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敵さんに お悩み相談 されました

 今回の対戦相手、氷雪の妖女シルヴァの外見で白くない所が無い。

 髪は絹糸(シルク)の様に白く、肌も透き通る様に白い。瞳もカラーコンタクトを入れているのかと思うくらいだ。

 纏っている服だって一部分はホワイトグレーだが他は全てが白い。

 

「そんなに見つめられると照れるねぇ。アンタ私に見惚れたのかい?」


「そうだな。と言いたい所だが申し訳無い。俺の趣味じゃない。悪いがここで1人寂しく身を焦がしてもらう!」


 俺の好きな系統とは違うんだよね。

 このシルヴァはそれなりにキレイ系ではあるが、女子プロレスの悪役(ヒール)っぽいし。

 動物に例えるならば、シャム猫とかハスキー犬みたいな感じ。



「勿体ないと言うよりも馬鹿な奴だね、こんないい女を!やれる物ならやってみな!」


 シルヴァは言い終わる前に再び氷を放ってきた!

 その氷は細かい氷は集まって何かの形をを成した。あれはドラゴン!


「氷のドラゴン!」


「気に入ったかい?コイツに飲み込まれて、後悔しながら凍っちゃいな!」


 細かい氷の集まりが鱗の様に見えて、意外と芸が細かい。

 なんて関心していないで炎で反撃だ!


「これならどうだ!」


 お返しとばかりにこっちは炎を鳥の形にして放つ。つまり、不死鳥(フェニックス)のイメージだ!

 最初はこっちも炎をドラゴンの形にしようと思ったけど、真似するだけでは芸が無い。となると、炎と言えばやっぱり不死鳥だよな!


 

「流石にやるわね!」


 シルヴァのドラゴンと俺の不死鳥の真っ向勝負が繰り広げられる。

 だが、冷静に見れば分が悪い事は否めない。コイツの氷は中々溶けない!


「リック、魔法でできた氷と、普通の氷で溶け方に違いは有るのか?」


「と仰りますと?」


「あの氷はやけに溶かし難い。何か理由が有るのかと」


「先ず考えられるのは、魔力の強さでしょうか。今までの敵とは魔力が段違いです!」


 なるほど。強力な魔力で凍らせているからなのか。


「次に考えられるのは、彼女は氷の魔法に特化しています。恐らくですけど水属性でも氷の魔法しか使えない可能性が高いと思います」


「つまりは氷に極振りしていると?」


「ええ。これだけの魔力を脇目も振らずに氷魔法に費やしたのですから、彼女は氷魔法のエキスパートと言えます。これならエイジでも簡単な相手とはならない可能性が有ります」


「でも属性は水であって氷ではないんだよな?」


「はい。水属性です」


 氷は氷属性って独立させればいいのに。紛らわしい。

 まさか水属性魔術師協会とか有って、既得権益が有るとかでは無いよな?

 まぁそれは置いといて、あのシルヴァが本当に氷は使えても水を使えないのならそれで攻めてみるか!


「エイジ、本意ではないでしょうがアレを使ってみては如何でしょうか?」


 さぁ行こうと思った所で出鼻を挫くリックの提案。アレって何だ?


「魔力を無効化する剣です!」


「あーっ、アレか!」


 伯爵軍随一の剣士が使っていたアレな!

 確かに魔法が通じなくて苦労させられたな!


「無論、エイジが負けるとは思っていません。しかし彼女の氷は強力です。時間も有りませんし」


「リック、言いたい事は理解出来るがそれはダメだろう!」


 珍しくリック相手に声を荒らげた。初めてかも知れない。


「リックが俺を当代一の魔道士なんて言ってくれるし俺もその気になっていたけど、それは勝負を魔法で勝ってきたからだろ。ここでそんな物を使ったら俺は卑怯者でしかない!」


 偉大なる伝説の大魔道士シーナこと椎名さんの再来とか言われている以上は、相手の実力を出させた上で勝つ。横綱相撲で勝たなければ!

 

「そうですか。すみませんでした」


「いや、こっちこそ。でもリック、そこは拘りたいんだ」


 名声を高める為にもフェアプレーは大事だ。相手が女性なら尚更!

 とは言えもちろん結果も大事に決まっている。だからこそ勝つ事は大前提なのだが、勝ち方には拘りたい。

 そんな中、気が付けばさっきの氷のドラゴンと不死鳥の対決は相打ちとなっていた。


「やるわね。次はもっと強い魔法を見せておくれよ」


「いいだろう。だがもう少し楽しみたかったが、実力を見せつけて勝たないといけなくなった。お前だってこれだけの氷を出したんだ、流石に疲れただろう。次で終わりだ!」


「つれないわね。言っておくけど、私の魔力は無尽蔵。私の魔力切れを待っても無駄よ!」


 何だかシルヴァの奴、やけに強気だ。


「変だと思わない?アンタもだけど、私もずっと無詠唱よ」


 そういやそうだ!

 シルヴァはさっきから無詠唱で強力な氷の魔法を使い続けている!


「私には氷の精霊の加護が有るの。だから氷に関しては誰にも負けない!」


「氷の精霊の加護?」


 なんじゃそりゃ!


「小さい頃、神官に聞いた事が有るの。母親が私を宿している時に何らかの理由で氷の精霊が母親に憑依したらしいの」


「なんだと!」


「だから私はいうなれば精霊の影響を大いに受けた子。言わば私自身が人間と精霊の融合体となったらしいわ」


「それで氷の魔法だけ使えて、それが強力なのか?」


「そうよ。だからアンタとの対戦を楽しみにして来たの。シーナの再来の魔道士さん!」


 シルヴァは戦いの最中だと言うのに茶目っ気を出してそんな事を言った。

 その後、1つ深呼吸をすると表情を一変させ、悲しげな表情を見せる。


「アンタが本当にシーナの再来なら、この私の呪われた体質をどうにかしてよ!」


「呪われた体質だと?」


「愛する人を抱き締めるだけで凍らせてしまう、この呪われた私をどうにかしてよ!」


 悲痛な叫びを上げられても、こっちはそう言う悩み相談は承っていないのだが。

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