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爆発は 計画的に やりましょう

 王宮の爆破を予告した5分が経過した。死にたくない奴は退避した筈だし、そうでなくてももう待てない。

 とは言え、こっちも準備に時間が掛かっている。


「コイツ、思ったよりも大きくならねぇな!」


「そのインフェルヌスは閣下のご要望により、大きくならくともエネルギーの蓄積が可能な様に調整しました。しかし魔力を注げばそれなりには大きくなりますので、気長に魔力を注いで下さい」


 5分経ったがインフェルヌスは、身長3メートルに足りない位にしかなっていない。比べられる物は、ヒグマかな?

 確かヒグマはそんな大きさだと思った。ラーイが炎魔法を注ぐ前は俺より小さかったから、それなりには大きくなってはいるんだけど。

 

「ラーイ、炎のエネルギーはどのくらい注いだ?」

 

「かなりだ!」


 予想はしていたが大雑把な奴だな。


「前に魔力を吸われた奴なら間違い無くこの3倍にはなっている筈だぜ!」


 ああ、ラーイが最初にインフェルヌスに根刮ぎ魔力を吸われて死にかけた時か。

 って言う事は、かなりだな!


「俺もやるか!」


 インフェルヌスをエネルギー蓄積型にさせたのは俺だけど、もう少し大きくなって欲しいかな。このままじゃ迫力に乏しい。


「でしたらインフェルヌスはもう1体ございますので、閣下にはそちらを」


「なるほど、ラーイと俺とで競争か!」


「負けねぇ!」


 こうして俺とラーイは、どっちのインフェルヌスが大きくなるかの競争をする事になった。非常時だって言うのに遊んでるみたいで楽しんで魔力を与えていると、インフェルヌスはそれに応えて大きくなっていった。


「何を楽しそうにやっているのよ」


 さゆりの目が冷ややかではあったが、結果から言えば俺の勝ち!

 結局ラーイは3メートル強、俺は6メートル位ある。

 ラーイには5分のアドバンテージが有ったけど、俺がアンドレイから受け取ったインフェルヌスは旧来型。大きく成りやすいタイプだったからな。でもそれは内緒だ。


「ほら、そんな事していないで早く出ましょ!」 


 さゆりに促されるがインフェルヌスを爆発させるポイントを決めなくては。中庭で爆発してもエネルギーが空に逃げてしまってはもったいない。

 となると、やはり建物の中になるな。


「これから辺り構わず爆破する! みんな、爆炎や瓦礫に注意しろ!」

 

 インフェルヌスを建物内に移動させる穴を空けるついでに、効率的に建物が崩壊する様に壁や柱を破壊しておこう!

 全方位に爆裂魔法の乱れ打ちだ!


 機銃を連射するイメージで爆裂魔法を連射だ。その一発一発が着弾時に結構な爆発を起こすから、下手すると退路を塞ぎ兼ねない。見極めが大事だな。


「そろそろ行くぞ!」


 調子に乗ってやり過ぎたか? 建物の一部はギシギシと音を立てている。

 もう何処でもいいから爆発させよう!


「お前ら…許さん」


 再びスティード国王の声が聞こえて来たが、今は取り込み中だ。無視しよう!


「エイジ、また聞こえてきたけど」


「今は忙しい、ほっとけ! 」


「おい、お前ら…」


 心なしかスティード国王の声のトーンが落ちているが、それに構っている時間ほ無い。


「はいはい。じゃ、俺達は行くから!」


「待て、お前らには裁きを」


「裁判には手続きが必要だ。そう言う訳でまた今度!」


 今度とお化けは出た(ためし)が無いって言うけど、その通りだな。スティード国王に今度は無い。

 色々と聞きたい事も有るけど、判らない事が有っても別に構わない。

 ここで人種差別とか悪政の理由を聞く為にこっちの勢いとタイミングを逃したくはない。


「余を怒らせた事、万死に値する!」


 ゴォォォ! ゴゴゴォォォ!


 何か建物が震えて轟音が響く! 遂に崩壊するのか?

 いや、凄い揺れている! 地震? 

 俺は震度は5強までは経験有るけど、これはそれよりも揺れている気がする。


「地震だ!」


「そんなっ、私がこっちに来て10年経つけど地震なんて1度もなかったわ!」


 本来、この世界では地震は無いのか? 

 これがスティード国王の怒り?


「上からの落下物に注意だ! 机の下に入れ!」


 言ってはみたけど机なんて何処にも無い。当たり前か!

 そして落下物は容赦無く落ちてくる。そりゃそうだ! 自分で散々爆破したからなぁ。

 俺は咄嗟に全員を守れる程度の結界を張る。これで単純に落ちてくるだけの物からは身を守れる筈だ。


「閣下、閣下、御無事でしょうか?」


 その時、通信用のプチゴーレムから俺を心配するマキシムの声が聞こえた。

 わざわざこんな大袈裟に心配するなんて、外から見ればこの王宮はかなり崩れたのか?


「大丈夫だ。全員無事だ。そっちは大丈夫か?」


「私達は特段何もございませんが」


 俺の返しに何だか戸惑っている様だったが、あんな凄い地震が有ったのに何でも無かったのか。


「それはよかった。震度はどれ位だろうな?」


「震度ですか? その震度とは如何様な物でしょうか?」


 そうか、震度の概念が無いのか。

 元の世界では、外国の地震が無い所では震度3位で大袈裟に騒ぐって聞いたけど、流石はマキシムだ。落ち着いているな。


「恐れながら閣下、話が今一つ通じておりませんので報告致します。中にいらっしゃる閣下からはお見えになれないと思われますが……」


 何だ? 勿体つけるな。


「王宮が何やら、巨人の様に変貌しました!」


 マジか!

 

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