。モチベに繋がります。お願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ