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飛ぶ前に 今後の計画 打ち合わせ

 以前行われたアベニールへの空爆に使われたワイバーンは俺に捕まり、2匹がアベニールにいる。この2匹は既に闇魔法を使って手懐けてある。

 俺とリックはそれぞれ別のワイバーンの背中に乗って飛ぶ事にした。その方がスピードが出ると判断したからだ。


「なぁリック、王都に行く前にアルフレッドの所に行けないかな?」


「王都とは反対方向ですけれど」


 実際に飛び立つ前の飛行計画(フライトプラン)の打ち合わせで提案してみる。

 わざわざ領都のアルフレッドに会いに行く理由は2つある。

 1つは彼の父親であるエリクソン伯爵を記録上は俺が殺した事の報告。だが謝罪をするつもりは毛頭無い。

 もう1つは伯爵領近海で行われる王国海軍と伯爵軍の合同演習についてだ。

 これは公爵一派の国家転覆計画の一端だ。

 既に南側のランバート王国に公爵軍が侵攻した事で予め緊張感を高めてある。

 これを受けて王国陸軍は既に王都を立って南側の国境に向かっているが、そうとは知らない王国海軍は国境付近の海域で伯爵軍との合同演習を行う予定だ。

 しかしこの状況下ではランバート王国への挑発としか受け取られない行為。

 そこで対応に出たランバート海軍と王国海軍とで開戦となったら王国海軍はこの海域から動けなくなり、公爵一派よる王都の完全制圧が容易くなる。


「演習を持ち掛けたのはエリクソン伯爵だが彼はもう死んだ。となると、止められる人間は伯爵の長男であり代官のアルフレッドしか居ない」


 合同演習にランバート側が接近でもして伯爵軍が1発ぶち込めば宣戦布告と受け取られる。だからアルフレッドに伯爵軍を止めてもらって演習を中止にはさせるしか無い!


 アルフレッドはやってくれる筈だ。先日、俺に見せた彼の懺悔の涙がそう確信させる。


「分かりました。時間は足りませんがそれでも行く価値は有りそうですね。そこで公爵一派の御輿であるゲイリーを捕らえられれば彼等の計画に狂いが生じる筈です」


「そうだな。ゲイリーを捕らえれば公爵の目論見が崩れる!」


 この国家転覆(クーデター)の後にお飾りの王となる一応王族のゲイリーを拘束すれば、公爵一派は大義名分を失う可能性もある。


「それに王都の守りは堅固です。王都防衛隊に期待しましょう」


 王都防衛隊なんて居たんだ!

 初めて聞いたが普通に考えれば国王を守る近衛兵とか居るだろうから、王都は全くの無防備では無いって事か。

 

「リック、改めて確認する」


 俺はここでリックの実家から貰って来た地図とチェスの駒を取り出すと、然るべき所に駒を配置する。


「今、俺達はここアベニールも居る」


 俺達は騎士(ナイト)の駒だ。


「ここからエリクソン伯爵領の領都に向かい、ゲイリーを拘束する!」


 ゲイリーはそれが切っ掛けで王位継承権を失う程の色情魔!

 恐らくは船から降りて高級娼舘とかで過ごしていると見た。そこで確保だ。

 船の上での捕り物になったら、下手すると船を沈め兼ねない!


「こうだ!」


 領都の所にに置いた神官(ビショップ)の駒を勢い良く弾いた。


「次にレイス子爵領からミラとディックを引き上げさせないとな」


 ランバート王国軍を装った、公爵軍に襲われたレイス子爵領の村を癒す目的で留まったあの2人だが、迎えに行くべきワイバーンは死んでしまったからな。

 何処に行くにも交通手段が無い!


 今度は地図のレイス子爵領の所に女王(クイーン)兵士(ポーン)の駒を置く。これはミラとディックを意味するが、ディックが兵士と言う事に特段の意味は無い。


「ミラ達を迎えに行く事は回り道ですが、王都での戦いを見越してですね」


「奴等のやり方次第では王都でえげつない死傷者が出てもおかしく無いからな」


「そして、後は王都を目指す。そして戦う!」


 以前から格好付けて言いたかった言葉をようやく言える瞬間が来た!


「チェックメイトだ!」


 言いたかった台詞を言えた俺は、王都も置いた細かいを、気持ち良くボコンと倒す!

 が、あれ?

 リックが何か言いたげだ。


「エイジ、その倒した駒は(キング)ではなく城兵(ルーク)です!」


 慣れない事はするもんじゃない。

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