34話 海
俺は鏡の前に立ち、自分の体を見つめる。少しは、筋肉が付き始めてる。
まあ、これなら大丈夫だろう。
夏休みが始まり、夏休みも一週間経っていた。明日、凜先輩と海に行くことになっている。
緊張で死にそうだが、緊張しているのは俺だけだと思う。そう考えると俺ってキモくね?
首を横に振り、筋トレを始める。
音楽を聴きながら筋トレをする。その時、電話が鳴る。
相手は凜先輩からの電話だった。
俺は急いで電話に出る。
「どうしました?」
「そ、その、明日楽しみだな?」
いつもと性格は違くて、どこか、照れているようだった。
「ええ、楽しみですね」
「そ、そうだよね!なら、よかったよ」
「凜先輩?質問してもいいですか?」
「ええ」
「明日って海に行くんですよね?」
「ええ、私も泳ぐよ」
電話越しでも笑顔になっているのがわかる。
あと、泳ぐってホント??
「そ、そうなんですね!明日楽しみしときますよ。凜先輩」
「ああ、楽しみにしといてくれ」
「はい、では、おやすみなさい」
「おやすみ、拓哉」
この、会話だけ聞くとまるでカップルだよな。いや、何想像してるんだよ。
その後、お風呂に入り布団に潜った。
今まで感じたことのない目覚めだった。鳥の鳴き声が優しく聞こえ、まるで俺を応援しているように感じた。
時刻は7時。待ち合わせの時間は11時になっている。
そう、あまりにも早く起きすぎてしまった。暇だな。
俺は、リビングに行く。
家には俺と妹しか住んでいなくて、とても静かだった。
今日は俺が朝食を作るか。そう思い、俺は朝食を作り始めた。
二人分の朝食を作り、テーブルに並べる。由衣はまだ起きていないのでラップをする。
朝食を食べ終え、俺は準備をする。改めて、緊張してきた。だって、女子と二人で海だぞ?海って、あの海だぞ。その、水着とか、だって、凜先輩は高嶺の花だぞ、そんな人が俺と海って、深海と空くらい差があるぞ。
俺は、自分の部屋を歩く。緊張してきた、どうしよう、キャンセルの電話をするか?いやそれは最低だ。どうしよう。
よし、楽しもう!!うん、それが一番いい。変に緊張なんてしないで普通に楽しめばいい。
俺は荷物を持って、家を出た。まだ、8時なのに。
待ち合わせの海は綺麗な場所だった。
俺は、残りの三時間をどうやって使うかを考えていた。俺は、更衣室に行き、水着に着替える。この日のために筋トレをしてきた。着替え終え俺は更衣室を出た。
更衣室を出た後、俺は。砂浜にあるベンチに座る。
「えええええ」
突然後ろから叫び声が聞こえる。この声は、そう、凜先輩。
俺は後ろを向く。
「えええ、来るの早過ぎません?」
「そっちこそ、早過ぎじゃない?」
どうやら、俺たちは二人とも緊張をしている。
そして俺は気付く。
凜先輩の水着姿は、その、あれだ、天使だ。花柄の水着。もう、本当に高嶺の花だよ。どこからみても綺麗で、綺麗で、もう、綺麗しか言葉がでない。
「水着似合ってますね」
「ありがとう」
顔を下に向ける。照れているのか、それとも、キモい発言に怯えているのか。
「拓哉も、筋肉凄いじゃん」
心臓を掴まれる。やばい。俺も下を向く。あぶない、死ぬところだった。
夏のビーチはやはり暑くすぐに汗をかいてしまう。俺たちは日陰のベンチに座る。
「でも、どうして海なんですか?」
「私は、海が好きでね、こんないい景色を拓哉とみれたら幸せだと思ったんだよ」
太陽にも負けないレベルの明るい笑顔で言う。確かに、ここから見える景色はとてもいい。あと、俺とみれたら幸せ?
「確かにここ、めっちゃいいですね」
「ねえ、拓哉、頼みごとが2つあるんだが」
「はい?」
「そのだな、日焼け止めを塗ってもらえないか?」
俺は、固まる。
「その、背中をお願いしたいんだ」
「わ、わかりました」
日焼け止めを受け取る。凜先輩はうつ伏せになる。
背中は、綺麗で、とても白かった。本当に天使じゃんと思ったけど、俺は緊張で死にそうになっている。
俺は、日焼け止めクリームを手に出す。手にまんべんなく広げ。そして、勇気を振り絞って、背中に手を当てる。
「きゃあ」
「大丈夫ですか?」
「いや、手が冷たくて」
「すみません」
俺の、手は緊張から冷たくなっていた。
ゆっくりと、背中にクリームを塗る。俺は、何をしてるんだよ。と思いながらクリームを塗っていく。
そして、凜先輩は2つ目の頼みごとを言う。
「拓哉」
「はい?」
「私の彼氏になってくれないか?」
うん、ん??え?えええええええ?




