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盗賊の 頭はやはり クズだった

「ここか?」

「は、はい」

 数珠繋ぎにされている盗賊は怯えて声を震わせている。

「副村長、顔見知りでしょうから、お願いします」

「ワシか?」

「ええ、相手の出方を見たいので、副村長お願いします」

 まず、この副村長による交渉が適切に行われていたのかを知りたい。

「分かった」

「では、行きますか」

「あんたも行くのか?」

「勿論です!村包みで盗賊行為をしている村の村長ですよ!副村長を1人でなんて行かせません!」

 尤もらしく言ってみたが、要は副村長が相手とズブズブの仲になってなかったかの確認だ。


「リックとカールはコイツらを見ていてくれ!」

「了解しました」

「喜んで!旦那!」


「村長、話が有って来たんだが」

 副村長は慣れた調子で村長宅に入った。するとそこには、昼間から女を2人を侍らかせて酒を呷る、如何にも悪党!と言った感じの男。年齢は俺よりも上に見える。40代後半か?


「何だあんたか。今更だな。それとも逃げて来たか?」

「今日は交渉に来たわけじゃないんだ」

「なっハハハ!」

 このヒキガエルを擬人化した様な奴は突然、高笑いした。

「交渉も何も、ソマキは今頃は阿鼻叫喚の地獄絵図だろう!」

「そこまでして徴兵を免れたいか?」

 俺は何か言いたげな副村長を制して言い放つ。

「何だお前?」

「村の新しい助役だ」

「まぁいい。今日の俺は機嫌が良いから教えてやる。徴兵は村の連中を賊にする為のお題目だ」

「お題目?」

「ああ、見ろよ、この女を!」

 村長は傍らの女を1人、抱き寄せると乱暴に胸を揉みだす。

「金と女だ!」


 分かり易い欲望だ。人間として怒りが湧いてくる。

「その為に盗賊行為を?」

「ああ、そうだ。手っ取り早くて良いぞ!」

「男は殺し、女は犯し、子供は攫って人買いに売るか!」

「誤解が有る様だが、殺すのは歯向かった奴だけだ。全部殺したら次に奪う作物を作る奴がいなくなるからな。女だって選り好みしている。見境が無い訳じゃねえ!」

「勝手な事を」

「それにガキも人買いに売るだけじゃねえぞ!例えばコイツ!」

「きゃっ!」

 村長は更に力任せに胸を揉む。いや、揉むと言うよりも握っている。

「旦那様、お許しを」

 娘の声は消えそうな位に弱々しい。

「いいだろう。2人とも、全部脱げ!」

「でも旦那様、お客様が」

「構わん!口答えは許さん!」

「申し訳ありません、旦那様」

 2人揃って村長に頭を下げると、それが合図で競争でもするかの様に服を脱ぎ始めた。

 程なく、一糸纏わぬ2人の女が恥じらいながらも、その身を晒した。


「どうだ!イイ身体だろ!コイツらは攫って来た女のガキを俺がここまで育ててやった」

「育てた?」

「男のガキはすぐに売るが、女は12歳まで育てる。見込みありそうなのはこうして俺の傍に置いてやるが、それ以外は売る」

「それで残ったのが、その2人?」

「他にも居るが、今日はコイツらの気分だ。それに、売った女のガキも、どうせ行き着く先は売女だ。だからな、俺が男ってもんを教えてから売っている」

「まさか、12歳の少女に?」

「当たり前だろ!みんな泣いて感謝するぜ」

 人間のクズ!胸クソ悪いとは、こういう事なんだろう。


「そう言えば、ソマキの女村長と娘だが、連れて来る様に言ってある。もうすぐ母娘揃って楽しませてもらうからな!」

 そう言うと村長は品の無い高笑いをした。

 ある意味、俺も同類か?嫌だな。


「喋り過ぎたか。ソマキに行った連中が帰って来る迄の暇潰しだったからな!」

「何?」

「8年前にソマキから代表が話し合いに来てな、今の村長はそいつの妹で、娘はそいつの娘なんだろ?」

 ソフィの父で、ステラのお兄さんの事か?


「「平和的に解決させる為に、夫人同伴で話し合おう」なんて言ったらバカ正直に連れて来てな」

 間違いない。ソフィのご両親の事だ。

「あと、魔法を使う奴がいた」

 ステラの4人目の婚約者だ。

「全部、ここで俺が殺った!」


 コイツがソフィのご両親の仇!


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