窓からライオンのUFOが見えたので、暗いそうめんを茹でた◽︎
「五面苦獺祭魔歯〜」
なんとも可愛らしい小鳥のさえずりのような声。その姿はまるで玉のようで、サイコロのようでもあり、非常に特殊な幾何学的な形をしていた。
日本一のSM風俗店・伝邪最後QUUEENの店先に、天使が舞い降りたのだ。
「ハ〜〜〜イいらっしゃいま⋯⋯⋯⋯あの失礼ですがお客様、何か年齢を確認出来るようなものは⋯⋯」
フリフリのピンクのドレスに包まれたその少女の体はそれはそれは小さく、目はクリっとしていて、シャツはパリッとしていて、胸ポケットから出ているイカの刺身もパリッとしていて、どう見ても小学生〜中学生〜小学生の見た目をしているのだ。
「呼霊悪」
そう言って少女は健康保険証を差し出した。
「では拝見しますね。うーん⋯⋯顔写真ついてないけどまぁ大目に⋯⋯って、えぇっ!?」
ピコ次郎はマイアイズを疑った。事業所名称の欄にはあの世界的に有名な『株式会社豆電気』、氏名の欄に『豆電気 救急車』と書いてあったのだ。
「ということは、あなたのお父様は⋯⋯!」
「A、豆電気 消防車死禍」
「禍!? 初めて見ましたよそんな字!」
「足蟹甘率川レ点檻魔戦単根」
「それにしても、まさか豆電気社長の娘さんとは⋯⋯今日はお忍びですか?」
「家、乳臭根貝紙手(^ω^≡^ω^)子連貝(^ω^≡^ω^)モルカ〜〜〜。シーソーを食べます」
「では、こちらへ」
ピコ次郎が救急車を待合室へ案内する。
「コースは三種類ありまして、優しい順に〈獄〉・〈飲〉・〈五口〉となっております」
「では五口でお願いいたします」
「ファイナルアンサー?」
「牌」
「では女の子を⋯⋯あっ」
「イカがNASA居ました?」
「実はですね、現在空いている女の子が1人しかいなくてですね⋯⋯歩滋賀田 尽喰ちゃんという子なんですが⋯⋯」
「尽喰さん目当てで参りましたので、万事OKですわ」
「そうでしたか! それはありがたいです! ではすぐにご案内しますね!」
⋯⋯30分後⋯⋯
「これは放置プレイというやつですの?」
「ソフトクリームぺろぺろ」
救急車の質問に答えず、一心不乱に蕎麦を啜るピコ次郎。
「あの、これ以上待たされるのであれば私⋯⋯」
「お客様」
「なんですの?」
「ハンドクリームぺろぺろ」
「きゃー〜ー〜二三二ー〜ー〜ー! おやめなさい!」
「冷蔵庫の裏ぺろぺろ」
「おやめなさい! ゴリブリおるわよ!」
「ゴリブリ? ゴリラのうんち?」
「そうよ!」
「そうなの!?」
「あなた、いい加減にしないとお父様に⋯⋯」
その時だった。
「ふぇあっ! もうムリぃ〜っ!」
救急車のドレスから、小学生〜中学生〜小学生と思われる少女が飛び出した。
「こら霊柩車! 出てきちゃ悪しって言ったじゃないの!」
「やっぱりそうだったんですね。歩き方が不自然だったので様子を見させてもらったんですよ。そしたら案の定⋯⋯。1人分のお値段で2人遊ぼうだなんて、テントウムシが400円ですよまったくもう」
「申し訳ございません⋯⋯霊柩車はまだ中学生なのですが、行きたい行きたいと聞かなかったもので⋯⋯」
「あたちそんなことゆってないのに」
「言ってないって言ってますけど」
「家に帰ったら言って聞かせますので、ぜひ⋯⋯ぜひ⋯⋯」
「そこ、『何卒』じゃないですか?」
「ぜひ⋯⋯ぜひ⋯⋯」
「聞いてねぇや」
「100まんまんえんあげます」
「えっ?」
「100まんまんえんあげますから、女王様とえっちなことをさせてください」
「分かりました(`・ω・´)ゞ敬礼っ」
買収に成功した救急車は霊柩車を連れ、女王・歩滋賀田尽喰の待つ城へと向かった。
「こちらのお部屋です」
ドアを開けると、中から真っ赤なハイヒールのキックが飛んできた。そのヒール部分を歯でキャッチする救急車。
「はいめまひへ、ひょーはよおひくおえがいいらひわふ(初めまして、今日はよろしくお願いいたします)」
そのまま挨拶をする救急車。
「ほひはほほ(こちらこそ)」
なぜか真似をするハイヒールの女。彼女こそがこの部屋の主、歩滋賀田尽喰である。
「ハイヒールぺろぺろ」
ニッコニコの顔で舌を動かす救急車。
「こ、この技は⋯⋯!」
「ふふふ、ぺろぺろ」
「この動きは⋯⋯トキの拳!」
「ぺろぺろぺろぺろ〜〜〜」
「レイの拳!」
「ぺろぺろぺろぺろぺろ〜〜〜」
「非常に言い難いんだけども⋯⋯」
「ぺろ?」
「さっきうんこ踏んだ」
「ぺぺ〜〜〜〜〜〜〜!?」
「だからもう離して。離した方がいいよ。離して離して」
「ぺろぺろぺろぺろ」
「なぜ離さぬ! はにゃせはにゃせ!」
「ピロピロピロピロ」
「もうよい! ぬぐー」
「ムシャムシャ」
「ヤギかよ。ハイヒールのヤギじゃん」
「ゴクリンコ。美味しゅうございましたわ♡」
「フッ⋯⋯合格よ。さっさと中へお入り!」
手に持っていたスマホの充電ケーブルで救急車の尻を叩く歩滋賀田。霊柩車はいつの間にかいなくなっている。
「あれっ、霊柩車が⋯⋯」
「霊柩車?」
「ええ、妹がおりまして⋯⋯」
「妹のこと霊柩車って呼んでるの?」
「本名ですので」
「ヤバ」
「『つくえ』もなかなかだと思いますわよ」
「いや尽喰は源氏名だし、本名だったとしてもつくえと霊柩車ならどっちがヤバいかは一目瞭然でしょうよ」
「ブッ」
「?」
「ブッ」
「?」
「それではプレイをお願いします」
「あ、うん、はい。じゃあ⋯⋯跪いて靴をお舐め!」
身体を折りたたみ、自らの靴を舐める救急車。その姿はまるで棚の上のお猫のよう。
「あたしの靴を舐めるんだよ! このおバカ!」
「主語をちゃんと言ってもらわないと分かりませんよ!」
「ぶつわよ!」
「親目管祭!」
「やめます」
「それでですね女王様、早く私はえっちなことをしたくてですね、出来れば服を⋯⋯」
「何を言ってるんだい? 服なんて自分で脱ぐんだよ! あたしに脱がせてもらおうなんざ3年早いわよ!」
「そう言われると思ったので、ご用意しました! ででーん! 3年後の私ですわ!」
そう言って救急車はお腹のピタパンから未来の自分を出した。身長が倍くらいになっていた。
「現在のあなたはどうなるの?」
「帰ります。さようなら」
「さようなら」
荷物をまとめて部屋を出る救急車。地の文でどちらを追うのか迷った結果、50メートル先の交差点で起きている殴り合いの様子を記すことにした。
「オラオラおんおん」
「にゃーにゃーわんわん」
全身タトゥーだらけの大男が向かい合い、それぞれ武器を構えている。手前の金髪の男はサワガニ、奥のスキンヘッドの男はたんぽぽだ。
「さいしょはヌー!」
「にゃんぽん」
「「C!」」
金髪はユッチ、スキンヘッドはヌーを出した。2人とも負けである。
「ほ〜らほ〜ら」
第三者が介入し、2人にCDの裏側を見せる。これは敗者への罰である。
「ふえぇ」
「ゴロニャン」
怯える2人。
「ゲボボボボボボボボボ」
嘔吐する第三者。
「Round 2! ゲボラッ、ゲボッ、オロッ」
嘔吐しながらも試合を続けさせる第三者。
「さいしょヌー!」
「変なイカ!」
金髪は金ピカの鳥居、スキンヘッドはロキソニンパフェを出した。2人とも負けである。
「ほ〜らほ〜ら」
近くの畑に落ちていたブロックを拾い上げ、2人の頭に振り下ろす第三者。
「冷たっ!」
「臭っ!」
喜ぶ2人。彼らは今日、誕生日なのだ。
「ゲロロロロロロロロロロ」
さっき近所の店で蒸されて死んだカエルに憑依される第三者。
「Round 3! ケロッ」
ケロッとした表情で試合を続けさせる第三者。頭から救急箱が生えてきている。
「さいしょはチュー!」
「んっ⋯⋯」
「「ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ、ウホウホウホウホ」」
金髪はグー、スキンヘッドはチョキを出した。2人とも負けである。
「ほ〜らほ〜ら」
テレビをつける第三者。黄色い画面が映し出される。
「シッコのニオイがするぜぇ!」
「四角いまねきねこ」
嬉しそうな2人。目がバッキバキである。
「ぶりぶりぶりぶり」
立ちションをする第三者。彼の尿は海水の10倍しょっぱいのだという。
「あの」
金髪が口を開いた。
「なんだい?」
第三者が立ちションをしながら答える。
「あなたのオシッコは土地を殺します。植物が死にます。配管が死にます。土地に塩分はNGなのです」
「じゃあオメーが飲めっ」
「飲みます! 夏場は塩分が大事なので!」
第三者のオシッコは6分に亘って出続けた。その量なんと約4リットル。致死量の塩分を摂取した金髪はあっという間に水虫になり、プールに入れなくなった。
「よくも相棒を!」
スキンヘッドが怒りをあらわにしているが、元々彼らは喧嘩をしていたので、今更相棒とか言ってもなんなのお前。じゃあ最初から仲良くしとれよ。
「これどうぞ」
第三者の手には一輪の薔薇が握られていた。
「これは⋯⋯?」
「綺麗な花にはトゲがある。マリオの土管は地下に行ける。そういうことだよ」
「⋯⋯俺が間違ってました」
第三者に諭されて更生するスキンヘッド。みるみるうちに髪が生え揃い、目も良くなって目つきも良くなり、実家の庭にみかんの木が生えた。
「それでこそ我が弟子だ」
「師匠⋯⋯!」
「さぁ、晴れやかにゆけい!」
「はい!」
スキンヘッドは良い返事をして緑色の四角い建物に駆け込んだ。
2分後、黄色い小さな紙の袋を持って出てきたスキヘ。
「ファミチキ買ってきました」
「うむ、それでこそ我が弟子だ。強くなったな」
「あとななチキも買ってきました」
「ハミマでななチキを買うとは⋯⋯! 強くなったな、我が弟子よ」
「あとガリも買ってきました」
「ガリはいらんかな」
「失礼しました! 自害します!」
ガリの袋を開け、一気に口に入れて頬張るスキンヘッド。涙を溜めながら咀嚼している。
「扇風機のボタン、正直『弱』だけでいい」
先週彼女と行った水族館の感想を語る師匠。
「ガリを食べたのに死ねない!? なぜ⋯⋯」
「良いかスキンヘッドよ。ガリで自殺を図る者は多い。しかし、それは選ばれし者にしか成しえぬことなのじゃ」
「じゃあもう1袋買ってきます!」
「行ってらっしゃい」
2分後、満面の笑みで出てくるスキンヘッド。歩く度に足元からクークー聞こえる。
「なんじゃその靴は」
「ドンキで買ってきたニンジンです」
「そうでしたか、それは失礼いたしました」
それから彼らは家に帰り、桃を割ってみると、なんと中からやたらネギの匂いのする可愛らしい少女が!
「桃太郎と名付けよう」
「それがいい」
しかし、市役所に届け出たところ却下され、職員によって『サーモン』と名付けられることとなった。職員の好物らしい。
「モンちゃんは可愛いねぇ」
「ほんとほんと、可愛いねぇ」
「ね、あーし可愛すぎぃ」
3人は48年間こうして過ごしました。
ある日サーモンが散歩をしていると、小学生くらいの小さな男の子に指をさされ、「ブス!」と言われました。
「ブス⋯⋯? 私が? この、私が⋯⋯? 最近は、主に、カクヨムに、投稿している、この、私が⋯⋯?」
「ブス!」
「死にてぇようだな」
サーモンはポケットから子ども殺し機を取り出し、起動させた。
『ウィーン』
あっという間に吸い込まれる少年。彼の死に際に放ったひとことは「来世はスタバになりたい」であった。人々を海へと駆り立てた。世はまさに大海賊時代!!
「いてて⋯⋯ここはどこだ? 確かさっき変なブスに変な機械を使われて吸い込まれて⋯⋯」
世はまさに大海賊時代!!!
「あ、丸亀がある。確か最近ドーナツが出たんだよね、食べてみたかったんだ〜」
現状を悲観することなく、今ある幸せを楽しむ少年。まさに大海賊時代!!!!
ポッキーを持って丸亀製麺から出てくる少年。
「なんで看板と中身が違うんだよ。ていうかポッキー屋ってなんなんだよ」
口を全く動かさずに、ポッキーを揺らしながら話す少年。ポッキーの腹話術である。
「おっ、隣にゲーセンあんじゃん」
2分後、ポッキーを持って出てくる少年。
「なんで隣もポッキー屋なんだよ。ていうかポッキー屋って何だよ」
そのまた隣の店に目を向ける少年。見るからに美味しそうな、ボリューミーなソーセージのホットドッグの看板である。
「ごくり⋯⋯」
ヨダレを垂らしながら入店する少年。
4分後。
「なんなんだこの世界」
若干太めのポッキーを持って出てくる少年。
「細くないポッキーなんてポッキーじゃないだろ」
そう、細くないポッキーなどポッキーではないのだ。
「あのフォルムだからこそポッキーって名前が活きるんだよ」
確かに、「ポッキー」って感じするよね。
「だからこれはポッキーじゃなくて、ボッキーだ」
「¥$€@☆☆〒○%$$」
ここで神の介入だ。
「☆♡☆?」
神は我々人間とは次元が違うため、言葉が全く通じない。神だけ言葉が通じないため、近年の研究ではむしろ神の方が低次元なのではないかと言われている。
「♡( 。 人 。)♡」
たまに通じる時もある。
「(i)」
(^_^;)
「@@@@@@@@@@(^o^)」
神の好物はエビフライらしいが、先日差し入れられたエビフライが衣ばかりだったらしく、激怒していた。
なぜそんなことが分かるのか。答えは単純、通訳がいるのだ。半人間、半神の『クレヨン』という男で、好物はクレヨンだという。
しかし、先日差し入れられたクレヨンが衣ばかりだったらしく、ものすごく不思議な形相で激怒していたという。筆者も先日写真を見せてもらったのだが、スパイダーマンとフワちゃんを足してサザエさんを掛けたような顔をしていた。簡単に言うとクワガタみたいだった。
まだまだ冷える季節だ。
毎日味噌スープを飲もう。
H I N E
M O S
U