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夜も更けて ドラゴン狩りの 始まりだ

 夕食は軽めに済ませて、夜に備える。

 材料が無いので、今日は大人しく店は開けないそうだ。

 野菜中心で実にヘルシー!

 食べ終われば出発だ!


「気を付けて」

「ありがとう!」

 しんみりと言うクロエに、敢えて明るく返す。

「エイジさん、ミラちゃんの為にも今からでも止められませんか?」

「討伐はミラの為でもあるし、俺の為でもある。勿論、クレアの為でもあるんだ」

 心配そうなクレアの提案は却下させてもらった。

「エイジ、リック、頑張って!」

「おう!任せろ!」

 明るく送り出すミラには威勢良く応える。


「行きましょう!」

 リックは先に馬に乗って待っている。

「行こう!」

「エイジ、討伐には市長が討伐の証人を遣わすそうです」

「証人?」

「本当に倒したかを見届けるそうです」

「邪魔しなければ、構わないけど」

 内心は、面倒くさそうだと思った。


「現地に来る事になっています」

 オウルドラゴンの出現ポイントに近付くと、その証人はいた。立派な馬に乗った俺と同い年くらいの男だ。

「本当に2人なのですか?」

 この男、太い声で確認してきた。

「申告通りだけど、意外かな?」

 この男の声の後だと、リックの声が更に爽やかに聞こえる!

 そして程なくして、オウルドラゴンが餌付けされている場所に到着した。


 さて、生き餌として使えるのは馬かこの証人の男の2択だが、証人が居なくなるのも困る。

 仕方なしに俺の乗って来た馬を生き餌にするしかない。

 だだっ広い荒野に馬1頭だけポツンと立たせても、こっちに来てしまう。

 元来、馬は集団生活を送る生き物。1頭だけ離そうとしても他の馬に付いて来てしまう。競馬で、騎手が落馬した馬でも走って他の馬に付いて行くのは馬の本能なのだ。

 俺は小サイズのゴーレムを作りだし、手綱を握らせる。

 これで、あの馬はあの場所に留まる。

 勿論、その周囲にはゴーレムを伏兵として配置している。オウルドラゴンが馬を捕らえに降下して来たら、無数のゴーレムが一気に襲い掛かる作戦だ!

 よって、オウルドラゴンが来るまでは待機しかない!


「この町って、結構大きい町なんだろ?」

「ええ、都市と都市の中間にあって、都市間を行き交う者は必ず立ち寄りますから」

「なら、軍隊とかがオウルドラゴンの討伐をしてもよさそうじゃないのか?」

「あんた、そんな事も知らないのか?」

 俺とリックの会話に証人が割り込んできた。


「軍隊は隣国と睨み合いで、そんな余裕は無い!」

 証人は無言で見る俺に、更に続ける。

「徴兵していた農民を収穫の為に一時的に帰したから、職業軍人は尚更忙しい!」

 そういえば、ソマキの村にもアランの他にも何人か男がいたけど、それか?

 

 それからどのくらい経ったのだろうか?

 時計を見ていないので分からないが、2時間くらだろうか。場の雰囲気が変わった!

 空を見上げると、星空をバックに巨大な影が舞っている!


「現れたぞ!オウルドラゴンだ!」

「いよいよですね!」

 リックを見ると、ショーが始まる前の高揚感にかられているかの様に。オウルドラゴンの討伐だというのに、楽しんでいる様に見える。

 証人の男を見れば、寧ろ彼が1番緊張している様だ。


「大丈夫か?」

「あ、あいつが、オウルドラゴン?」

「そうだ」

 この男は証人なのに、オウルドラゴンを初めて見るらしい。俺も近くで見るのは初めてだけど。

 まだしも遠いし、夜なので細部や色とかは分からないが、名は体を表す!フクロウを連想させるシルエットだ。

「あいつが…」


 何回か旋回した後にオウルドラゴンは堂々と生き餌の馬を目掛けて降下して来た。

 近くで見ると、デカい!2階建て住宅くらいだろうか?

 ドラゴンにしては首が無いに等しい位に極端に短く、巨大なフクロウの様に見える。だが皮膚は全身鱗で、腕も有りドラゴンらしさも持っている。

 

 オウルドラゴンが相手だろうと、馬は絶対に回収したい!

 伏兵中のゴーレムを動かすタイミングを誤る事は出来ない!


 息を殺し、この上なく集中力を研ぎ澄まして注視する。

「今だ!」

 オウルドラゴンが馬にその足の爪を掛けようとした瞬間にゴーレムを起動させる!

 だがその時、俺の後ろから火の玉(ファイヤーボール)がオウルドラゴン目掛けて飛んで行った!


 証人の男が叫ぶ。

「くらえ!レイの仇だ!」

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