教育に 燃えるクレアは 鬼教師
性的な知識を誰からも教わる事など無く、汚れた体だと思い込んでいた彼女たちは性奴隷と言えば性奴隷なのかも知れないが、実は処女である事が判明した。
あの盗賊の首領も、EDなのに性豪の様に振る舞うなよ!
性的サービスは有ったが、キズ物でも汚れた体でもない事を彼女たちに説明した上で、クレアに事の次第を説明する。
もちろん、オブラートに包むべき事は包んで。
「そ、そんな事が本当に?」
クレアは口に両手を当てて、目を大きく見開き俄には信じられないと言った表情を見せる。
大きくなったその瞳は次第に潤み、次の瞬間にはクレアはハンナに抱きつく。
「つらかったね。もう大丈夫よ!」
「クレアさん?」
涙声を上げて急に抱き付かれたハンナが、どうして良いか分からずに戸惑っている。
ハンナたちとしても、急に処女だと言われて戸惑うなと言う方が無理だと思う。
ハンナの戸惑いなど知らぬクレアは、今度は急にハンナを抱き抱えていた腕を放すと、改めて両手でハンナの肩をガッチリ掴む。
「頑張りましょう!」
「は、はい、クレアさん」
クレアはそう言い放つと更に戸惑うハンナには目もくれずに、俺に向き合う。
「エイジさん、私は彼女たちに必要な教養を身に付けてもらいたいと思います!」
「うん、頼むよ」
「早速ですが、今から取り掛かります!リーチさんの所や市長の所とかはエイジさんだけで行って下さい!」
「えっ?」
クレアにスイッチが入ってしまった様だ。
「皆さん、そういう訳ですので今日はお勉強しましょう!文字を読める様になれば世界が広がります!将来的には、結婚して子供を産めば、その子供に絵本を読んであげられますよ。私はそうなって頂きたい!」
クレアの熱い想いが語られると、皆は感激した様子だ。
「私に着いて来て!」
「はい!クレアさん!」
クレアの性格は意外と体育会系の様だ。この後は、鬼のクレア監督となるのか?
「なるほどですね」
俺は1人でリーチさんの所に行き、経緯を説明した。
「それで、その建物の契約はしたのですか?」
「市が押収した建物なので、不動産屋は紹介だけで契約は市と直接結んで欲しいそうです。物が物ですから、不動産屋も深くは関わりたくない様ですけど、市長とも会いますし、その方が話が早いかなって」
市長に直接、家賃を値切ってみよう!
「それでは、リノベーションしますか?」
「そうですね。あんな派手な建物では落ち着かないし、変な評判が立ってもいけないので」
「では早速手配しましょう!」
「そんなすぐには難しいでしょう?」
それに多分出るだろうけど、まだリノベーションの許可を得ていない。
「すぐに掛かれますよ。職人や業者の売り込みが激しくて」
「売り込み?」
「ええ、エリックら建設業の代表者が一夜にして居なくなりましたから。その下請けの業者や職人も生き残りも必死です」
なるほど、それでリーチさんに取り入ろうとしているのか。
「分かりました。市長か新しい副市長と契約して来ます」
その後は商家の出であるリーチさんの奥さんから、この街の小売店事情を聞く。
奥さんの実家は立派な商家だったが、奥さんの弟が継いで潰れた事は前に聞いた。
今日はその原因を聞く。
要約すると、天候不順で野菜が高騰した為に貧しい家庭では野菜を食べられない事態になった。
そこで弟さんが専門外である野菜の安売りに挑んだが、それを面白く思わない組合に店諸共潰された。
その変の事情は、何となく分かった様な気がする。例えば、魚屋で野菜を売る事は八百屋には面白くないので、暗黙の了解で禁止されているのか。
それじゃ、スーパーマーケットなんてどんな事になるのだろう?
小売業についてはまた話を伺う事として、今度は市庁舎に向かう。
市長にアポイントメントは取っていない。でも向こうが会いたいと言っているのだから、多少は融通してもらいたい。
市庁舎では用向きを伝えるとすぐに別室に通され、15分程で市長と副市長になったベンが姿を見せる。
先ずは、売春宿だった建物の賃貸契約だ。契約したらすぐにリノベーションしなければ!
「あの土地建物を賃貸ではなく、購入されては如何でしょう?」
意外な提案がベンから出た。というよりも市長の意向だろう。
「買う?いくらで?」
「未払いのドラゴン討伐の報奨金、金貨200枚で如何でしょう?」
日本円に換算すると2千万円くらいだ。土地の事情までは知らないが、安い!
「実は、魔道士殿に幾つかお願いが有りまして」
前屈みになった村長が怪しく上目遣いで言った。




