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新しい 国の形を 作ろうか

「色々と考慮しましたがエイジ、トルーマン公爵と我が妹フローラとの婚姻は白紙として頂きたいのです!」


「フローラとの婚姻が白紙?」


 フローラの心変わりか? それとも俺の何かが足りなかったのか? 

 偶のプチゴーレムでの通信以外は1年間も放置同然にしていたから当然なのかも知れないけれど。

 元々フローラとの結婚は降って湧いた様な話で実感はあまり無かった。それでもこのケースは振られた事になるんだろうな。

 それはそれでショックを受けている俺に構わずにリックは続ける。


「そしてエイジ、貴方にはスティード国王の身内、即ち王族になって頂きたいのです!」


「なぬ?」


 俺がスティード国王の身内?

 リック、何を企んでいるんだ?


「単刀直入に言います。エイジには次のスティード国王となって頂き、その上で妹のフローラと結婚して頂きたいと思っています!」


「つまり俺にスティード国王になれって?」


「仰る通りです!」


 確かに、スティード国王にディラーク国王の妹が嫁ぐのなら国として格好が付く。

 それにスティードの国民感情的にもある程度は溜飲も下がるんじゃないかな?

 ディラーク王国は決してスティード王国を軽視していないってアピールになって。


「このスティードを治める国王として相応しいのは、信頼できて実力の有るエイジにしか頼めません!」


「フローラはこの事を知っているのか?」


「ええ。喜んでいましたよ」


 フローラは紛いなりにも王女だからな。王妃になる事に抵抗が無いのだろう。

 あとは軍の監視下で魔導具造りに勤しんでいるスティード前国王に話を通すだけか。あっさりと承認しそうだけど。

 年齢的には彼の兄弟といった所か。


「それじゃリック、トルーマン公爵はどうなる?」


 フローラを俺に嫁がせる為に存続させたトルーマン公爵家はその役目が無くなった。なので存続理由も失った。素直にお取り潰しか?


「それなんですが宰相のエドガーを操っていたという、さゆりをエドガーの娘としてトルーマンに嫁がせては如何でしょうか?」


 さゆりの事はリックには伝えてある。リックに取っては妹の恋敵になる訳だが、幸いにもこの世界の価値観のお陰で特に何とも思われていないようだ。

 一夫多妻制の世界で良かった!


「さゆりがトルーマン公爵としての俺に嫁ぐ? エドガーの娘として?」


 なら名前はサリューの方が良いかな?


「ええ。これにより両国の結び付きがより堅固になります!」


 確かにその通りだな。

 さゆりとは既に関係を持っているので、丁度良い着地地点をリックに提案してもらった。


「エイジ、忙しくなりますよ!」


「そうだな」


 俺がスティード国王になるなら先ずは国を豊かにしなきゃならない。

 それにただ山を切り崩すだけじゃなくて、町を作ったり、農地の造成、道路の整備等やる事はたっぷりと有る。

 今度はそっちに魔法を使うにしても、ちょっと待った。


「リック、トルーマン公爵は判ったけど、ホーキンス侯爵とエリクソン伯爵はどうなるんだ?」


 俺の身はスティードに釘付けになるぞ。ディラークとの二重生活は難しい。


「人的交流として全員をスティードに移らせます」


 即答される。流石はリック。


「両国の繁栄にはそれが最善の方法だと思いますよ」


 リックなりに考えての提案だと思う。断っていい案件ではない。


「判った。でもスティード国王になるならスティードに移住しなきゃならないだろ? 取り敢えず1度戻りたいなぁ」

 

「そうして下さい。これからは中々戻れないと思いますので。そしてその上で、エイジの考える理想の国家をお作り下さい。微力ながらディラーク王国も協力させて頂きます」


 俺の理想の国か。


「それだと抵抗勢力から猛反発を食らうな。絶対に」

 

 実際に行政に携わる者には新しいやり方に戸惑ったり反発する奴が必ず出るだろう。


「しかしエイジ、新しい形の国家を作るまたとない機会です。何より僕自身がそれを見たいと願っています!」


 リックが珍しく熱っぽく語る。


「エイジの魔法は規格外です。今度はそれを使った国造りを見せて下さい。その結果として、スティード、ディラーク両国の国民が豊かになる筈ですから!」


「リック、魔法で開拓するのは勿論だ。でも俺の理想の国家ならリックの規定概念から大きく外れる事は確実だ。それでも構わないか?」


「楽しみしか有りませんね!」


 俺とリックは自然と歩み寄って手を取った。

 そう言えばリックと握手って初めてじゃないのか?


 とにかく1度帰国して色々と整えよう。

 思えばクレア達を1年間も放置してしまった。叱られてくるか。

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