天使(猫)が実はお父さんだった件
こんにちは。ジェスタリス星から地球に調査に来ているマリと申します。
今は地球人の女子高生に擬態していますが、私の正体は地球の言う所の……なんだろう、アレ。あの凄い音で地面歩きながら、鳴き声がガンジェスガンジェスっていう生き物。
まあ、たぶん地球の方なら一発で分かると思います。今貴方が想像した生き物に近いのが、私の正体です。
さて、そんな私がこの地球に何の調査に来たのかと言いますと、他の異星人がどのくらい地球に入り込んでいるか、という点です。
ぶっちゃけ、地球にはかなりの数の異星人が入り込んでいます。
地球人の人も、直観で「ぁ、コイツやべえ」と思う人が居たら、たぶんそいつは異星人です。
そう、人が喋ってるのにアクビする奴(作者)
突然全く別の話を唐突にする奴(作者)
飲食店でお会計の時に、店員さんに声かけても全く気付かれない奴(作者)
デートの食事の時、何処か良いか聞いて、何処でもいいと言われたのでカラオケに連れていく奴(作者)
こういう奴は大抵異星人です。はい。
そんなわけで、地球には数多くの異星人が入り込んでいます。
しかし彼らは決して地球を滅ぼす為ではありません。地球には独特の文化があり、その物珍しさに惹かれてやってきた者が大半です。
ちなみに私も、さっき異星人の調査とか言いましたが、ぶっちゃけ地球の、とある生物がお目当てです。
その生物とは……キャット。
つまり猫。
猫可愛い! ぎゅってしたい!
でも地球に来て、既に五分くらい経ちましたが一向に猫と出会えません。
何処に行けば会えるのでしょうか。試しに何処かお店に入ってみましょう。
「いらっしゃいませー!」
ここは何のお店でしょうか。店員さんが、いわゆるメイドの姿をしています。
「あの、ここに猫ちゃんは居ますか?」
「はいー! もちのロン! ですよー! 今呼んできますね!」
おお、ビンゴだったようです。
ここが何の店かいまいち分かりませんが。
「お待たせしました! 猫ちゃんです!」
メイドさんが抱っこしてきたのは、残念ながら猫ではありませんでした。
それは……子ゴリラ!
「あの、それは子供のゴリラですよね?」
「バレてしまっては仕方ない」
なんだか突然空気が変わりました。
メイドさんは子ゴリラを頭の上に乗せると、そのまま唐突にモンスター〇ンターをプレイしだしました。どうやら主要武器は弓のようです。
「ッチ……微妙に操作方法変わってんだよな……」
「あの、そんな愚痴はどうでもいいんで、猫ちゃんには何処に行けば会えますか?」
「あぁん? 向かいのビルに猫カフェってあるから……って、あー! 樽爆弾切れてるじゃん!」
私は子ゴリラを一度だけ撫でて、バイバイしながら店を後にしました。
結局何の店だったんでしょう。
※
そしてやってきました!
猫カフェ! ふぉぉぉぉ、猫ちゃん! 猫ちゃんがいっぱいいる!
でも異星人が微妙に混ざってますね。可愛い猫に溶け込むように。
「いらっしゃいませー。こちらでお手続きお願いしますー」
「あ、はい」
カウンターで店員さんに、記入しろと紙を手渡されました。
えーっと……異星人ですか? はい。
えーっと……地球から何光年離れてる星からやってきましたか? 二千光年……と。
えーっと……ドラ焼きが好きな猫型ロボットは知っていますか? もちのろん……と。
「かけました」
「はーい、ではお楽しみくださいー」
やったぁ! 猫ちゃんパラダイス!
でもいくつかルールがあるようです。
1,セクハラ禁止
2,膝の上に猫ちゃん乗ってきたら銅像になる事
3,首の裏を嗅がない
4,突然サザンオールスターズを歌わない
等々、五つほどルールがあるようです。
あと一つくらい書けよ、というツッコミは無しです。
さてさて、猫ちゃんをじっくり観察しましょう。
おお、あそこにマンチカンの赤ちゃんが居ますよ! 痺れる可愛さ!
「ニー……」
「ふぉぉぉぉぉ……鳴き声かわゆい……」
「ありがとう」
なんだか猫が日本語でお礼言ってきたような気もしますが、無視します。
どうやら異星人っぽいので。
「待て待て、久しく会ったというのにその態度はなんにゃ? 我が娘よ」
「……! まさか……一年前、母上に膝枕をせがんで断られ、家出したお父様?」
「うむ。まさしく」
成程、じゃっ。
「まてぃ。この小説のタイトルになってるんだから、もう少し絡んで」
「適当に考えたタイトルなんで……」
「そんな事言わないで。ひさしぶりに出会った父を、抱っこしても構わんのだぞ」
子猫に擬態した父を抱っこする娘……それは地獄絵図なのでは……。
「父上、私は地球の猫ちゃんとイチャつきたいのです。というわけで私は行きます」
「これが反抗期か……」
父の言葉を無視し、今度こそ普通の猫ちゃんと触れ合います。
私が座布団の上に座ると、さっそく一匹の猫ちゃんが来てくれました!
縞模様のマンチカン……アメリカンショートヘアーとのハイブリッドかな?
「ほわぁぁぁぁ……かわゆい……」
撫でてもいいのかな……びっくりさせちゃうかな……
そっと手を差し出してみます。すると私の指の先を、クンクンと匂いを嗅いで……そのまま顎のせしてくれました!
おもわずゴロゴロしちゃいます。
気持ちよかったのか、もっとーと言うようにお腹を見せてくれました。
なんてこった……お腹も触っていいと?
失礼します……
ほわぁぁぁぁ、ぽよぽよする……
ふわふわのお腹が……
「手つきがいやらしいな、もっと学ぶがいい、我が妹よ」
兄上!?
最後までお読みいただきありがとうござ……あぁ! 石を投げないで!\(゜ロ\)(/ロ゜)/