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クラーケン イカ焼き焼きイカ イカソーメン

 抗う術も無く夜の海に行く羽目になった。

 うん、任された仕事が出来なくて拒否出来ないってツラいなぁ!

 大体、夜の海なんて危険で仕方ないのに!


「海軍を今夜中に出航させなければなりません!」


 まぁリックの言う事はもっともだけど、海の魔物なんて相手にした事が無い。

 矢鱈と期待されているからそんな事は今さら言えないし。退路を断たれた感じだ。


「代官、この辺りは何が出る?」


「そうですね。今の時期だとシーサーペントはもっと沖にしか出ないですね。クラーケンでしょうか」


 釣りみたいなノリで会話するな!

 待てよ、クラーケンって巨大イカの魔物だよな?

 確かにイカ漁は夏の風物詩だな。

 ん?イカ漁か!


 戦い方を考えていると海までの時間が短い。

 巨大イカではなくて、巨大タコだったらどうしようとか考えている内に着いてしまった。


「それで状況は?」


「港を出ようとした船が2隻、沈められました!」


 港の職員が興奮した口調で報告する。

 話から、それなりの大きさの船が沈められたのは間違いない。死者行方不明者の数は判っていない。

 トビウオが飛び込んで来て、誰かが怪我をしたくらいなら良かったのに。


「海上には船を出させないでくれ」


「しかしエイッさん、我が海上防衛隊だって援護くらいは」


「援護は邪魔だ!」


 俺がまだ戦い方を決めていない。戦い方次第では下手したら海上防衛隊がとばっちりを喰らい兼ねない。

 妙な責任は負いたくないんだよ。


「エイジ、どう戦いますか?」


「光魔法で海を照らす。それしか無い!」


 そう、漁り火で海を照らす漁法しか思い付かない。

 漁師さんがやっているアレだ。


 タコだと蛸壺になるからイカである事に期待するしかないな。

 真面に戦えば海の魔物相手に海、それも夜の海で勝つ事は難しいと思う。

 土や火の属性魔法は論外だろうし、風もダメだろう。竜巻を使ったとしても、クラーケンを吸い上げる前に、異変を察知して逃げられる可能性が高い。まさか海の水を全て吸い上げる訳にもいかないし。


 凍らせようかとも考えた。足とか本体を不用意に出してくれるなら使えるが、こっちの都合では動いてくれないだろうな。

 レーザー光線だって水中だと光が水で届かなくてダメだろうな。


「なあリック、過去にクラーケンを他に誰か退治したのか?」


「記録では確か、海軍の艦隊がクラーケン1体と交戦したと有りました。1隻沈められましたが撃退したとあります。ただ死者行方不明者が多数、それにクラーケンの死亡は確認出来ていません」


「事実上、無いって事か」


「そうなります」


「それじゃリック、歴史の生き証人になってくれ!」


 段々とその気になってきた!

 これまでだって何とかなった。今度も何とかなるに違い無い!

 そう言えばこの世界に来て以来イカを食べて無いからな!

 俺は靴を脱いで裸足になった。


「エイジ、何を?」


 魔法って手から出るのに足からは出せないのか考えた事が有った。そこで足の裏から水を噴出させて海上を移動するイメージを思い描く。

 高圧の水を手から出した事は有ったが、それの足バージョンだ。

 海上を滑る様に移動する。フィギュアスケート選手がリンクを滑る様に。


「ヨシ!」


 両足の裏から高圧の水が噴出されて俺の身体は宙に浮いた!

 うん、前後左右自在に動ける! 

 フィギュアスケートの様な優雅さは無いが成功だ!

 どちらかと言えばアイスホッケーの様な荒々しさかな。ちなみに、俺はスケートは滑れない。

 それは置いといて、これで準備は万全だ!

 

「エイジ、油断なさらぬ様に」


「任せてくれ、今度はしくじらない!」


 ゲイリーの件ではしくじったからな。これで名誉挽回だ!


「アルさん、今夜はイカソーメンだ!」


「イカソーメン?」


 あっ、そうか。その文化が無いんだな。

 って言うか醤油が無い!

 そうなるとイカソーメンもだが、焼きイカも無理なのか?

 イカ焼きはいけるかな?


 焼きイカとイカ焼き、名前は似ているけど違う物で、イカ焼きだって立派な大阪名物で美味いと思う。


 何でも良い! クラーケン、絶対に食ってやる!

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