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今夜から 無人で工事 始めます

「ベン、工事区域を見ておきたいのだが」

「今からですか?」

 別室にて詳しく協議する場で切り出してみた。

 ベンが意外に思うのも当然だ。普通ならこれから様々な手配をしなければならないのだが、俺はまずは現場に行きたかった。

「エリックですか?」

「エリック?あいつの名前ですか?」

 リーチさんに言われて初めて、あの男がエリックだと認識した。

「あいつらの妨害が気になります。打てる手は早く打たなければ!リーチさんは大丈夫ですか?」

「私はいつでも」

 リーチさんは表情をキリッと引き締め、身を乗り出して言った。


 工事区域に着く頃には日が傾いてきた。 

 ミラは先に返しておいた。協議の場はつまらないだろうし、後でリーチさんとベンをクロエの店に連れて行く事を伝えてもらう意味もある。

「薄暗いと、これが使える!」

 俺は光属性魔法で試したかった魔法が有った。

「レーザーポインター!」

 翳した俺の右手から緑色の光がひたすら一直線に伸びる!

「これで墨出しします。真っ直ぐかどうかが分かるので便利ですが、日光の下とかで明るいと見辛い事が欠点です。でも今なら難無く使えます」

 唖然として言葉を失っているリーチさんにレーザーポインターの説明をする。

「最早エイジ殿が何をされても驚きませんよ!」

 言いながらベンから笑いが漏れる。


「この緑の光の外側を掘って、すぐ内側に積み上げる。掘ると言ってもゴーレムを作って、這い上がらせて、土塁の土として横たわらせる作業の繰り返しだ」

 改めてベンに説明する。実際の現場を見た方がより分かるだろう。

 俺は次々とゴーレムを作成する。念の為に今日の余っている魔力でゴーレムを少しでも作っておきたかった。

 夜の間にエリックの手下が来たとしても、既に多くのゴーレムが出来ていればビビるだろう!

 普通の人間ではゴーレムに勝てないと思うから、エリックの手下がゴーレムと戦うのならば、そのまま人柱になってもらおう!

 数えてはいないが、かなりの数のゴーレムを作った。そのゴーレムには一晩中、堀となる場所を掘らせる。これで明日以降の魔力の節約を見込んでいる。


「リーチさん、ベン、この後は一席設けてあるので、付き合って下さい」

「エイジさんと一献ですか?」

「全然高い店ではないんですよ。でも、この町に初めて来た日から色々と世話になっている店なんです」

「それは楽しみですね」

「ベンも来てくれるよな?」

「喜んで!」


 2人を連れて行く先はもちろんクロエの店だ。

 接待に使う様な店ではないが、この町で俺が誰かを連れて行く店はあそこしか有り得ない!

 まぁ、今日もナチュラルな貸し切り状態なんだろうけど。

 

 そして3人でクロエの店に着いたが、何かがおかしい!入口には何かが書かれた紙が貼ってあるが、生憎この世界の文字は読めない。

「材料が無くなりましたので、本日は閉店します」

 丁寧にベンが読み上げてくれたが、何その理由?

 またまた!ミラに行く旨を伝えさせたから気を使ったのか?

「本日貸し切りとか書けば良いのに」

 ブツブツ言いながらドアを開けて中に入る。

「エイジさん!」

 クレアが嬉しそうに駆け寄って来る。

「エイジさん、エイジさんのお陰です!こんなこと事は初めてです!」

 控え目な性格のクレアが興奮していると、なだめる事が難しそうだ。

「どうしたクレア、落ち着け!」

「落ち着けません!売り切れですよ!う・り・き・れ!」

 クレアのキャラクターが変わっている!

「エイジさん、いらっしゃい」

 厨房からクロエも姿を見せる。クロエもやはり、ほくそ笑んでいる。

「実はエイジさんに教えてもらったハンパークを昨日のランチから出しているのだけれど、評判が広まって今日はもう売り切れよ!」

 ハンパークではなくて、ハンバーグだけどな!


「おい、今日は何も出せないのか?ミラはどうした?」

「ミラちゃん?エイジさんの店に行ったけど」

 ミラは何か材料になる物でも取りに行ったか?

 俺の店も大した物はないかとけど。


「エイジ、あっちのお店にお客さん来てたよ」

 程なく戻ったミラが淡々と言った。

「お客様?まだオープンまで時間はあるが」

「お店のお客様じゃないの。一応、こっちに連れて来た」

「お邪魔しますよ」

 ミラに続いて入って来た人物は、市長だった!

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