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兄妹で 決めるは俺の 領地かな

 さて、クーデターに加わった貴族も王宮内に居た連中は全滅したし、奴らに担がれていたスティーブももう大丈夫だろう。フローラの活躍で!

 魔族のアンドレイは俺の配下になったし、ラーイとシルヴァは本人達の望む様になった。


「ふぅ」


 思わず深く息をする。一先ずこれで、この王宮内に戦うべき相手は居なくなった様だな。

 緊張の糸が切れたのか、疲れが一気に押し寄せて来た様だ。


「取り敢えず今晩はもう休みましょう。流石のエイジもお疲れでしょう。何処かに部屋を準備させます。エイジはそこで休んで下さい。ミラも」


「ああ。そうさせてもらうよ」


 時計が無いから王都に入ってから何時間経過したのかは判らないが、王都に入ってから休み無くずっと戦うか移動するかだった。よくよく考えれば結構な時間活動していたと思う。

 身体強化魔法を掛けてはいたが、オッサンの身体には流石に堪えるな。


「お兄様、それでしたら離宮へご案内致しましょう!」


「離宮か。確かにあそこしか静かな所は無いか」


 フローラが祈るかの様に両手を合わせ、瞳を輝かせて提案してきた。それに対してリックが何やら神妙な面持ちで応える。


「エイジ、ミラ、妹に案内させますので今日は離宮でお休み下さい」


「リックはどうするんだ?」


「僕は色々とやらなくてはならない事が有りますので」


 確かに普通に考えればリックは次の王様だからな。兄のスティーブの事とか、クーデターに参加したトルーマン公爵一味の事とか、残党対策、今後の国家運営等々を休む間もなく考えなければならないのだろうな。


「それと、エイジの処遇についても考えなくてはなりませんからね」


「俺の処遇?」


 領地が貰えるとかってフローラが言っていたけど、どうなんだろ? 


「まだ僕の私案ですけれど、伯爵としてエリクソン伯爵領にそのまま入って頂くと言うのは如何でしょう?」


「伯爵? 俺が?」


 普通に戦っただけで伯爵って、良いのかそれで?


「お兄様、伯爵だなんて有り得ませんわ!」


 リックの私案に噛み付いたのは妹のフローラだ。まだ私案なんだからそんなに噛み付くなよ。

 と、言いたいけど現実的にはそうだよな。そう簡単に爵位だなんて。それも伯爵なんて高い爵位をぽっと出の俺が叙爵したら他から不満が溢れ出て収集がつかなくなってしまう。

 親しい者を重用しただなんて判ったら、リックの国王としての資質を問われかねない。

 

「それにエリクソン伯爵領を引き継ぐだなんて!」


 俺の事でやけにフローラがエキサイトしているな。


「不満か?」


「ええ! お兄様ともあろうお方が!」


 うわぁ、かなり厳しいな。

 仕方ないとは言えさっきまで甘ったるい声をだして「お兄ちゃん」って言っていた妹キャラと同一人物とは思えない!


「エイジ様が伯爵って、お兄様は何をお考えなのですか?」


 言いたい事は判る。多少は難敵相手に戦ったとしても叙爵なんてとんでもない。叙爵したとしても男爵が関の山って言いたいんだろ。


「お兄様、もっと広いトルーマン公爵領が空いたではございませんか!」


 えっ、トルーマン公爵の領地か。


「今回のクーデター、エイジ様の他にはほんの一部の者しか論功行賞の対象者とはなり得ません! でしたらエイジ様に最大の領地であるトルーマン公爵領を是非!」


 今回のクーデター、貴族の半数近くが参加している。

 その残党をスティード王国軍の迎撃に活用する。幾らかかは生き残って家名を存続させるかも知れないが、幾らも残らないだろうな。

 となるとやっぱり半数近い貴族の領地が没収となるが、代わりに与えるべき功績が有る人間が少な過ぎる。


 それで俺が公爵領を貰えるの?

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