表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/302

拷問は 殴るだけでは 芸が無い

「お前達のリーダーは誰だ?」

「知らねぇな」

 太々しい野郎だ!

「質問を変えよう。何処から来た?アジトは何処だ?」

「さあな!」

 盗賊の態度に確かに腹は立つ。だが何としてもアジトを聞き出さなければ。盗賊もゴキブリもシロアリも壊滅させないと、また来る。


「旦那、やっちまって良いッスか?」

 カールがいきり立っている。

「カール、暴力は良くない」

「えっ?」

 カールは意外そうな表情を浮かべる。確かにあの時はやり過ぎた。すまん、カール。

「それじゃ旦那、どうしますか?」

「自主的に話してもらう」


 俺は6人の盗賊を2人ずつ3組に並べさせ、それぞれゴーレムにきつく押さえさせた。

「6人の中から、特に協力的な2人だけ助けてやる」

「えっ?」

 盗賊達もカール達も意外そうな表情だ。


「ウォータージェット!」

 なんちゃって詠唱の後で手から水を出してウォータージェットを発生させる。

 カールに盗賊が持っていた剣をウォータージェットの水流に当てさせるが、難無く切れる!

 現代日本では、車内に人が閉じ込められているが、ガソリンが気化している為、火花の出る切断機が使用不可能な自動車事故に備えて、優秀な日本の消防が採用しているくらいだ。

 こんなナマクラ、切れぬ道理など無い!


 勿論、盗賊達もカール達も皆、口をあんぐり開けている。

「さ、さすがだぜ、旦那!」

「待たせたな!それじゃ、順番に切り刻むか」

 盗賊達に視線をくれてやる。さっさと口を割らせるには慢性的な苦痛ではなく、恐怖に限る。

 昔のドラマでやってた!犯人達が我先にって、仲間を売って白状するやつ。


「どうせ、ハッタリだ!」

「そう思うか?」

最初に聞いた、あの太々しい奴に近付く。

「冗談だよな?」

「盗賊なんてやっているからには、斬り殺される覚悟を決めているんだよな?」

「ひっ、ひっ!」

「お前、爪が伸びてるな」

 盗賊の左手の親指の爪をウォータージェットで切ってやる。ちょっと深爪になって指先の肉も切れたが、それはこれから切る物に比べれば大した事は無い。

「言う、言う!止めろ!」

 盗賊は見るからに恐怖で必死な形相となっている。

「命令形で言われる覚えは無いが」

「は、いい、言わせて下さい。お願いします!助けて下さい!」


「俺達は山を2つ超えた所にある村の者です」

「仕方無かったんです。領主様に年貢を多く納めれば、徴兵は免れるんで」

「自分らが徴兵を免れる為に他の村を襲って、奪うか」

 何とも身勝手な理由だ。もっとも、兇行の理由なんて身勝手な事しか無いのだろうが。


「今年の要求が多いのは、どういう事だ?」

「領主様から要求が増えたんだ。本当だ!」

 領主が絡んでくると話がややこしくなりそうだ。ステラと相談みるか。


「さて、お前達をどうするかだが。押し入った先で返り討ちに遭って全員死亡っていうのが、一番手っ取り早いんだけど」

「勘弁して下さい!」

「今まで男は殺し、女は犯し、子供はさらったんだろ?どの口が許しを請う?ふざけるな!」

「許して下さい」

 盗賊は反省しているのか、命乞いの為なのか、涙で顔を歪ませた所で許されることはあり得ない。


 取り敢えずゴーレムに盗賊を担がせて村の中心部に向かう。

 他所の村が村包みで盗賊行為を為ていたとなると、俺の判断ではどうこう出来ないと判断したからだ。


「ステラ!」

「エイジ」

 ステラは俺を見ると駆け寄って来た。

「無事だったのね!」

「当たり前だろ!こんな奴等、問題無い!それよりもこいつらの正体なんだけど…」


「!」


 痛みが背中に走った!

 振り返ると俺より年上に見える農夫が、俺の背中にナイフを刺している様だ。。


「いやー!」

 ステラの叫び声が響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ