オーパーツで無理やり肉体改造した彼を透視鏡でじっくり観察! 機械化した彼の右腕を一時的におっさんにしてみた!
俺はオーパーツを回収する仕事をしている。
古代文明ウジュルマカラによって作られた謎のアイテムの数々。
それを100円ショップで売りまくった女。
俺はそいつにナノマシン的なものを飲まされ肉体を改造されてしまった。
きゅいいいいいん!
俺が右手を動かすたびに関節が駆動音を放つ。
そう……俺の右腕は機械になってしまったのだ。
「いるんだろ! そこから出て来いよ!」
真夜中の倉庫街。
俺は拳銃を左手で構えて言い放つ。
「ふふふ……ようやく会えたね」
建物の角から姿を現したのは、間違いなくあの女。
夜風に揺られてポニーテールがさらりと揺れる。
「てめぇのせいでこんな身体になっちまった!
元の身体に戻せよ!」
「ふふふ、分かったよ。戻してあげるね」
月明りに照らされた女の口元が歪む。
あっ、これヤバいやつだ。
そう思ったときにはすでに遅かった。
俺の右腕はおっさんに変形していたのだ。
「え? なにこれ……え?」
「一週間はそのままだから、我慢してね」
「おい、ちょっと待て! 戻せ!」
「じゃぁね……」
女はにやりと笑って姿を消した。
「畜生……何で……」
「そう落ち込むなって」
「え? しゃべるのこれ⁉」
「へへっ」
鼻の下をさすり、照れくさそうに笑うおっさん。
これから一週間このままなの⁉
それから、おっさん(右腕)と俺の奇妙な生活が始まった。
「おい、外へ出ないのか」
「こんな姿で出られるはずないだろ!」
こいつは何かとべらべらしゃべるので、集中して勉強もできない。
あー! 学校行きたいなぁ!
「なぁ……本当に元に戻るの?」
「ああ、間違いなく」
「一週間待たないとダメ?」
「……うん」
おっさんは申し訳なさそうに頷く。
ちょっとだけ可哀そうに思えた。
一週間後。
ついにおっさんと別れる日がやって来た。
「今までありがとうな、おっさん」
「ああ、俺の方こそ大切に扱ってくれてありがとな。
じゃぁ……そろそろ元の形に戻るとするわ」
「うん、さようなら」
右腕は元通りになった。
機械化した球体関節の右腕がとても愛おしい。
「ああっ、やっぱりこの腕じゃないとダメなんだよなぁ!」
何気に気に入っていたりする。
「ふふふ……気に入ってもらえたようでなにより」
少年を監視する鏡を覗き込んで、お姉さんはにやりと笑う。
おっさんの右腕と暮らす彼の姿は面白かった。
次はどんな風にからかって遊ぼうかな♪
「なーん」
金魚鉢から顔を出した黒猫が鳴く。