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盗賊の 村ごと消すぞ 大魔法

 この外道に人間として制裁を与える。

 既に両足の太ももの骨、大腿骨は折って動きは封じてある。そして肺に肋骨が刺さっているので呼吸も苦しい。

 何度でも言うが、盗賊に掛ける情けなど無い!


 俺は炎魔法でこのヒキガエルの様な、と言ったらヒキガエルに失礼な顔を焼く。

「はぅ、あぅ」

 もはやこの外道は命乞いすら出来ないし、させない!

「いいか、これは8年前にお前に殺されたステラの婚約者の分だ!」

 両手で顔を拭おうとするが、炎は消せずに手が焼け爛れるだけだ。

 俺は魔力放出して両肩の関節を粉砕した。

「これは、背負わなくてもいい重荷を背負ったステラと、両親を奪われたソフィの分だ!」


 次は股に魔力放出する。

「これは、ソフィのお母さんの分だ!」

 場所が場所だけに多少の躊躇は有ったが、ソフィの両親の無念を想うとこの場所は当然だろう。

 先に肺をやって良かった。耳障りな悲鳴を聞かなくて済む。

 魔力放出して潰したのは自分だが、結果は余り見たくはない。

 

 とどめを刺す前に俺は椎名さんの魔導書に書いてあった水の玉を作る。これは形の有る水で、俺にはジェル状のボールだ。投げた所に水の塊として留まるのだが、他人には水なので掴む事は出来ない。

 顔面の炎は消えるが、これでこの外道の鼻と口を塞ぐ。これで一切の叫びも悲鳴も聞こえないし、数分後には苦しい死に方の一つである溺死となる。

 そして炎の矢をイメージした魔法を使う。

「これはソフィの親父さんの分だ!」

 炎の矢は腹を貫き、その炎は全身を焼いた。

 即死ではない。苦しんだ所で水を気管に入れて更に苦しみ、全身を炎で焼かれる。

 焼かれながら溺死。溺れながら焼死とは、外道に相応しい最期だ。


 もう終わりだ。ソフィの親父さんが亡くなった柱に手を合わせる。

「仇は取りました」


 外に出ると少女たちが揃っている。全部で12人か。

「準備は?」

「大丈夫です」

「本当にここから出られるのですか?」

「あいつは死んだ。もう大丈夫だ」

「生きて出られるなんて」

 喜ぶ少女もいれば、泣き出す少女もいる。元の村に本当に帰れないのかは、後で調査だ。

「攫われたのは、これで全部かい?」

「はい、他の子は人買いに」

「みんな今まで苦しみに耐えた。その分、これから幸せになれる!俺もそうだ!今までとは真逆の人生を送っている!」

 後半の意味は分からないだろうが、励ましている事は理解された様だ。


 そうこうしていると、副村長がやって来た。

「おい、あっちに馬車の支度は出来たぞ!」

「副村長、馬車は何台ですが?」

「4台じゃ。それ以上有っても御者が居らんぞ」

 リックやカールは知らないが、俺は御者なんてやった事がない。乗馬は、乗馬クラブの体験コースで少しだけやったが、御者はさすがに。

「副村長、俺を刺した奴は御者を出来ますか?」

「上手いもんじゃ」

 拷問中止で、あいつにやらせよう!


「副村長、馬車は?」

「あっちでカールが荷物を積んでいるぞ」

「みんな、あっちで馬車に乗ろう!」

「はい!」

 揃った良い返事だ!


 馬車では、カールが盗賊達に命令して荷物を馬車に所狭しと積ませている。

「カール、彼女らを乗せたいんだが」

「旦那、荷物がかなり有ります。詰め切れませんが、いいですか?」

「それじゃ、荷車を用意だ。ゴーレムに引かせる」 

「なるほど!流石です、旦那!」


「エイジ、この村の女子供は出て行かないと言っています」

「村に居たら死ぬのに」

「エイジ、どうしますか?」

「盗賊達に呼び掛けさせよう!それで駄目なら諦める」

 荷物を積み終わった盗賊達に、女子供を逃がすように呼び掛けさせた。結果はゼロだ。今更この村の人間が他の村に避難など出来ないのかもしれない。

 仕方ない。この村の人間は盗賊行為の恩恵を享受していたのだから。


 後ろ髪を引かれる思いだが、馬車は連なって進みだした。

 俺は馬に乗って、村を吹き飛ばしてから追い付くつもりだ。

 盗賊達はゴーレムに四肢の骨を折らせてある。1人も逃げられない筈だが、一応はそちらにも目を光らせつつ、馬車が安全な所に到達するのを待つ。

 

 待っている間に考える。盗賊を滅ぼすのは当然。

 だが葛藤が有るのも事実。

 俺がこれからやるのは、虐殺。

 

 

「フゥ。出でよ、ゴーレム!」

 深呼吸してから、ゴーレムを再び20体作った。

「ゴーレム、女子供を抱えて村の外へ出ろ!ソマキの村に行く馬車を追え!」

 自己満足かもしれないが、やれる事はやっておきたかった。


 ゴーレムが女子供を抱えて村から出て来る。中には嫌がって暴れている者もいるがこの際、本人の意思は無視するしかない。

 ゴーレムが安全な所まで行ったのを見て、村を爆発させる。


 職業柄、危険物取扱者や、消防設備士、防火管理者といった資格を取得をしなければならなかったので、その研修で見た資料映像や、ニュース映像の爆発をイメージする。

 規模が大きいので詠唱や呪文の名前を叫ぶとかしたかったが、やっても虚しいので省略した。


 ドォーン!


 あれ、爆発は意外と小さい。そうか、資料映像の実験ではなく、もっと大きい爆発をイメージしないとダメか。気を取り直してやり直す。


 ズッドォーン!!


 まだ小さい!

 大体、爆破で村を消し飛ばすのは無理が有る。範囲が広すぎる!

 ニュース見た核実験の映像をイメージしかけたが、それは物騒過ぎるから止めよう。

 改めて今度は、映画で見た爆発シーンをイメージする。映画の中ではこの位の村は吹き飛んでいた。


 ッカ!ドゥッウォーーン!


 自分で起こしだ爆発だが、凄い爆風だ!

 安全の為に張った結界の中から見ているが、これで生きていたら許してやるって感じだ。

 爆風が収まるとそこには、村が有った事が何とか分かる程度の残骸しか残らなかった。


 それで終われば良かったが、爆風の範囲が広くて、あちらこちらで山火事になりかけている。

 水魔法で鎮火させなければ!

 それが終われば、これで完全に終わりだ。

次話以降、ハッピーではないエピソードが有ります。

苦手な方は恐れ入りますが、29話まで飛ばして下さい。

29話の前書きに、25話から28話まで,あらすじを掲載します。

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