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リック去り 気分切り替え 決意する

「王都に戻る?」

「はい!王都と言うより王宮ですね。王宮魔術師として」

「それはどういう事だ?」

 俄には信じ難いが、リックが居なくなる?魔法の知識などない俺にとっては、リックは命綱の様なものだ!

「エイジ、誤解しないで下さい。一月後に戻りますから」

 ん?1カ月間限定?

 余程変な顔をしていたのか、俺をなだめる様にリックの口調は穏やかその物だ。

「そうか。リック、1カ月間で何をするんだ?」

 途端に安心して、気が抜ける。俺は今きっと、間抜けな表情なのだろう。


「調べたい事が有ります。1つはエイジが使うべき大魔法について調べてみます。ドラゴンを倒せる魔法などエイジにしか使えません!そのエイジに相応しい伝説的魔法について調べます!」

 俺の為か!

「リック、そんな伝説的魔法なんて俺に使えるだろうか?」

 実は初心者だし!

「僕は純粋に凄い魔法を見てみたいのです。そして、最も驚愕させる魔法の使い手は、エイジ!貴方しか居ません!」

「嬉しいが、持ち上げ過ぎだ!」

 昨夜だってリックが結界を張らなければ死んでいたかもしれない。俺なんてまだまだ!

「エイジ、僕は魔法を持って帰りますから、エイジも魔導書を読んで精進して下さい」

「分かった!」

 宿題か。しっかりと釘を刺された。


「1つはって事は王都に行く理由がまだ有るのか?」

「ミラの事です」

「ミラの?」

 リックがここで神妙な顔付きになり、声のトーンも低くなる。

「僕の勝手な推測ですが、ミラは鏡台の鏡の裏に隠れていたのではなく、鏡に封印されていたのではないかと」

「ミラが?」

「ええ、鏡から出て来た時に幼いながらも魔力を持っていました。恐らくは封印される時に幼体となり、生命維持を試みたのではないかと」

「俺と添い寝をすると成長したのは?」

「推測でしかありませんが、睡眠という身体の機能を停止させた状態で、エイジの魔力を無意識に吸収したからではないでしょうか?」 

「なぁ、俺ってそんなに魔力が滲み出てる?」

「これまで感じた事の無い程の魔力が!」

「うわぁ!」

 身体から滲み出るって、加齢臭みたいだ。


「王宮には王宮魔術師専用の書庫が有ります。そこには古今東西の魔法に関する記述や、伝説、言い伝えを調べられます。ミラについて何か関する資料も有るかもしれません」

 凄い数の本なんだろう。調べるのも大変そうだ。

「分かった。いつ行く?」

「すぐに行きます。ここから王都までは馬でも5日くらいでしょうから」

「そうか。気を付けてな!」

「気を付けるべきはエイジです!」

 リックは俺に注意を促す為か、真顔になった。


「盗賊の事です」

「盗賊がどうかしたか?もう討伐完了しているし!」

 後は一月後に金貨200枚をもらうだけだ!

「そこです!」

「何か問題でも?」

 リックは少しだけ深呼吸した。

「盗賊が本当に上納金を領主に払っていたのであれば、領主にとってエイジは」

「邪魔者だな!」

 リックは真顔というより、険しい表情を見せる。

「あの市長も食わせ者です。盗賊の討伐の事を知ったら、どんな事をするか予想出来ません」

 領主が盗賊を壊滅させた人間を探しているかもしれない。


「分かった。クロエたちの家から出よう」

「その方が賢明です」

 俺に関わった人間に何らかの危害が有るかもしれない。念のためだ。

「領主についても調べます。ここの領主はそこまでの悪党ではないと思っていたので」

「なるほど、虎の威を借る狐がいるかもって?」

「ええ。兎に角、可能な限り調べてみます!」


「リック、俺に出来る事は?」

「魔法の鍛錬と、無事に居る事でしょうか。もっとも、エイジより強力な魔道士は居ませんが!」

 リックがニッと笑みを浮かべる。やはりこのイケメンは笑っている方が似合う。


「リック、待っているからな!」

「きっと成果を持ち帰ります」

「これで俺たち、コンビも一時解散だな!」

「一月後にまた!」


 リックは馬の腹を軽く蹴って行った。

 一月後にどっちが驚かせるか勝負だ、リック!

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