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負けたなら 敵の真ん中 フルボッコ

 あの剣は魔法由来の火の玉やゴーレムを切る事が可能で、防御に関しても間合いの中では魔法を無力化出来る。

 どうすれば勝てる?


 火も土も風も通用しなかった。

 ならば今度は水だな。あまり効果は期待出来ないけども。


「ウォーターボール!」


 ダメ元で何発も放ったウォーターボールはやはり通用せず、原型を留めない水にすらならずに消滅してしまったが何か違和感が。


「あれ?」


 1発だけ手元が狂い大きく的を外したのだが、その外した1発に注目したい。

 大きく山なりの軌道となったその1発のウォーターボールは奴の頭を越えて背後に落ちた。

 問題はその後で、ウォーターボールはそのままの体を成している。

 つまり奴のすぐ後ろに有るのに、魔法が無効化されていない!

 

 もしかしたら真っ正面からの魔法しか防げないのか?

 いや、真下から出る筈だった大地の牙は発動すらしなかった。

 うーん、詳しくは判らないが、奴の間合いの半径2メートル360度で自動で無効化される訳では無さそうだ。

 もしかしたら付け入る隙は有るのかも知れないと思うと少し安心する。

 まだ具体的な作戦は無いけど。


「我が軍に入ればこの剣を相手にする事も無い。お前程の魔道士を殺すには惜しい。どうだ、お前も閣下にお仕えしてみる気はないか?」


「生憎だが、腹黒い人間に使える気は無いな」


 ブラックな職場はもう、うんざり!


「そうか。少なくと俺は、剣を振るうだけの軽作業だぞ」


 軽作業が本当に軽い例は少ない!

 一例を挙げると、完成した電気製品の数を数えるだけの、どなたでも出来る軽作業です。

 実際には、冷蔵庫を人力のみでトラックに積み込む重労働!

 甘い言葉で誘うのはブラック企業の常套手段だ。


「それは結構。でも俺はやり甲斐の有る職場が良いかな」


「やり甲斐は有るぞ」


 出来ればもう少し話して考える時間を稼ぎたい。

 コイツ、意外と話し好きの様だし。


「ちなみに報酬は?」


「金の為に動きはしない。理想の国家を築く為だ!」


 それであの伯爵に与するって変だろう!


「お前の理想の国とはどんな国なんだ?」


「俺がガキの頃だ。村が盗賊に襲われ、親父もお袋も殺された。そんな時に閣下率いる鎮圧軍が駆け付けてくれたんだ!俺は孤児院に入ってから毎日剣を振り、閣下の下で盗賊の居ない国を作ると誓った!」


 おい、騙されているぞ!

 

「その盗賊と同じ事を伯爵がしようとしているじゃないか!」


「黙れ!これは正義の為だ。この町を囲んだのもお前を交渉のテーブルに着かせる為で、非戦闘民に危害は加えない。閣下はそういうお方だ!」


 こういう単純バカの倒し方は何となく判る。

 用意する物は、槍を2本かな。

 そして、あれが使える!


「出でよゴーレム!」


 俺は自分と同じ位の大きさのゴーレムを2体作りだした。目的は槍の調達だ。人と同じ大きさの方が、探すと言った作業は捗ると思う。


「魔法は捨て、槍で来るか?」


 俺としては対峙している奴はゴーレムには目もくれず、ニヤリと不敵な笑みを浮かべやがる。


「ああ。この槍で決めてやる!」


 本当、この槍を使った作戦が上手く行かなければ終わりだ。

 今、俺達は敵のど真ん中に居る!

 現状はガストンが抑えているが、この剣士に俺が負けると、魔法を封じられた俺達がどうなるのか想像に難しくない。

 絶対に負けられない戦いになってしまった!

 

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