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炎には 水を掛けるが 1番か

 フローラは転移前の世界も含めて、俺が見た全ての女性の中でも最も美人だと思う。

 その彼女が身体強化魔法を用いて自ら剣を振るって戦っている。

 しかもリックの妹なんだから、この国のお姫様だよな。

 お姫様で美しいのに最前線に出て来て自ら戦うって、男の心を掴むポイントだらけなんですけど!


「エイジ、陛下は妹に任せて大丈夫でしょう。エイジはインフェルヌスをお願いします!」


「了解!」


 とは言えフローラが気掛かりなんだが、リックは妹が心配じゃないのか?

 彼女は今、長兄を守る為に次兄と戦っているんだぞ。剣による勝負もだけどフローラのメンタルが心配になる。

 将棋じゃないんだから王将を守ればそれで良いって話じゃないよな。戦っているのは駒じゃなくて人間なんだ。フォローしてやらなければ。

 それは兎も角、国王で重要な立場なのは判るが剣を持った妹に守られる兄って、男として終わっているよな。

 リックとフローラの兄貴なのかね、本当に。


 それじゃインフェルヌス対策を考えるとするか。

 まず判っている事は、火属性の魔法は吸収してしまう。

 吸収する度に大きくなったり、形態変化したりする。

 少なくとも高温のブレスは魔法に由来していない。

 うーん、吸収した魔力は巨大化と形態変化する為に使っただけなのか?


「それじゃまずは、放水開始だ!」


 判らないなら試してみるしかない。早速ダメ元で大量に放水してみる。

 これまでの経緯からして水で何とかなると思っている訳ではない。それでも水その物はまだ試していないから、水ならどうなのかと思って試して見た。

 

「クククッ、もっと賢い方かと思っていましたが、買いかぶり過ぎでしょうか?」


 案の定、水はジュウジュウと水蒸気になっていったがこれは予想通り。それにしてもアンドレイめ、一々気に障る奴だな。

 その後、風属性も試したが有効打とはならなかった。

 土が無いこの玉座の間で土属性を使うとしたら…うーん、この玉座の間は3階だよな。少し考えないと。


「エイジ、こっちは気にせずに戦って下さい。あのアンドレイからは禍々しい雰囲気を感じます。油断なさらぬよう!」


 そう言ってくれたリックの足元にはラーイとシルヴァが横たわっている。この2人の前には公爵軍四天王の3人が俺の配下になっているから、俺の配下は現在5人だ。1人も欠ける事が無いようにしたい。

 そうだ、配下の技を借りよう!


「それなら、これはどうだ!」

 

 早速実行だ。魔力を増幅させる剣、バナザードの切っ先をインフェルヌスてはなく、アンドレイに向ける。


「ラーイ、技を借りるぞ。ブレイズランス!」


 ラーイが最後に放った炎の槍を真似て放つ。

 別にラーイの仇とも思ってない。ラーイもシルヴァもミラとリックによって助かるのだから。単にそれを真っ先にイメージ出来ただけだ。


「ほぅ、直接私に攻撃ですか。多少は考えた様ですが、インフェルヌスが私を守るとは考えられなかったのでしょうかね」


 その言葉通りに不敵な笑みを浮かべるアンドレイを庇う様にインフェルヌスが素早く立ちはだかる。そうなると案の定ブレイズランスはインフェルヌスに吸収されていった。


「クククッ、残念でしたね。ラーイの仇を討てなくて」


「ホント残念だな」


 そんな気はサラサラ無い。確認したかっただけだ。

 インフェルヌスが吸収するのは火属性の魔法のみ。水も風も吸収はせずその身で受け止めていた。倒すに至らなかっただけで。


 そこで思い付いた。インフェルヌスは魔法と言うより炎、広く言えば熱源となる物を吸収するのではないだろうか?

 そしてその熱を自身の巨大化、形態変化、ブレスに変換している。魔力の有無はどうでもよくて、熱なら何でも吸収する体質なんだと思う。

 だからブレスは魔力由来ではなく、純粋な熱が放出されたんじゃないかなと思う。

 それらを元に対策法を考えてみた。

 

「これでも喰らえ!」


 インフェルヌス対策法、その第1段階として直径2メートルのウォーターボールをインフェルヌスに向かって連発する。

 それでインフェルヌスの全身を包み込み、その姿が見えなくなる程に。

 

「愚かな」


 アンドレイが呟く通り、ウォーターボールの水は次々と音を立てて蒸発してしまう。しかし、そんな事はお構いなしにインフェルヌスが見えなくなる位に連発してやる!


「おやおや、ここをサウナにでもするつもりですか?」


 アンドレイの言う通り大量の水蒸気で確かに、玉座の間はサウナ状態だ。白い水蒸気で視界が無くなり、当然ながら蒸し暑い。

 だがそれこそが攻略の第一歩だ。

 それを悟られない様にしなければ。そう思いつつ、俺はバナザードを再び構えた。

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