27話 丸眼鏡は天才に見える
7月中旬とは、思えない暑さ。
夏の暑さは異常だ、アイスを1分で溶かす力を持っている。
だって、俺の買ったアイスが食べる前になくなっている。
と、言いたいが、夏の暑さは関係なしに、早百合に食われている。
「なんで、俺のイチゴアイスを食べているんだ?」
「その、食べたくて」
許すと思ってるのか。可愛かったら。おい、だめだ、許すな。
「ごめんね」
目をパチパチとする早百合。
よし、許そう。200円なんて安いもんだ。
早百合は俺のアイスを食べ終える。ほっぺが落ちそうだよ。とか言ってるけど、何も響きませんよ。
俺と、早百合は歩くことにした。
「最近調子はどうなんだ?」
「まあ、あなたより、調子が良いわ」
「へー」
「まあ、1つ気なる点はあるけど?」
「なんだ?」
「最近、冷たい人がいるの」
「まじ?」
「それで、最近相手をしてくれないの」
「マジかよ?って。え?」
まさか、まさか俺のなのか。確かに、最近早百合とは話す機会が減ったと思う。それもそうか、天才ピアニストの琴音、愛が重い志保。
この3か月で色々あったな。俺もちゃんとしなきゃな。
「ごめん」
「あら、自覚があるのね」
「ああ」
「まあ、今度の土曜日にパファ食べに行くなら許そうかしら」
「ありがたき幸せです」
多分、奢りになるがまあ、いいだろう。
「そういえば、クラスの女子の直美って知ってる?」
「確か、人気ものだよな、勉強ができて、天才って言われてるよな」
「そう、よく知ってるね。それで、直美があなたを探してたよ」
「え?なんで俺が?」
「さあ」
少しにっこりと笑う早百合。
「なんで、笑ってるんだよ」
「そうね、あなたって意外と人気者だと思ってね」
「そんなことねえよ」
「いえ、人気者よ」
「そうなのか?」
「うん」
空を見上げる早百合。
「少し寂しいもん」
「え?」
「だって、パシリがいなくなるから」
ええええ、悲しいムードだったやん。まあ、悲しいムードなんて似合わないな、早百合には。
でもさ、俺の気持ちは返せ。絶対だ。
「そうか、まあ、いつでも呼べ!隣にいてやるから」
「あら、じゃあ、遠慮なく呼ぶわ」
「はいはい、どうぞお呼びください」
俺たちは、綺麗な夕焼けを眺めながら帰った。ただ、ゆっくりと歩きながら。
火曜日といったら、そう、単元テストがある。
うちの高校は名門校であって、テストの量も多い。
もちろん、悪ければ追試なんて普通にある。
まして、俺は時期生徒会長であることが決まっている。だから点数をしっかりと取らないといけない。
使途会長になるのは、嬉しいのか?いや、嬉しくなんてない。だって、まだ、俺の噂は消えていない。消えることを願おう。
志保もあれから、俺にだけ本当の自分を見せている。
まあ、全部上手くいっている。
テストは簡単だった。単元テストをする理由を教えてくれ。大切なのは理解できてる、けど、単元テストはさすがにいらないでしょ?絶対に世の高校生は思ってるよ。
放課後になり、俺は教室を出た。視線を感じたから。まあ、俺は嫌われている。教室に俺の居場所はなかった。
ある方が不思議だな。
今日は、いつものカフェに来ていた。
俺は窓際の席に座る。イチゴパフェを注文する。俺は、いつもイチゴパフェを注文するがちゃんと食べたことがない、いつもトラブルに巻き込まれる。
良いことなのか、悪いことなのかは、置いといて。今日は、今日こそは堪能したい、イチゴパフェを。
俺のテーブルにイチゴパフェが来る。ワクワク。
イチゴパフェが俺のテーブルに来ると同時に客が店に入ってくる。
黒上で丸眼鏡をかけていて、頭が良く天才と言われている、容姿端麗の九条直美が俺の前に走ってくる。
走ってきて勢いは止まらずテーブルにぶつかる。ぶつかった衝撃でイチゴパフェが倒れる。
「ねえ、99×99って200だよね?」
天才と噂されているとは思えない発言をする。
「ねえ、合ってるよね?」
「全然違うと思うよ」
「え?そんな」
これが、天才と噂れているが、本当は馬鹿である、容姿端麗な九条直美との出会いであった。




