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ようやくか 王都へ向けて 出発だ

 エリスとローラを連れて代官所に到着すると、リックは既に準備万端だった。


「おはようございます。早速ですが我が屋敷に向かいましょう。ミラとディックももう到着している事でしょう」


 ランバート王国軍の仕業に見せ掛けてトルーマン公爵軍に焼き払われた国境近くの村を癒やす為に残ったミラとディックだが、もう到着しておいてもらわないと困る。

 公爵軍が入り込んだ王都では怪我をした人達も多いだろう。ミラの治癒能力は絶対に必要だ。

 ディックも、まぁ何かの役に立つだろう。


「リック、レイス子爵領から王都へはどの位?」


「そうですね。ワイバーンで飛んだ事は有りませが、恐らくは半日は掛かると思います。朝から晩まで掛かると思った方が良いかも知れません」


 今からレイス子爵領まで飛んだら昼だな。そこから

そんなに飛ぶ事はハードスケジュールもいいところだろう。


「なぁリック、それなら俺とリックは1匹のワイバーンで先に王都へ向かって、もう1匹はミラの所に向かわせた方が良くないか?」


 ここから直線的に王都へ向かう方が、わざわざそんな三角形に飛ぶよりも距離が短い事は数学的にも証明されている。

 って、誰でも判る!


「そうですね。僕らだけでも、一刻も早く王都へ着いた方が良いでしょう」


「流石です、旦那様!」


「エイジ様、素晴らしい発想です!」


 リックが俺の提案を受け入れたのを見たローラとエリスは競う様に短めに俺を褒め称える。

 それだけならまだしも、それぞれ俺の左右の腕に抱き付き、胸の柔らかみを押し付けて共に上目遣いで俺を見つめる。

 2人同時にされると対応に困る!

 エリスとローラ、それぞれをギュッと抱き締める事が精一杯の対応だった。



「おぉ、間に合ったかの!」


 出発準備を整えているとトニーが現れた。昨夜のクラーケンの魔石を魔法剣に付け加えてくれている筈。


「出来上がったぞい」


「おお、これか!」


 出来上がった魔法剣は柄が少し大きくなった。これは中にクラーケンの魔石を組み込んだからに他ないだろう。


「今までとはパワーが違うから取り扱い注意だぞい」


「判った。ありがとう!」


 俺は魔法剣を持つと試しに1発、打ってみようかと思った。クラーケンだからやっぱり水魔法かな?


「ウォーターボール!」


 水の球を彼方の空に向かって放つ事にした!

 イメージしただけで途轍もない大きさの水の球、いや球なのかどうなのか判らなくなる程の巨大な水の塊が出来上がった!

 更に言えば、その水の塊はまだ大きくなっている!


「エイジ、流石に危険です!」


 うん、俺もそう思う!

 この水をぶつけられる所は海しか無い!

 俺は海の上空向かってぶっ放す。離れて初めて全貌が判ったが、予想以上の大きさ!

 見た目の感覚だけど、直径で30メートルはあると思う!

 そして思った。陸の近くでは必ず影響が出る!

 あれがどの船にも迷惑にならない海の彼方で、平和的に着水しますように!


「エイジ、まだ試したいでしょうけど先を急がなければなりません」


「判っているさ。行こう!」


 レイス子爵領の領都クーベルまで飛ぶワイバーンはもう飛び立った。

 俺達は馬車だと関所やカーブやアップダウンで半月掛かる王都までを1日で飛ぶ予定だ。空にアップダウンは無いからな。


「よろしく頼むぞ!」


 励ましの声を掛けてワイバーンにそっと触れ、身体強化の魔法を使う。

 これでこのワイバーンはいつも以上に速く飛べる筈だ。


「エイジ様、ご武運を」


「旦那様、ご無事のお戻りをお待ち申し上げます」


「エイッさん、全て片付いたら1杯やろう! そしてエリクソン家の長男として言わせてくれ!」


 アルフレッドの表情が引き締まった。


「弟の悪事を止めてくれ!」


「アルさん」


「特殊な兄弟だが弟は弟だ。弟を止めてくれ!」


「判った。弟の根性を叩き直したら1杯やろう!」


「頼む。弟の周りには手練れの剣士や魔術師が揃っている、気を付けてくれ。特に魔物使い(テイマー)が何人か居てそれなりに強い魔物を使うらしい」


 なるほど、テイマーね。予備知識を得た俺達は颯爽とワイバーンに乗り込む。

 まぁ、誰が相手でも倒すのみだが。

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