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サラマンダー ラーイが燃えて 攻め掛ける

「おいこらトカゲ! 俺が相手になってやる!」


 ラーイがサラマンダーの前に躍り出る!


「待てラーイ、活躍の場が欲しいのなら他で幾らでも作ってやる! いいか、相手が勝負の方法を炎と指定している以上は何か裏が有るに違いない。って事は、お前は相性が良くない筈だ!」


 ラーイに死亡フラグが立った今となっては不安で仕方ない。

 あんなに炎に特化した奴は他にはいない。この一連の国家転覆が収まった後でも考えれば何か活用方法が有る筈だ。

 それに第一、俺の配下になった奴を失う訳にはいかない!


「伯爵軍最強の炎の使い手、紅炎のラーイが私のサラマンダーの相手ですか。良いでしょう。相手にとって不足はございません」


 アンドレイの低く冷たい声が響く。コイツの含み笑いが気になるのだが、残念ながらやる気になったラーイは制御不能の様だ。

 仕方ない奴だな。フラグなんてクソ喰らえだ。だがラーイよ、シルヴァを悲しませる結果にはするなよ!


「それじゃ先手必勝!」


 ラーイがいきなり突っ込んだ!

 猪武者か! 序盤は相手の様子を見ろよ!


「ウリャー!」


 ラーイは自身の両拳を炎で包んだ!

 あの赤く燃える拳の炎はまるでボクシンググローブの様だ。あの炎でサラマンダーに殴り掛かるつもりか。


「くらえ!」


 ラーイがサラマンダーにいきなり猛ラッシュを掛ける。サラマンダーからの反撃は特に無く、ラーイが一方的に攻撃している!


「見て下さい、ラーイの拳の炎を。感じる魔力から推測するに恐らく、あの炎は普通の魔術師のファイヤーボールよりも火力が有ります!」


「つまり、サラマンダーは普通以上のファイヤーボールを何発も受けているって事か?」


「単純に考えればそうなります」


 リック、解説ありがとう。

 ファイヤーボールって俺は普通に使っているけど、普通の魔術師は詠唱して使うんだよな。それを考えればやっぱりラーイは大した奴なんだな。

 ラーイの猛ラッシュの前にサラマンダーは身動き一つしていない。動かないのか、動けないのか、ただ攻撃受け続けているだけだ。

 そしていよいよラーイが大きく振りかぶった! これでフィニッシュか?


「どうだ! ハァハァハァ」


 一連の攻撃は無酸素運動だったのか、ラーイは肩で息をしながら動かないサラマンダーを睨んでいる。

 だが、何か違和感を感じる。

 何だ、この嫌な感じは?


「トドメだ!」


 ラーイが何時になく気合いを込めている!

 これはデカいのが来るぞ!


「ワイルドファイヤー!」


 これは凄い! 

 ラーイの放った獰猛な炎の渦がサラマンダーに当たった瞬間にサラマンダーを包み込む!

 言うなれば、サラマンダーの包み焼きって所か。

 サラマンダーに対して炎はどうかと思ったが、この火力なら燃えないやつは居ない!


 パチパチパチパチ。


 ラーイの勝ちかと思った瞬間、手を叩く乾いた音が響く。アンドレイだ。


「素晴らしい!」


 また含み笑いをして、そう言い放つアンドレイはまるで他人事の様に涼しい表情だ。

 

「良い物を見せて頂きました」


 チャリン! アンドレイが何かをラーイの足元に投げた。

 金貨だ。アンドレイは金貨を1枚、ラーイに投げたのだ。


「何のつもりだ? 俺の炎は見せ物じゃねぇぞ!」


「これは失敬。大道芸にしては大掛かりでしたね。しかし勝った気になるのは早い様ですよ」


 言われて慌ててサラマンダーを見れば、先程まで全身を覆っていた炎が消えている!


「何だと、そんなバカな!」


 ラーイが唖然としているがそれは俺達も一緒だ。

 やっぱりサラマンダーには炎が効かないのか?


「もっと強い炎でお願いしますよ」


 この不敵に笑うアンドレイは飽くまでも炎を要求してくる。

 何を企んでいやがる?

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