姫様と 公爵領を 手に入れる?
何か宝くじにでも当たったかの様だ!
いや、公爵領が転がり込んで来るとなったら宝くじなんて目じゃないぞ!
領地って貰ったら、当たり前だけど俺が領主だよな?
数ヶ月前まではブラックなリフォーム会社でパワハラされていたこの俺が領主?
でも領主って何をやれば良いんだろ?
「おめでとうございます」
アンドレイが仰々しく祝辞を述べてくれたが、まだ決まった訳じゃないからな!
リックの私案をベースにフローラが盛り上がっているだけだ。
とは思いながらも、内心浮かれて頬が緩むのも事実。
何故かミラも目を輝かせている!
「待ちなさい。その事を含めてエイジ本人と話し合うつもりだ。お前の事もじっくりとな」
リックの一言で浮かれ気分を落ち着かせる。領地の事は大体判ったけど、フローラの事って何だ?
それをリックに聞いてみたがフローラの方が早く反応する。
「エイジ様、実は私、お兄様よりエイジ様のご活躍を伺っておりました。偉大なる伝説の大魔道士シーナと同郷で、誰も読めない魔導書が読める。その上、魔法は桁違いの威力が有ると。私はエイジ様こそ、今回のクーデター鎮圧で名を挙げるお方であると確信致しました。そしてその通りになりましたわ!」
リックが俺の事を話したのって、王都へ調べ物に行って暫く帰って来なかった時か。
「そりゃどうも」
俺は王侯貴族に対する礼儀なんて知らない。だからこんなぶっきら棒な対応になってしまう。
「エイジ様、宜しいでしょうか」
何か急に畏まれて、フローラの雰囲気と言うか表情がガラリと変わった。
元の、究極的に美しいお姫様以外の何者でもない!
なのでこうなると、俺としても自然と背筋がピンとなる。
「エイジ様、正式に叙爵された暁には私を妻にして頂たく存じます!」
「はい?」
今、何て言いましたか?
「エイジ様、トルーマン公爵家は断絶です。少なくとも公爵家が1つは減りますわ。ですのでそのまま公爵となって頂けますと、次期国王の妹である私との婚姻もスムーズです!」
ちょっと待て。話がうますぎる!
フローラ、次期国王のリックの妹でとんでもない美女!
それが俺の妻になるなんて言っているけど、俺って既婚者なんだけど知らないのかな
国として一夫多妻制は認められているけれども、相手は紛いなりにもお姫様。平民であるクレアと同列にしたら拙いだろうな。
「エイジ様、現在のエイジ様の妻たちにつきましては、決して悪い様には致しませんわ。勿論そちらのミラさんでしたね、エイジ様の第3夫人と聞き及んでいますがミラさんの事も」
ミラも驚いているけど、知ってて言ってたんかい!
「実は、お兄様よりエイジ様のお話を伺ってから、王国の諜報機関にエイジの事を調べさせましたの。私が身も心も捧げるべきお方と思いまして」
諜報機関が有るのか。それなら俺の事なんか調べてないで、クーデターの事を調べろよ!
「正式に第一夫人となっている、クレアさんでしたね。エイジ様と無理に引き離す様な事は致しません。このフローラ・マーガレット・フラム・ディラークの名に於いて!」
凄い堂々と言っている。でも何故か俺じゃなくて、どっか遠い所を見つめているよ。この人。
まるで凛々しいお姫様である自分自身に酔っているかの様だ。
「取り敢えず、明日にしましょうか」
妹の暴走のせいか、リックの疲労の色がより酷い事になっている。休むべきはリックの方だろ。
そして今までの経験から感じ取ったのは、離宮には行くべきではない!
行けば絶対、成り行きに身を任せて既成事実が作られそうだよな。




