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覚悟して 妻に告白 これまでを

 息子のアーロンを寝かし付けているクレアは2階に居る。2人共寝ているかも知れないのでそっと階段を上ると、子守唄が聞こえる。クレアの声だ。


「クレア?」


 ドアを軽くノックしてそっと開ければ、アーロンに寄り添ってベッドに寝ているクレアが居た。俺を見るなりゆっくりと起き上がって来た。

 

「あっ、あなた、姉さんとの話は終わったの?」


「ああ。済まなかった。まさか妊娠していただなんて知らなかったんだ」


 そんな理由が許される訳もない。そんな事は百も承知だ。が、夫不在での妊婦生活からの出産、そして育児が大変な事位は如何に俺がそんな事と無縁な生活を送っていても判る。


「まぁ確かに大変だったけれど姉さんが居たし、皆さんにも良くしてもらって乗り切れたわ」


「そうか。世話になった皆には感謝しかないな」


「そうね。そう言えばあの子達だけど」


 クレアが言う「あの子達」とは、かつて俺が盗賊の元から救出した娘達の事だ。まだ物心が付く前に攫われてまともな教育を受けていないので読み書きが出来ない。

 それをクレアが一生懸命に教えていたな。


「彼女達がどうした?」


「ある程度は読み書きが出来る様になったの! だからロンさんの所とかショッピングモールで働いているのよ!」


「そうなのか!」


 読み書き出来ない人間が、大人になってから学ぼうとしても難しいらしい。学ぶにもタイミングが有るって事だ。

 日本という識字率が世界一の国で生まれ育ち、読み書きが出来る事が普通である俺からすると彼女達自身の努力、そしてそれに付き合ったクレアは尊敬に値する。


「って言うか、ショッピングモールはどうだ?」


「凄い事になっているわよ!」


 好調の様だな。クレアの顔を見れば判る。そのうちに行ってみよう。


「実はな、クレアに言わなきゃならない事が有るんだ」


「うん。それにあの人達は誰で、ミラちゃんやリックさんはどうしたの?」


「うん、順を追って話すよ」


 俺はこれまでの事を掻い摘んで話した。

 エリクソン伯爵を成敗した事。

 クーデターを鎮圧した事。

 紆余曲折有ってリックが国王になった事。

 俺が本来の魔道士である俺の他にもトルーマン公爵、ホーキンス侯爵、エリクソン伯爵になっている事。

 更にはスティード王国の時期国王になる事。

 一夫多妻制での女関係も全て告白した。



「えっと、リックさんが王様であなたも王様なのね」


「ああ。俺はスティード国王だ」


「それでスティード国王の正妃がリックさんの妹さんのフローラ様で、宰相のトルーマン公爵の夫人がさゆりさんね。それは判ったけれど、ホーキンス侯爵としてのあなたの夫人がミラちゃん?」


「ああ。それでクレアなんだけどスティード国王の側妃かエリクソン伯爵夫人になって欲しいんだけど」


「えっ、国王の側妃か伯爵夫人?」


 うっ、クレアが難しい表情になってしまった!

 第一夫人の筈だったから、1番位の高い国王の正妃じゃないとだめなのか?


「どっちも断りたいのだけど」


「どっちも?」


「ええ。絶対にイヤ!」


 クレアにこんなに拒絶される事は初めてだ。


「いやでもな、正妃は長くて厳しいお妃教育を受けないとなれないんだ。その点フローラは生まれついての王女だから……」


「あの、正妃になりたいなんて言うつもりほ無いわ!」


「じゃあどうして?」


「笑わない?」


「もちろん」


「だって貴族の御婦人とかになったら夜会とかでドレスを着なければならないでしょ。その…」


 クレアが急にモジモジし始めた。


「その…胸元が大きく開いて胸を強調する様なドレスを」


 それが理由か!

 確かにクレアの胸は良く言えば『微乳』、悪く言えば『貧乳』だ。見ようによっては『無乳』となるかも知れない。

 俺は胸の大きさなんてどうでもいいから、俺を愛してくれている女と愛し合いたいだけなんだ。

 だからクレアは大事だし愛している!


「夜会には一切出ないって条件でどうだろう?」


「それなら、どっちでもいいけど」


 何とか渋々って感じで了承してくれた。


「でも私には貴族の御婦人に必要な教養は無いわよ」


「そんな物は要らない。俺の傍に居てくれればそれで良い」


 ここでクレアを抱き寄せて久し振りのキスを交わす。すると直ぐに違和感に気が付く。

 今までのクレアには無かった柔らかい感触が有る!


「クレア、胸が大きくなっている?」


 平坦だったクレアの胸に山が出来た!


「そりゃ、アーロンにおっぱいを飲ませないといけないから」


 という事は、この山は今だけか!


「クレア!」


「きゃっ!」


 クレアの胸に自然に手が伸びる。今だけのレアな体験だ!


「ちょっと、おっぱいはアーロンのよ!」


「クレア、アーロンをお兄ちゃんにしてやろう!」


 それからは横にアーロンが寝ていようと関係無く、第2子を授かる為の行為を開始した。レア感は自制のブレーキでは止められない!

 だが俺は久し振りで忘れていた。夫婦の営みの時のクレアは日頃のお淑やかさが嘘の様な、肉食女子であった事を。

お読み頂きましてありがとうございます。


年内はこれで終わりとさせて頂きます。

年明けは9日を予定しています。

残り数話、1月中に完結する予定です。

最後までお付き合い頂ければ幸いです。


それではみなさま、良いお年を。

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