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名乗ったら リックの名前が 長過ぎる

 美少女姉妹宅からリックの元へと急いだ結果、数分で到着した。


「エイジ、市中はもう大丈夫でしょう。この後は王宮で魔道士としての本領発揮をしてもらいますよ!」

 

 リックの周囲には横たわっている兵士が多数居る。リックは王都の治安を預かる彼等の治癒を施していたのだろう。その血の跡から瀕死状態であった事が容易に推測出来るが、今は生命の心配は無さそうだ。

 そして話せる様になった彼等から情報を得て、「王宮へ行きましょう」なんて言い出したんだろうな。


「リック、伯爵軍が王宮に居るとはどんな了見だ?時系列で話してくれ」


 説明は順を追っての方が分かり易い。歩きながら聞く事にしよう。


「僕が得た情報によりますと、伯爵軍は本日の昼過ぎに堂々と全軍で現れたそうです。何でも、「トルーマン公爵が謀反を企てているので国王陛下をお守りに馳せ参じた」との事で門番に通過を要求しました」


「王国の正規軍がランバート王国の対応に出て王都を留守にした所を狙った訳だな」


「トルーマン公爵はランバート王国軍の振りをしてレイス子爵領を襲いましたが、バレバレでした。しかしこれが却って悪かった。レイス子爵領からはトルーマン公爵がランバート王国と手を組んだと王宮に報告したそうです」


「それでトルーマン公爵の謀反に信憑性が出た訳か」


「それは偶然に過ぎません。レイス子爵、まったく踊らされて情け無い!」


 リックは苦虫を噛み潰した様な表情をしているけども、実家だろうが!


「それだけでは有りません。北のスティード王国も進攻を開始したとの情報も来ていますので、門番は王都の守りを固める為の戦力だと思ってしまった様です」


「素通りか?」


「門番だけではありません。公爵一派の企てを知っている者は国王陛下と王宮魔術師団を除けば殆ど居ません。役人達も、忠義者として王宮内の駐屯所に案内したそうです」


 その話が本当ならば、そのままギリギリまで忠義者で通した方がスンナリと事が進みそうだけど。

 何故に乱取り、つまり略奪や暴行を行った?


「夜になり兵士達の制御が出来なくなった様です。大多数は王宮内に留まっているのですが、卑しい者は王都の色々な物に目が眩んだのでしょう」


 リックはあの樹氷になった兵士達の話になった途端に怪訝な表情を浮かべる。ちょうどその時、王宮の門に差し掛かる。


「止まれ!」


「王宮魔術師のリック・レイスだ!」


「失礼致しました」


 王宮の門番に止められるが、市中があの状況なので門番も緊張している様だ。しかし名乗っただけで通してもらえる。流石は王宮魔術師。

 


「判る限りの状況を教えてくれ!」


「数時間前から宰相閣下、その他にも各方面の方々がエリクソン伯爵への抗議にお出でです。関係者以外は通すなと言われていますが王宮魔術師様でしたら」


「そうか」


 リックはそれだけ言うと沈痛な面持ちだ。


「拙いな。国家転覆(クーデター)の時に国の要人がわざわざ集まるなんて愚の骨頂だ!」


 証拠集めに慎重になって秘密にし過ぎたか!


「国を動かす人間が王宮に揃っています。これでは敵の思う壺です。急ぎましょう!」


「それにアルフレッドが言っていたが、伯爵軍にはそれなりの魔術師やテイマーが居るそうだ」


 クラーケンを倒した俺にアルフレッドがわざわざ忠告するのだから、無視出来る実力ではなさそうだ。

 確かそれに加えて普通の兵力で1万人位が居るんだよな?

 そしてこっちの戦力は事実上、俺だけだよな?

 仮にリックがさっき治癒した治安部隊が駆け付けたとしても焼け石に水の戦力差だ。


「王宮魔術師様、関係者以外は通すなとの命令ですがそちらの方は?」


「彼も関係者だ。このリック・レイス」


 リックはここで一つ息を飲んだ。


「このリチャード・マークス・フォン・ディラークの、切り札だ!」


 切り札か、悪い気はしないけどもリック、ディラークって国の名前だよな?

 名前も矢鱈と長いしまるで王族みたいだけど、リックはレイス子爵家の3男の筈だ。

 まあ昔の日本でも主君の姓を家臣に与える事も有ったしな。

 レイス子爵家は新王派だからか。

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