表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

193/302

義理の姉 話がイマイチ 噛み合わず

 伯爵本人も筆頭剣士も捕らえた。後に残るは烏合の衆か。

 司令官代理のガストンまだ真面な奴だから救いは有る。彼まで無能なら最悪、この烏合の衆を全滅させなければならなかったな。


「エイジ、伯爵本人の取り調べは明日にして今日はもう休みましょう」


「そうだなリック、お言葉に甘えさせてもらうよ」


 ハッキリ言うと今日はもう疲れたし腹も減った。

 さっさと帰って何か適当にクロエに作ってもらって腹に入れたい。ここで腹に入れたい物が(クレア)の手料理でない事が少し悲しいが。

 

 でもその前に伯爵本人と筆頭剣士ロバートの様子を見てみる。この2人に死なれては困る。

 伯爵は高さ5メートルの高さからゴーレムを形成していた土と一緒に崩れ落ちた。

 生き埋めとなっていたが命に別状は無い様だ。汚れでも害虫でも悪いのに限ってしぶとい!

 筆頭剣士のロバートは背中を槍でブスリとプチゴーレムに刺された。こちらは治療してやらないとヤバいかも知れない。刺すって傷が深いから。

 何となくだが、この男は殺すには惜しく感じた。こうも見事に伯爵に騙された脳筋が使えるのか甚だ疑問ではあるけど。


「この男の治療は僕がしておきます。エイジは早くご帰宅下さい」


 嬉しい事を言ってくれる!


「伯爵は市庁舎の前にゴーレムで磔にしておく。このロバートも適当に拘束しておいてくれ! それじゃあ、明日の朝に市庁舎で会おう!」


 そう言い残して俺はクロエと町に帰る。

 途中では陣頭指揮を執っていた副市長のベンとも会ったが、要点だけ話して諸々は明朝にしてもらった。

 

 早く帰りたかったが、街の雰囲気に戸惑う。

 空けていたのは数日間なのに、久し振りに帰った様な気にさせるのはこの物々しい雰囲気のせいに違いない。

 一連の事が収まらない限りは警戒は解けないかも知れないが、それもあと数日の話だ。


「ねぇエイジさん」


「ん? あっ、そうだクロエ、何か作ってくれないか?」


 クロエを店まで送り届けると何か言いたげだったが、こっちも急を要する!


「お腹空いたの?」


「頼む。疲れたし腹減った。贅沢は言わない。有り合わせの物でいい。酒とサラダとチーズの盛り合わせで構わない!」


「はいはい、作ってあげるから、食べたらクレアに会ってあげて」


 クレアは俺が数日居なくて寂しかったのか?

 さすがは姉だな。妹を気遣って。


「クレアは寝込んでいるから、気を遣ってあげてね」


 えっ?


「寝込んでいるって病気か?」


 つい声が大きくなりクロエを問い詰める。

 俺が居ない時にクレアが病気で寝込んでいる?


「予想通りのリアクションね。病気じゃないわよ!」


 クロエの奴、妹が寝込んでいるって言うのに茶目っ気出して、ウフフ何て軽く笑って調理を始める。

 こっちは気が気でないのに!

 ん?でも病気じゃない?


「まさか?」


「そのまさかよ!」


 思えば俺とクレアは出会って1カ月は仕事仲間だったがそこから事実上、交際ゼロ日で結婚した。

 だからか新婚生活での愛し合い方が激しかったのかも知れない!

 クレアは清楚でお淑やかかと思いきや、ガッツリ肉食系女子だったし!


「あっ、ごめんなさい。今のは聞かなかった事にして、クレアから直接聞いて」


「いや、クレアも言えないだろう。悪いのは俺なんだし」


「別に悪くはないでしょ。夫婦なんだから!」


 今はもう初秋だ。夏に結婚してからほぼ休み無く愛し合っていたからな。毎晩複数回!

 涼しくなって夏の疲れが出たんだろう。寝不足が続いてたし。


「いや、クレアを愛する余り無理をさせたのかも知れない。寝ているのなら、そっとしておこう」


「何か意外な答えね。明日こそクレアとちゃんと話してね」


「そんなに話し合う事なのか?」


「重要な事でしょ!」


「そうか。それにしても何か照れるな」


 夫婦の営みのやり過ぎが原因で妻がダウンしてるなんて!


「照れる気持ちは判るけど、これから責任重大よ!」


 クロエにこの小恥ずかしい気持ちが判るのか?


「責任か。確かにな」


 これからは少しセーブするか。


「エイジさんの治癒魔法は流石に使えないわよね」


「そうだな。自分でも少し調べてみたんだがベテランの神官レベルからすると俺の治癒魔法はクオリティは高い様だが、レパートリーが少ないらしい。そう言う意味では、坊主ならまだ見習いかもな」


「出来たわよ。はい、どうぞ。新米パパさん!」


 クロエが出してきた料理は見ただけで美味い事が判るリゾットの様な米料理だった。

 そうか、もう新米の季節か。

 って言うか、この世界にも米が有ったんだな。初めて知った。

 それでこのリゾットみたいな料理は、パパサンって言うのか!

 流石はクロエ、中々に美味い!


 疲れた身体に温かい食事とアルコールはよく効く!

 身体が鉛の様に重くなった俺はそのままクロエの店で寝かせてもらう事にした。

 一息つき安心した瞬間に意識が遠くなっていく。

 クロエのぼやきが聞こえた気がしたが、もう本日の活動は終了だ。

 まだ何か言っているみたいだ。何を言っているのだろう。


「本当に判っているの? 自分の妻が妊娠してツワリが酷いって!」


 もう何をわめいているのか知らないが、明日聞くから勘弁してくれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ