4話 部活は青春である
「今日で部活決めろよ。今日までだからな、もし決めなかったら先生と草むしり部に入ることになるからな」
絶対嫌だ。ありえないだろ。高校生にとって部活は青春だ。大切な思い出になることは決まっている。
部活か、何に入ろう。
「なあ、成瀬は何部に入るんだ?」
隣にいる成瀬に聞いてみた。
「さあ、お前と同じ部活に入りたいな」
「そうかそうか、俺のことが好きなんだな」
「..........」
「無言やめて。」
「まあ、本当の所バスケ部かな」
「いいやん、お前バスケうまいし」
「なに言ってるんだよ、お前が一番うまかっただろ」
「ありがとう」
ドヤ顔をしてやった。俺は中学生の頃バスケが好きで趣味程度にやっていたけど、生徒会に入ってからあまりやらなくなっていた。今は多分下手になってる。
部活は大切だけど、人間関係も疲れるんだよな、特に先輩後輩の関係。あれ、一番苦手。
部活に入りたくないけど、入らないと草むしりか。どっちも地獄に近いな。
放課後の教室は静かだった。誰も周りにいなく時計の音だけが響いていた。時刻は17時。部活の説明会に行く人が多く俺は焦りを感じていた。
この目の前にある一枚の紙と見つめ合うこと30分。
タイムリミットまで1時間。針の音が俺を追い込んでくる。急げ、急げ。
「ねえ、ねえってば」
「は、はいいいいい」
額の汗を拭き。前を向く。ふう、危なかった。
「話聞いてるかな?」
「いいえ、何も聞いていません。私も部活迷ってるから、一緒に部活作ろうっていう、話を聞いていません。本当に」
「素晴らしい。一言一句あってるじゃない」
あ、やってしまった。俺は何も聞いてない。聞いてない。
「さあ、先生に言いに行きましょ」
「まて、確認だが本当に俺と部活を作るのか」
「うん、だってあなたしかいないじゃない」
「今のは告白と受け取っていいのかな?」
「あ、そうね。だってあなたしか奴隷がいないじゃない」
そうかそうか、ってえええええええええええ。
高校生の思想じゃないぞこれ。
「さて、行くよ」
「はい」
※
職員室前俺は緊張で殺されそうになっていた。この状況はなんと言うべきか。そうだな地獄としか言えない。
「だから、私はあなたの誘いを断ってるんだけど」
「そんなこと言わないでさ、うちの部活に来てよ」
しつこい男子に呆れている早百合。こんな絡み方をする男子なんて嫌われているだろうな。
「あの、私たちは職員室に用事があるのでそこを退いてもらってもいいですか?」
優しく言う早百合に男子は切れ気味に返した
「はあ?部活に入ってくれたら退くよ」
なんともダサい男なんだよこいつ。俺たちのタイムっリミットは残り15分。
はあ、めんどいけど、しかたないか。
「さっきから聞いてるけどダサいぞお前」
俺は早百合の前に立ち。男子に向かって言った。
「誰、だよお前」
高圧的になる様子を見て。こっちが恥ずかしくなる。声を上げればかっこいいと思ってるのか。
「残念だけど、俺が早百合と部活をやるんで。ごめんね」
煽り交じりに言う。
「早百合がこんなダサい男と部活って、笑わすなよ。俺みたいなイケメンと部活するに決まってるだろ」
えぐい悪口を言われたけど、気にしない。まあこれがスクールカーストの上位の男子の発言だぞ。不平等だ。
「まあ、俺みたいなダサい男子とやるのは早百合が天使だからだ。俺が無理にお願いしたから」
「ち、優しさに甘えたごみが」
言いすぎです。言い過ぎ。
「悲しくなったら俺の所に来てもいいからね、早百合さん」
最後に捨て台詞を吐いてこの場を去っていった。
「ありがと」
「?ごめん聞こえなかった」
「なんでも」
少し怒りながら、言う彼女を見つめる。全く気持ちが分からない。
部活の手続きは無事に終えた。今日は疲れたな、渡り廊下から見える海を見る。
「綺麗だな。」
「私の方が綺麗だと思うけど」
「そうだな」
俺たちは海を眺めていた。ふと、気になった事がある。なんで俺と部活をしたかったんだって。
「なんで、俺だったんだ?部活みんなから誘われているだろ?」
「私は、あなたとしか部活したくなかったのよ」
「嘘?」
「本当よ。私の心臓を懸けるわ」
めっちゃ可愛いこと言うやん
「そうか。ところでどんな部活作るんだ?さっき手続きしてたし」
「あ、ボランティア部」
おい、変わらないじゃないか。草むしり部と。
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