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魔力と言う 魅力に理性は 無力です

「こんな感じでしょうか」

 手紙で使いそうな単語をロンに書き出してもらったが、やはりこの世界の文字は記号か象形文字にしか見えない。

 逆に言えばこの世界の人々も元の世界の文字は読めない。だから椎名さんの魔導書が解析不可能だったのだろうな。

 

 ロンを帰らせた俺は自室に戻り単語帳を広げる。

 単語の横に日本語で書いた意味を見ると、恋文を書くなんて考えただけで恥ずかしくなる。

 何か読む物は無いかと探してみると、クレアから手紙をもらっていた事を思い出した。

 開封は、魔物退治よりも緊張する!


『あの時は照れてしまって、ついあんな事を口走ってしまいましたが本当は…お慕いしています』


 なんて事は書いてはおらず、そこにはロンに書き出してもらった恋文に使う単語が殆ど書いてはいなかった。

 つまり、少なくとも恋文ではないと言う事になる!


 勝手に少しは期待していた事が馬鹿らしいし、恥ずかしい。

 明日以降の、スーの判断に身を委ねるのも良いかも知れない。

 と言うのも、俺みたいなタイプは上げ膳据え膳と言うか、レールに乗せられると言うか、半強制的でなければダメなのかも。

 そういう意味では!恋愛職人(お節介おばさん)の存在は有り難いかも。


 そう思うと今日は文字の勉強はいいや。それよりも魔導書を読みたい気分だ。

 俺は誘われる様に魔導書を手に取る。

 土、火、水、風の四属性の書は大体読んだ。今日は最後である、終の書を読んでみよう。



 そこには椎名さんの生涯について書かれていた。

 中学生からバイトをしなければならない程、苦労したそうだ。バイト先の新聞屋で他の配達員からいじめを受けていたらしい。

 椎名さんも苦労したんだな。第一、新聞配達なんて俺には無理だ。でも、そこまでしてくれバイトしなければならない理由は書いてはいなかった。

 その後、奨学金で大学に進んだがバイトに明け暮れる毎日で、異世界転移の日もバイト先に向かっていたそうだ。

 異世界転移してからは順風満帆で良かったですね、椎名さん!


 更に読み進めると魔力についても書いてある。

『実は同じ世界から来た人間、3人と会った事がありますが、2人は魔法を使えませんでした』

「えっ?そうなんですか?」

 思わず本に聞いてしまった!


『例が少ないので、ハッキリとは分かりません。僕の憶測です。恐らく転移して魔法を使える人は、元の世界で苦労した人ではないかと思います』

 確かに俺もブラック企業のパワハラで苦労していたけど。

『3人の内、魔法を使えたのは1人だけで、後の2人は使えませんでした』

 統計を取るにはデータが少ないが、興味深い話だ。


『使えた大塚さんは会社勤めの傍ら、親御さんの介護に追われていた50歳の男性でした。一方で、使えなかった2人はあまり苦労しなかった恵まれた環境でした』

 大塚さん、俺よりも年上でこっちの世界に来たのか。


『大塚さんは年齢的な事もあり魔道士としての活動期間は短めですが、魔法は強力でした』

 やるな、大塚さん。

『その大塚さんが気になる事を言っていました。魔法を使った日は、女にもてる!と』

 えっ?マジ?

『確かに、僕もそんな気がします。もしかしたら魔力にはフェロモンの様な物が含まれているのかも知れません』

 椎名さんまで! 

 言われてみれば、思い当たる。ソフィに振られたという例外は有るが、あとは概ね魔法を使った日はそれなりに女性と良い雰囲気だった気がする。


 考えてみれば魔法関連でチャームって何か言ってた気がするし、魅力的な所をチャームポイントとも言う。

 魔力と魅力は似ているのかも知れない!

 それじゃあ今度からはバンバン使うしかない!

 もしかしたら、魔力を使った後に魅力になる何かが漂っているのかも!


 魔力頼みと言うのも情けないが、使える物は使わないと。ましてや自分と魔力なのだから遠慮する必要は無い!


 手始めに、火の魔法だ。あまり暑くはないが麦の収穫時期から考えると、もう夏になる頃だと思う。

 夏と言えば花火!


 イメージしたのはもちろん打ち上げ花火だ!

 目指すは、隅田川!大曲!

 炎の3尺玉で夜空に大輪の花が咲く!


 20発位打ち上げてて思った。

 花火師さんって凄い!打ち上げ花火は見る極楽、やる地獄!

 花火って遠くで見ている男女は良い雰囲気になるかも知れないが、打ち上げている方はそんな訳にもいかない。気の緩みは大怪我の元だからな。


 花火の他にも光属性のレーザーによる光のショーも捨てがたい。

 さあ、祭りに向けて忙しくなりそうだ!

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