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自分から フラグ立てるな おいラーイ

「やっ、やめろ!」


 サラマンダーにロックオンされた次男が泣き叫ぶ。

 下半身は水で拘束されているので、まだ動く首を懸命にブンブン振って。

 

「助けろ魔道士! これは領主嫡男の命令だぞ! その炎対決だかでさっさと勝って、俺を助けろ!」


 はぁ、最期までコイツは自分の立場を理解出来ない愚か者だったか。 

 今さら聞くつもりも無いけど、親父が盗賊に加担して領民の僅かばかりの蓄えを奪ったり、女子供を拐って人身売買をしていた事をコイツはどう思っているんだろ?

 長男でありながら母親の身分の関係で嫡男にはなれなかった兄貴のアルフレッドはその事実を知るや、把握出来る限りの被害者に泣いて詫びていたな。娼館に売られた女性も可能な限り保護していた。

 でもコイツにはそんな事は出来る訳がないな。そう思うと自然とコイツへの視線は冷たくなり、助ける気は微塵も無い事を俺自身に確認する。


「おい、お前ら! お前らが出会えたのは、我が伯爵家がお前らを雇ってやったお陰だろうが! 乳繰り合う前に少しは恩を返せ!」


 俺では埒があかないと諦めたのか、命乞いする相手をラーイとシルヴァに変更したが品位は更に無くなっている。

 2人はある程度の余裕が有るのか、ラーイが何かを考えている様だ。


「そう言われて見れば確かに、シルヴァと出会えたのは伯爵軍に加わったからだな」


「ちょっとラーイ、何を言っているのよ。あんなバカ息子の言う事に耳を傾ける事なんて無いじゃない!」


 ちょっと思い直し始めたラーイをシルヴァが嗜める。

 コイツら、こうやって何だかんだシルヴァが手綱を取って暮して行くんだろうな。


「でもなシルヴァ、お前と結婚する前にこういう事は全部済ましておきたいんだよ」


「言いたい事は判るわ。でもねラーイ、氷を使う私には炎の使い手の強さが分かるのよ。あのサラマンダーはただ大きいだけじゃなくて、ヤバい感じがするの。何かまだ能力(ちから)を隠しているみたいで」


 不安に押し潰されたのか、シルヴァが泣きそうな声でラーイにすがるが、ちょっと待て!

 気になるから整理してみよう!


 ラーイがサラマンダーとの勝負に前向きになってきた。

 だがシルヴァは心配している。

 と言うのも、サラマンダーの強さはヤバいらしい。

 そして、この戦いが終わったら2人は結婚する。


 フラグ立った!


「待てラーイ! サラマンダーと戦う事は許さん!」


 この期に及んでフラグ立てるとか、勘弁してくれよ!

 しんみりするのは好きじゃないんだ。


「いや大将、すまねぇがそれは聞けねぇ。この戦いが終わったら俺の強さを発揮する場が無くなる。俺には他に生活の手段が無いんだよ、大将! だから手柄を今のうちに立てねぇとシルヴァとの将来の生活に影響するんだ」


 ラーイお前、単なる脳筋だと思っていたのに、そこまで考えていたのか!


「紅炎のラーイ、参る!」


 行くなよ!

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