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28話 勉強が好きな人は本当の天才

「ねえ、聞いてる?」

 聞いてるも何も、聞けるわけがないだろ。俺の、俺の、パフェが、楽しみにしていたのに。

「あ、あわあわ」

 突然慌て始める直美。

 俺は、倒れているパフェを見たり、直美を見たり、チラチラする。

 そして、数秒ほど直美を見つめる。

「わ、わかったよ、奢るから許して」

 俺の顔に笑顔が戻る。

「やった――――」


 イチゴパフェが俺のテーブルに来る。

「ありがとうございます」

「それで、私の話聞いてる?」

「いえ、全く聞いていません。私は勉強が苦手で、今度の夏休み前のテストで点数を取らなかったら夏休みずっと学校に行かないといけないの、だから、私に勉強を教えて。なんて聞いていません」

「聞いてるじゃない」

「あ」

「でも、なんで俺なんだ?噂も知ってるだろ?」

「知ってるよ、けど、あなたからそんな悪い人の感じがしないの、それに次期生徒会長だから頭が良いと思って」

「でも、俺にメリットがあるのか?」

 俺は、少し意地悪なことを言う。もちろん、メリットなんてなくてもやるけど。頼まれたなら。

「私と一緒に勉強ができること?」

 そんなことがメッリト?はあ、もちろんやります。

「でも、俺といると直美もなんか言われるぞ?」

「そんなことどうでもいい」

「そっか、じゃあ連絡先交換しないか?」

「その」

「?」

「ああ、ごめんいきなりキモいよな」

「いえ、その、どうやって交換するんですか?」

「あ、ああ、こうやれば交換できるよ」

 まさか、俺が初めてなのか。

「ありがとう」

 ニッコリと笑う直美の笑顔は全てを破壊できるほど強力だった。

「教えるのはいいけど、どこで教えるんだ?」

「学校がいいかな」

「わかったよ、明日から学校で一緒に勉強をしよ」

「本当?ありがとう。じゃあ、明日からよろしくね」

 急に立ち上がり店を出て行った。そんなに嬉しかったのか。

 まてよ、奢るっていう約束はどこにいったんだ。や、ら、れ、た。


 翌日学校に着くと俺の席に弁当が置いてあった。最初は嫌がらせかと思っていたが、中身を空けると、『勉強を教えてもらうからその報酬』と書いてある紙が入ってた。

 俺は、直美の方を見ると。誰にもバレないように手を振っていた。

 可愛すぎだろ。この破壊神が。

 癒しを得ながら俺は席に着く。荷物を引き出しに入れる。その時、引き出しの奥に何かがあった。

 弁当のような箱が入ってた。恐る恐る中身を確認する。『あ、やっとみた?愛してるよ』と書いてある紙が入っていた。

 なんだよこの、ハーレム状態。

 お昼時間になり、俺は志保からもらった弁当と、直美からもらった弁当を食べた。

 志保の弁当は、肉と肉と肉だった。まさに、男が一番好きな弁当だった。もちろん、すべて食べた。味も美味しくてずっと食べれるレベルだった。

 直美の弁当は、肉じゃがに、タコさんウインナーに、ピーマンの肉巻き、などの、隙のない100点の弁当だった。美味しすぎてほっぺが落ちそう。

 幸せ過ぎる。俺なんかがこんな思いをしてもいいなか?と思ってしまうほどに美味しくて幸せだった。

 

 やがて放課後になり、教室は俺と直美だけになっていた。

 俺は直美の横に座る。すると直美は俺の方を向いて言う。

「前に来てよ」

 どんなお願いやねん、多分集中できないよ。だって、なんか、その、照れるやん。

「わかったよ」

 俺は、机を直美の前に持ってくる。顔が合ったが、なにも気にしていなかった。

「さて、ここから教えてもらおうかしら」

 参考書に指をさす。

 問題は、中学生の数学の問題だった。なんでこの高校に入学できたの?不思議だった。

 けど、人それぞれ、得意、不得意はある、だから、俺が不得意を得意にしてやるか。

「ここは、こうやるんだよ」

「なるほどね」

 俺たちは勉強を2時間ほどやり、学校を出た。

 そして、校門前。

「ありがとね!!明日もお願い」

 顔の前に手を合わせて言う。

「うん」

 それだけ言い俺たちは解散した。

 帰ってる時何者かの気配がした。まあ、一人しかないだろう。

「どこか行くか?志保」

 俺の右腕に飛びつく。

 昨日の志保とは違っていて、髪を切っていた。

 長袖の制服を着て、髪がボブになっている。そして、眼鏡をかけていた。

「眼鏡、絶対意識してるだろ」

「だって、眼鏡の子が好きなんでしょ?」

「違うよ」

「そうなの?あんなに楽しそうにしてたのに」

「いつから見てるんだよ」

「ず、っ、と」

 嬉しくないよ、そんな、ひ、み、つ、みたいな言い方やめてよ。普通に怖いから。

「あの女のは、大丈夫なの?邪魔者?」

 あのー怖いです。本当に。

「普通に勉強を教えているだけだから」

「ふーん」

「本当だよ」

「へーー」

 どこか、腑に落ちていないが、まあ、大丈夫だろう。

「私には、何もしてくれないのに」

「じゃあ、お詫びに夏休み中に遊びに行こう」

「本当?やったー」

 大喜びをする志保に思わず笑ってしまう。

 そして、ため息をつく、夏休みは絶対に忙しくなると思うから。

 

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