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伊達じゃない 黄金の獅子の 二つ名は

「魔道士様、言うなれば一騎打ちは戦場の華なのです。これを受けねば勝ち戦でもその価値が下がり、卑怯者の誹りを受けかねません」


 戦の流儀を知らない俺にドイル男爵が耳打ちしてくれた。


「もっとも、敗色濃厚となった時に本体を逃がす為の時間を作る目的である事も多いですね」


「ちなみに我軍で1番の剣の使い手は?」

 

 向こうが敵軍を代表しているのだから、こっちだってそれなりの剣士じゃなければ格好付かないよな。


「これと言った者は居りません。ですから魔道士様には閣下をお止めして欲しいのです」


 ドイル男爵は未だにホーキンス侯爵は俺が動かしているゴーレムだと気付いていない。


「このまま一騎打ちを受けずにディラーク王国軍が卑怯者呼ばわりされます。これを回避するには適当な者を差し出すか、軍を率いる閣下が一騎打ちを受けて立つ事になります!」


 何で勝ち戦で大将首を差し出す必要が有るんだ?


「それ、おかしいだろ!」


「ですから、落ち着いて下さいと言っています魔道士様」


 マキシムに目をやると表情が強張っている。この流れだと俺の代わりに一騎打ちに行きそうだな。


「よし、一騎打ちを受けて立つ!」


 ホーキンス侯爵としての発言だ。


「閣下!」


「まぁ聞け。あのハルクとやらの面子を立てて、ある程度の溜飲を下げてやれば事は収まるのだろう」


 俺はそれだけ言うとホーキンス侯爵役のゴーレムを動かす。


「閣下、あの者の目的はスティード王国軍の名誉の維持と時間稼ぎですので数回剣を合わせ、相手を称えるお言葉を述べられれば退くと思われます」


 ありがとよドイル男爵。数回だけ持ち堪えれば良いんだな。

 ゴーレムに剣を握らせ、黄金の獅子ハルクの前に立たせる。ハルクはドラゴンから降りて準備万端の様だ。


「スティード王国最強の剣士、黄金の獅子ハルク!」


「ディラーク王国、ん?」


 よく考えれば、ホーキンス侯爵の名前を知らない!

 いわゆるファーストネーム。日本語で言えば、下の名前を!


「ディラーク王国軍を預かるホーキンスだ。その勇気は褒めてやる。だが生命を無駄にする事はない!」


 出来ればこの言葉だけで退いてくれ!


「ハッハッハ! 敵の大将自ら来てくれるなんて、嬉しいねぇ! 黄金の獅子の名の下に、痛みを感じる前に終わらせてやるよ!」


 甲高い声を張り上げたハルクは剣を抜くと中段の構えだ。


「行くぜ」

 

「来い!」


 向こうから来るならカウンターを狙うしかないな。

 一応作戦としては、下段に構えてハルクが来るのを待つ。次にハルクが来たら剣を振り上げて刺す!

 この時に重要なのは、剣を持つゴーレムの手を剣を振り上げると同時にさり気なく伸ばす事だ!

 その瞬間にいきなりリーチが伸びるなんて想像も出来ないだろう。


「ウォォォ!」


 ハルクが来た。今だ、剣を振り上げろ!

 と念じた時だった。


「あぁぁ、閣下!」


 ハルクの姿が消えたかと思うと、次の瞬間にはゴーレムの背後に移っている!

 

「敵将ホーキンス、討ち取ったりー!」


 ハルクが高らかに宣言すると同時に、ホーキンス侯爵役のゴーレムの首が宙を舞った。

 

 全く反応が出来ない信じられない身体能力!

 まさに瞬殺!

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