ハリーやる リックの物真似 似すぎだぞ
「まずエイジの使うべき大魔法ですが、表現が抽象的でまだ詳しくは分かりません。次にミラについての記述ですが、幾つか似たような話を見付けました。そこで半月から一月程延長させて頂きたいと思います。きっと成果を上げて見せます。
領主のエリクソン伯爵につきましては、そこのハリーにお尋ね下さい」
リックの従者のハリーは、声も口調もリックそっくりに真似て、リックの言葉として俺に伝えた。
声だけでなく、仕草もそっくりだ。ハリーは髪は長くないのに、長髪のリックの髪をいじる仕草をして見せる。空を切る指を見ると笑いそうになる。
一月の延長か。まあ、その間に出来る事をするか。
それにミラだ。民話とかになっているかも知れなかったのか!
もしここが日本で、その民話が昔話としてアニメで紹介された場合、ミラの声はやっぱりあの家政婦の女優なのか?
「ハリー、リックは無事なんだな?」
「はい。主に向けられた刺客は全て排除しました」
つまりは、返り討ちにしたか。
「それでリックは俺に危険を伝えようとして、ハリーを遣わしたのか?」
「はい」
「それでは聞かせてもらおうか。伯爵家の事を」
「畏まりました」
俺はハリーからリックが調べた伯爵家の情報を聞く事にした。
結論からするとアルフレッドは領民の評判とは裏腹に、ダークな部分も存在する事が分かった。
更には、現当主であるエリクソン伯爵が1年近く病で床に伏せっている事。
嫡男である次男は正妻の息子で5歳年下だが伯爵家の中では、次男に何か有った場合は違う妾腹の3男が次男を補佐する事になっている事が判明した。
つまりは長男のアルフレッドだけが跡継ぎ候補にはならない。
アルフレッドが次に何を企んでいるのかは、ハリーに首の骨を折られてヒクヒクしているアイツに聞こう!
「ハリー、こっちは心配要らないと王都に戻ってリックに伝えてくれ」
「畏まりました。それでは、失礼します」
ハリーは最後はフェードアウト気味に挨拶すると、スッと闇に消えた。あまりにも自然な消え方なので、暗殺者というよりも忍者の様だ。
リックがどの様な経緯でハリーを雇ったのかは、また今度聞く。
「さて、拷問の時間だ!」
首の骨が折れていては流石に無理だ。
仕方なく治癒魔法で首を治してやる。
「知っている事を話してもらおう」
「………」
折角、首を治してやったのに無言で反抗的な目をして俺を睨み付ける。30歳くらいの貧しそうな男で、チンピラって感じだ。こいつに逃げられても厄介だ。
「ぐわあ!」
魔力を放出して、この同情の余地の無い男の足を折る。それにしても悲鳴が大きい。近所迷惑も甚だしい!
そこで、陰魔法のマインドコントロールを使う事にした。この3流暗殺者を闇で包み込む。これでこいつは5感を奪われた状態だ。
こいつは何も感じる事が出来ない孤独の闇の中に身を置かれる。
闇で包み込む時間が長過ぎると、孤独感で発狂すると魔導書に書いてあったので放置厳禁だな。
明日の暇な時に様子を見てやれば良いだろう。
さて、この後は12人の歓迎会だ!
ナイフで腕を刺されて、傷口は塞がったけど血は大量に出た。治癒魔法で治しきれたのか分からない。
肉食って血を作る。今日は肉を食うぞ!




