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呆気なく 終戦の時 やってきた

 スティード国王は死んだのか?

 あっちこっちに瓦礫が散乱しているのでちょっと判らないが、巨人? 巨タヌキ?の下半身は立ったままで動かない。

 仮に上半身と共に吹き飛んだのなら、あの高さから吹き飛ばされて無事とは思えない。

 自分の意思で飛ぶならまだしも、爆発は予想外だっただろうし対応出来なかったんじゃないかと思う。


「おかしいわね」


 呟いたのはシルヴァだ。俺の配下になってからは、俺には敬語を使っていたから今のは独り言か?


「何がおかしいんだ?」


「あっ、いえ」


「言ってみてくれ」


「はぁ…」


「気になる事は何でも言ってくれ。それが仲間を救う事になるかも知れない」


 大体ここで言われる事ってプラスなんだよね。


「では、術者が死ねばあの土製の下半身も崩れるかと思いましたので」


「それは術者次第ですね」


 アンドレイが割り込んで来た。

 

「込める魔力よって死と同時に生成物が消滅する魔術師も居れば、死後も残り続ける魔術師も居ます。要は魔術師の力の違いとでも言いましょうか」


 そう言えば椎名さんの魔導書にもそんな事が書いて有った気がする。

 だから俺の作ったゴーレムとかも残るって確信して作ったんだよなあ。

 って事はスティード国王もそれなりの魔術師って事なのか?


「閣下、今の爆発により燃えた破片が飛び散りました。王都全域での火災が予想されます」


 マキシムからプチゴーレムで連絡が入った。確かにあっちこっちから煙が立ち上っている。


「マキシム、市民の避難は?」


「避難を希望する者は全員を城壁の外に避難させ、終了しております」


「そうか。それなら全軍を城壁の外に退避させてくれ!」


「全軍退避ですか?」


「ああ。もうこの王都ごと爆破する!」


 スティード国王は死んだのかも知れないけど、瓦礫に隠れて生き延びているかも知れない。消えて欲しいと思われている奴に限ってしぶといからな。

 どっちにしてもあの巨大な下半身はオブジェとして残すには大き過ぎる。


「まずはあれを破壊する!」


 あの規模の物を破壊するには強力な一撃が必要だ。

 頭の中では某アニメのワンシーンを脳内再生する。全身全霊を込めて如何なる物をも破壊する様な一撃をイメージする為に。


「……………」


「あっ、それって!」


「詠唱の途中です。集中を途切れさせてはなりません」


「大将が詠唱をしている!」


「常に無詠唱だった閣下が詠唱を! 果てしてどんな魔法なのでしょうか?」


 自然に出た台詞が詠唱だと受け取られてしまった。恥ずかしいから小声だったのに!

 

「みんな目を閉じて伏せて! 閃光で目をやられるわ!」


 さゆりは俺がこれから出す物が何かを知っているんだな。流石は同い年だけあって見てたアニメも共通するんだな。そして注意喚起に感謝する。

 それでは遠慮無くぶっ放すとしますか!


「はぁぁぁっ!」


 両手の平を合わせると青白い光の球体が発生する。それに魔力を込めると風船が膨らむ様に大きくなっていく!

 大きさで言えば、ピンポン球が野球のボール位になって、サッカーボール位になって、運動会の大玉転がしの球になった。


「ヌゥおぉぉ!」


 それを勢いよく放つ。久し振りに本気で魔法を放った!

 空中で更に大きくなった光の球は巨人だった物の下半身へと突き進むと、それが砂像であるかの様に呆気なくそれを破壊した。

 それだけで終わらずに更に大きくなった光の球体は上空に留まると、そこから細かい光の粒が雨あられと容赦無く降り注いだ!

 もちろん光の粒が当った所では盛大な爆発が起っている!

 

「これで瓦礫に隠れていても生きちゃいないだろ!」


 だが相手はスティード国王だ。会った事は無いけど、きっと風呂場のカビの様にしつこいに違いない。

 ならばフィニッシュとして、光の球体を地面に叩き付けて王都そのものを消滅させるか。


「閣下、お待ち下さい。ハルク殿が参られました。攻撃の停止を求めております!」


「ハルが?」


 マキシムから言われたハルの行動は意外過ぎた。プチゴーレムからはハルの声が聞こえてくる。


「エイジさん、もう王都を破壊する必要は無い! 国王は俺が捕まえた!」


「何だって?」


 何で奴隷にされている人々の保護に行ったハルが国王を捕まえている?


「意外だろ? 王宮からの地下道が貧民街に繋がっていたんだ」


「本当に国王で間違いないのか?」


「ああ、間違いない」


 意外な形で戦闘は終了となった。

 それは結構だけど、あの光の球体のやり場に困るな。

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