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義姉被る 美少女姉妹は 助けよう

「王都市民の皆さん、俺は依頼されて駆け付けた魔道士だ!」


 王都中に聞こえる様に魔法で声を飛ばす。大多数の市民には届いてきいると思う。


「狼藉者は一応始末はしたが、まだ家の中に残っては居ないだろうか?」


 この樹氷になっている連中で全員だと思いたいが、強姦行為の最中で出るに出られなかった奴も居るかも知れない。

 数人を捕り逃しても大した事はないかも知れないが、やるからにはキッパリとやり遂げたい。


「囁く様な声でも何でもいい、何か合図をくれ!」


 これだけ言って身体強化魔法で特に聴覚能力を高める。

 屋内の囁き声まで聞こえる位に。


「魔道士だって」

「何だか怪しいわね」

「家と中の囁き声なんて聞こえる訳がないじゃないか」

「気味が悪いわ」


 結構な言われようだが少なくとも彼等は何の被害も被っていない事が判った。

 助けを求める声なんて上がらないに越したことはない。

 集中力を高めて嫌でも聞こえてくる様々な声や音。雑音を排除しつつ、必要な声や音を捜す。


「あっあぁ」

「ハァハァ」


 その時、間違いなく行為中の声を耳が捕らえた!

 それと同時に足から超高圧のエアを出して身体を浮かせて、スケートで滑る様にして声の方へ急行する。

 本当はアニメみたいに魔力で浮いたり飛んだりしたかったが、そのイメージが今イチ湧かないから仕方ない。

 もっと頭を柔らかくして、また時間が有る時にでも練習してみよう!



「そこまでだ!」


 瞬間的に上昇して2階の窓を勢いに任せに蹴破って家に入ると、ベッドの上から裸の男女が唖然とした表情で俺を見ている。


「今すぐに離れろ!さもなければそのままの格好で殺す!」


「待って、主人に雇われた人でしょ? お金は主人の倍払うから見逃して!」


 シーツで隠す所だけは隠して涙目になって訴えて来たのは女性の方だった。


 何か変だ。話を聞いてみるとどうも、旦那が商売で王都を空けている間に男を連れ込んで不倫しているそうな。

 この非常時にやるなよ!



「た、助けて…助けて下さい」


 不倫カップルに呆れていると今度は消えそうなか細い声が聞こえた。

 声からしてまだまだ少女か?

 蹴破った窓から飛び出して声の主の元へと急ぐ。



「おっ、上玉みっけ!」


「きゃっ!ゆ、許して下さい」


 会話は聞こえてくる。どうやら隠れていたが見付かってしまった様だ。


「おい、さっき年増を輪姦(まわ)した時もお前が先だったろ!」

「今度は俺が先だ!」

「いや俺だ!」


 どうやら4人で押し入っている様だ。会話の内容を察するに多分、さっきの年増って言うくらいだから何人も見境無く輪姦している様だ。

 生かしておく価値は無いな。


「いやー!あなた達の相手は私が幾らでもするから妹に手は出さないで!」

「お姉ちゃん!」


 姉が何とか自分を盾にして妹を守ろうとしているのか!

 姉妹か。俺の義理の姉も同じ様な事をしている。これは助けてやらないとな。

 気合いを入れれば自然とスピードも上がる!するとすぐに声のした家が見えた!

 迷う事無く再び窓を蹴破って屋内に入ると正に、2人とも10代後半と思われる姉妹が兵士達によって部屋の隅に追い詰められていた。


「もう大丈夫だ!」


「てめぇが魔道士?」


 これは間違いないよな?

 そう判断した俺はまず、少女に最も迫っていた1人目に今さっき考えた魔法を使う事にした。


「ウォータースネーク!」


 敵を絞め殺す大蛇、アナコンダ。ウォーターボールと同じ状態の水製のアナコンダで絞め殺す魔法だ。

 ポイントは相手を絞め上げる事は出来るのに、相手は掴む事も出来ない事だ。いくら掴んでも水を掴む事が出来ないからな。

 


「ォアォ…」


 うん、苦しんでる。成功だ!

 この調子で残りにもこのウォータースネークを使って絞め殺す事にしよう。

 コブラツイストでも試してみよう!

 そして実行して姉妹の保護に成功した。


「助かりました」

「ありがとうございました」


 うん、美少女姉妹だ。助けられてよかった!



「エイジ、聞こえますか?」


「リックか。どうかしたのか?」


 プチゴーレムを通じてリックが呼び掛けてきた。

 出来ればこの美少女姉妹にもう少し感謝されてからにしたかったんだけど、何時になく緊張感の有るリックの声がそれを許してはくれない。


「エイジ、瀕死状態だった治安部隊の治癒が終わりました。後は彼等に任せて僕と王宮へ向かって下さい」


「王宮?」


「はい。王宮が既に伯爵軍に征圧されている様です」


 王都でこんな乱取りが横行しているのだから、さもありなんだな。

 逆に今まで王宮の事は気にならなかったのか?


 いや、それは無いだろう。伯爵軍だって王宮には下手な事はせずにそれなりの態度で臨むだろうから、市民の安全を優先したんだろう。リックは。

 

「了解した。今どこに居る?」


「光を出しました!」


 少し遠くの王都の中心部から夜空に向かって一筋の光が放たれている。リックだ、!


「すぐに行く。案内してくれ!」


 さて、また窓から出るか。

 

「魔道士様、ありがとうございました」

「他の皆さんも助けてあげて下さい」


「任せてくれ。国ごと助けるよ!」

 

 窓を飛び出した俺は光の元へと急いだ。

 美少女姉妹の名前すら聞けなかった事が心残りではあるが。

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