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完全に 聖女に覚醒 ウチのミラ

「で、エイジを呪った蛇は何処?」

「尻尾は引っぱり上げたが、上半身はまだ土の中だ。今度こそ引き上げてやる!」

 あんなのに彷徨かれたら物騒で仕方ない。

「私がやるわ!」

「ミラが?」

「この地を浄化すれば、耐えきれなくなって出て来る筈よ!」

 何だかミラの雰囲気が変わった気がする。子供から急に大人の身体になったが、中身はまだ子供っぽかったミラ。

 それが急に精神年齢が上がった様な感じだ。聖女の力を俺に使ったからか?

 もしかしたら記憶も戻っているのか?


「浄化?そんな事が出来るのか?」

「ええ!這い出た所を仕留めてよ、エイジ!」

 今までならここだって、「うん!」って答えていただろうに。

 この変化を喜んで良いのだろうか?


 考えるのはまた今度にして、今は戦闘に集中!

「いくわよ!」

 目を閉じて集中したミラの身体が光を帯び、再び髪が舞い上がる。

 両手を腰の高さで身体の正面に揃えると、地面に向けられた掌から無数の光の粒子が降り注ぐ。

 次に両手を左右に広げると、光の粒子の降り注ぐ範囲は一気に広がり、辺り一面が光に包まれるた。黄金の粒の真ん中にミラが立つ光景は壮観であると言える。

「ふぅ、後はお願い」

 ミラがそう言うと光が止み、辺りは元の光景に戻る。流石に疲れた様で、足元がフラフラとて危なっかしい。

「後は任せて休んでいろ!」

「うん!」

 今の返事は元のミラだ。分からないが、聖女の力を出す時限定で変わるのか?

 兎に角、ここで決めなきゃ格好付かない!


 ミラをクレアに任せて、今度こそ仕留めてやる!

 地面がモゾモゾしている。ラミアが出て来る筈だ。さっきの雷魔法は決まらなかったが、今度こそ決める!

「シャー!」

 地面から出て来たのは、シルエットは人間の上半身に見えなくはないが、全身が鱗で覆われており半人半蛇と言うよりも、完全な魔物だった!

 目付きも悪いし、指も4本しかない。

「レビン!」

 今度こそこの雷魔法で決める。もし決められなければこの雷魔法はこのままお蔵入りだ!


 ヴァリヴァリッ!ガッガーン!

 

 雷鳴が轟くと黒焦げの塊が視界に入り、それが「シャーシャー」言ってたラミアだと認識した頃、辺りには焼け焦げる臭いが漂ってきた。

 かなりの高圧電流が流れたんだ。この黒焦げは当然と言えるだろう。

 終わった。こんな魔物に呪われて死にかけるとは誤算だったが、ミラが聖女である確信が持てたし、結果的には良かったんじゃないか。


「エイジ殿!うし」

 引き上げ様とした俺にベンが叫ぶ。うし?牛?ステーキに赤ワインを合わせてこの土地の再開発事業について話すのも悪くないが、気が早いな!


 こっちの世界の肉は総じて固い。

 飼料ではなくて牧草で育っているからだろう。それに日本の黒毛和牛の様に丹精込めて育てられていないからだろうな。

 だからフワッとしたハンバーグが好評なんだろうな。

「後ろ!」


「シャー!」

 鳴き声と言うより唸り声が後ろから聞こえてビクッとして、一瞬身動き出来なくなった。

「シャー!」

 2度も声を出さなくても居るのは分かる。そーとっ振り返るとそこには下半身が千切れて無いラミアが居る。

 コイツか!

 さっきのラミアよりも巨大だ。さっきのラミアの上半身は成人男性と同サイズだったが、こっちは明らかにデカい!

 上半身だけで俺の身長よりも大きいと推測する。


 軽口を叩いている余裕は無い。また呪われたら、ホント迷惑。即座に決めるしかない!

「レビン!」

 どうだ!今度は効く筈だ!

「!」

 倒れてはいるが、まだ生きている!ヒクヒクと動いている。そんなバカな!

「アー」

 電気耐性が有った様だが最早、シャーとも鳴けない様だ。

 中々の強敵、殺すのも惜しくなってきたがコイツが生きていると枕を高くして眠れない。

 ほぼ蛇なら寒さに弱い筈だ。

 俺は技の名前も叫ばずに黙々と集中して、釘が打てるバナナをイメージした。

 ラミアはそのままのポーズで白く凍り付いている。

 さながら氷像の様だ。

 下半身が無い状態で凍り付いた為バランスが悪かったらしく、前のめりに倒れて両手の肘から先が砕け散ってしまった。

 こうなると流石に憐れだ。パーツを集めて街の外にでも葬ってやろう。

 念の為に粉々にしたい気持ちも有ったが相手が魔物とは言え、死者に鞭打つ事はしてはいかんと思うし、ミラが居なければ俺は死んでいたかも知れない。

 魔物だろうとリスペクトはする。

 俺はゴーレムにラミアの死骸を運ばせる事にした。


「先生!どうされましたか?」

 まだ引き上げない俺にロンが声を掛けるが、答えている場合ではない。

 まだ何か居る。寧ろこっちが本命か?

 出て来るのか、地面がかなり振動している。

「まだ居るのですか?」

 ロンが情けない声で聞いてくるが、それは俺が言いたい。

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